日本酒酒場の大人のお作法。「聖地」で学ぶ4カ条

特集

おいしい日本酒が飲みたい!

2016/10/19

日本酒酒場の大人のお作法。「聖地」で学ぶ4カ条

創業明治38年。110年以上にわたって時代、時代の酒飲みのハートをつかみ続けてきた「みますや」。ビギナーには度胸を、上級者にはさらに深い世界を。日本酒酒場の原点と今を知る、連日満席、予約必須の聖地で、酒場でのお作法を学ぼう!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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お作法を教えてくださるのはこの方!「みますや」三代目の岡田勝孝さん。ご教授よろしくおねがいします!

「俺の写真はいいよ。掲載前に死んじまったら差し替えとか大変だろ?」と、いきなりの江戸っ子らしい小気味よい先制パンチ。

まず、三代目があげるお作法はこの4つ!
1.酒は好きなものを飲め
2.肴は好きなものを食べろ
3.空間ごと楽しめ
4.縄のれんを目指せ


あれ? なにかもっと厳しいお作法があると思ったのだけど…。例えば「酒の順番を守れ!」とか「肴は頼むタイミングがある!」とか「その席は常連に譲れ!」とか…。で「縄のれん」ってなんだ?と?だらけ。三代目に疑問をぶつけていこう。

通ぶるな。
1.酒は好きなものを飲め

まず最初の日本酒選び。最近は日本酒も多彩でなにを選んだらいいのか…。やはり頼むものには厳しいお作法があるんですよね!?

三代目
三代目
いいんだよ、悩まなくたって。うちは大衆酒場。好きなものをお飲みなさいよ。

でも、三代目。メニューの1枚目から全国各地の銘酒が並んで、かなりレアなものがある。2枚目も、3枚目もまたファンの多い酒蔵が並ぶ。「ここは手強いぞ、しっかり選ばないと」と思うわけですよ。

年季の入った手書きのお品書きがまたいい雰囲気。さりげなく銘酒が並ぶ
三代目
三代目
あぁ、これね。これは昔からの付き合い、よしみで、入れてくれてるだけなんですよ。ありがたいね。もちろんどれもうまいなーと思って入れてるんだけど、それだけの話。地酒ブームってのは最近の話でしょ。うちは昔からそのときにいいなと思ったお酒をいれてるだけだから、どれがいいから飲みなさい、というお作法はないんですよ。むしろうるさいこといわず好きに飲むのがお作法。
ということで三代目の後押しを受け、後先考えずに今、注目の「磯自慢」を最初から。1合750円。これを気軽に飲めるなんて。幸せ

迷うのだって楽しい。
2.肴は好きなものを食べろ

とにかくメニューが豊富で。これもお酒と合わせて順番とかどうしたものかと。

豊富すぎるメニュー。圧巻かつ心ときめくメニュー札。これは誰でも悩みますよね?
三代目
三代目
よく悩むね(笑)。一応うちの名物、これを目当てに来てくれる人がいるっていうと、夏はどじょう、冬はさくら(馬)鍋。コートの襟をたてるぐらいの時期から鍋ははじめますよ。野菜もそれぐらいからうまくなりますからね。それから割烹ってわけにはいかないけれど、秋は秋刀魚とか、季節ごとにちょっと変わっていくメニューはありますよ。でもね、好みだから。順番とか何を頼むかとかも、好きなものを食べなさいと。
さくらの赤身はかみしめると長い余韻が楽しめる

鍋といえば燗とか、そういうほうがいいのかなと思うんですが。

三代目
三代目
そのほうが通に見えるのかねぇ(苦笑)。鍋で冷酒だっていいじゃない。うちは、やれその肉は塩で食べろとか、そういううるさいことはいわないから。大衆酒場で通ぶったって客も店もおたがい煙たがられるでしょう。

逆にこれも、あーだこーだといわないのがお作法なんですね……。

こちらも看板のどじょうを柳川で。どじょうというよりも清流の小魚という感覚

歴史も噛み締めて。
3.空間ごと楽しめ

それにしても空間としても素敵ですよね。建物自体も明治38年からなんですか?

三代目
三代目
いやぁ、大正13年の関東大震災で全部焼けちゃったんですよ。

………なんと。

三代目
三代目
それでなんとかお金が集まって昭和3年に立て直してね。そのときからこの建物。太平洋戦争の東京大空襲の時は逆に、焼け野原で周りはなんにもなくなっちゃったけど、ここと数軒だけ生き残ってね。でも、この後ろの座敷のあたりはそのとき焼けちゃったんでそこだけ立て替えた。
お座敷、テーブル、カウンター、そのどれもが居心地がいい

ある意味では幸運なパワースポットですねえ(しみじみ)。

三代目
三代目
学生の頃から50年通ってくれるお客さんもいるしね。

確かに、活気はあるけど落ち着きますねえ(ますますしみじみ)。歴史ある空間って人を落ち着かせるんですかねえ。場所ごと楽しむのもある意味でお作法ですね。

三代目
三代目
まぁ、そんな偉そうなもんじゃないけどさ。昔はさ、その日1日働いた日給をポケットにいれて、それで1合、2合のんで、軽くつまんで、おつかれさんでした。そんな店だったんだから。だからみなさんも気軽でいいんだよ。
かの時代と比べてなんともうれしい1、2合。秋田の「刈穂」(1合1000円)。「今は流通がよくなっているから全国の旨い酒を出せるようになってありがたいね」(ご主人)

安心の証!
4.縄のれんをめざせ!

失礼なことを聞くのですが、ということは、やはり怖いお客さんもいらっしゃるんですか?

三代目
三代目
ははは! 昔はね。荒っぽいのもいたね。今は大丈夫。鼻の下伸ばしたのもいないし、女性も若い方も安心してきてくださいよ。うちは、縄のれんだから。

縄のれん? どういうことですか?

三代目
三代目
店の前にかかってるのれん。縄になってるでしょ? あれはね、この店は安心して入れるよ、昔の言葉で言えば堅気の店だよって合図。そこで暴れたり騒いだり、鼻の下伸ばすのはお客さんもやっちゃダメだね。

知りませんでした!

ほとんどがオフィスビルになった淡路町近辺で素敵に異彩を放つ「みますや」の外観。縄のれんも風情あり
三代目
三代目
とにかく皆さんに言いたいのは、まずは来て飲んで食べてください、ということ。とって食うわけじゃないし。酒は売るほどあるし。

い、いや、それは売るほどあるでしょうけど(笑)。

三代目
三代目
まあ、酒場での作法でアドバイスがあるとしたら、私の経験上、酒はほどほどがいいですよ、ですかね。まあ、そうはいかないのが酒なんだけど(笑)。
軽やかな酒さばきは「いちおう四代目になる予定」とご主人にこれまた小気味よくいじられる、四代目

終始、いや、でも聖地ですから! というこちらに対して「それはありがたいけどうちは大衆酒場なんだから、気楽にやってよ」という三代目。そうなのだ。勝手に我々が敷居を高くしていただけなのだ。好きなものを飲め。好きなものを食べろ。空間ごと楽しみつつ、気軽に自分の今日におつかれさま。そして明日の元気に。むしろ、聖地と呼ばれる酒場では、通ぶらず、理屈を語らず、その場になじむ。そのことこそがお作法だったのだ。

みますや

住所:東京都千代田区神田司町2-15-2
電話番号:03-3294-5433
営業時間:
平日11:30~13:30/17:00~23:00(L.O.22:20)
土曜日17:00~22:00(L.O.21:20)
定休日:日曜・祝日

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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