企業も注目。2020年は「坐禅」で心新たにスタートを切る!

企業も注目。2020年は「坐禅」で心新たにスタートを切る!

2020/01/10

京都といえば、お寺さん。その数は1700寺におよび、中には「坐禅」が体験できる寺院もあります。いまアスリートや企業からも注目を浴びている「坐禅」を、冬の京都で体験をしてまいりました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「坐禅体験」を通して、心のそうじをし、自分をととのえる

JR山陰本線(嵯峨野線)「花園駅」から徒歩7分。「大本山妙心寺」の塔頭「退蔵院」で体験させていただきます

「坐禅」を体験したことはありますか? 宗派によって色々な考え方がありますが、禅宗では「坐禅」とは「お釈迦様の心(悟りの心)を坐禅で体験することを目指す」こと。もうすでに禅問答のようですが、日々の雑踏から離れ、「坐禅」をすることで、「偏り」「こだわり」「囚われ」の心が消え、澄んだ心の状態になる。最近では、「マインドフルネス」とも結びつけられ、集中力を高め、自信を身につけ、他者への共感を高めるとして、企業研修などでも取り入れられているんです。

大本山妙心寺塔頭「退蔵院」へ

迎えてくださった退蔵院の松山大耕(だいこう)副住職

退蔵院は、無因宗因禅師(妙心寺3世)をまつるため、今から約600年以上前の応永11年(1404年)に建立された古刹です。応仁の乱で妙心寺とともに炎上しましたが、1597年に亀年禅師によって再建され、今に至ります。
さらには、あの宮本武蔵が逗留、修行したお寺でもあります。

「坐禅」で「身・息・心」の三つを一体にととのえる

まずは副住職より「坐禅」の考え方を教えていただきます

【坐禅の考え方】

副住職
副住職
「晴天に曇りや雨の日。天気が移ろうように、私たちの心も一定ではありません。それでも雲ひとつない快晴の天気があるように、人の心にも清く澄んだ状態があります。これが人々にもともと備わっている『正しい心』です。『坐禅』は、この心の状態を体験するための近道となります」

この状態を体験できれば、不安や怒りの感情をコントロールできるようになり、より穏やかな状態でいられるといいます。

「臘八摂心」(ろうはつせっしん・釈迦が悟りを開いたとされる7日間を寝ずに坐禅し続ける修行)で、睡魔にも襲われる僧にどのくらいの強さで警策を打つのか、座布団でデモ。あまりの強度に一気に目が覚めました!

【正しい坐禅】

副住職
副住職
正しい『坐禅』とは、身(身体)・息(呼吸)・心(精神)をととのえること。『身をととのえる』とは、腰を立てて背筋をまっすぐ伸ばすこと。『息をととのえる』とは、丹田(ヘソの下)に力を入れるようにしてゆっくり腹式呼吸をすること。『心をととのえる』とは、数息観(すそくかん・吐く息を一つ二つと数えて、十までいったらまた元に戻る方法)で精神を集中させることです。この三つが一体となって初めて正しい『坐禅』になります」

【坐禅の仕方】
①足を組む…「結跏趺坐(けっかふざ)」右足を左ももの上にのせ、左足を右ももの上にのせる座り方。片方のときは、半跏趺坐(はんかふざ)。
②手を組む…「法界定印」右手を左足の上に置き、その上に左手をのせて両手の親指を自然に合わせる。
③口と目…口は軽く閉じて、舌先を上顎につける。目は半目で視線を1m先に落とす。
④呼吸…「数息観」静かに息を吐き、吸うときは自然に。呼吸と合わせてひとーつ、ふたーつと数を数え、十までを繰り返す。

深く響き渡る鐘を鳴らして始まりました
「半眼て難しいな。姿勢はどうかな。ひとーつ、ふたーつ……無心になっているかな、って考えてしまうのは無心じゃない、あ、数を数えなくては」と初めは落ち着かない

「坐禅」といえば、あの長くて痛そうな棒でバチーン!と叩かれるイメージ。あれは「警策(けいさく)」といって、姿勢が悪かったり、坐禅中に眠くなったり、雑念にかられたりしたときに肩を打ってもらいます。自ら申し出る(といっても無言で合掌して頭を下げます)場合と回ってきたお坊さんが判断される場合とあるそうです。

自ら手をあげて打っていただいた参加者の方。「臘八摂心」ほど激しくはないので安心してください

15分経って再び鐘の音を聞いて終了。あっという間で、なんだか現実世界なのか夢の中にいるのか不思議な感覚に陥ったのでした(寝落ちはしていない、たぶん)。

心がスッキリしたら朝がゆを頂く

「五種盛り」(高野豆腐、牛蒡の煮しめ、いんげん豆の煮しめ、こんにゃくの煮しめ、酢蓮根)*写真のいんげん豆の煮しめは青唐辛子の煮しめに変更*大根の煮物は2月頃から菜の花のおひたしが添えられて提供されます

坐禅を体験したあとは、妙心寺御用達「阿じろ」の精進料理「朝がゆ」をいただけます。目にも美味しい「朝がゆ」ですが、普段、スマホやテレビなど「ながら食べ」が多い現代人にとって、料理だけに向き合って食べることで、素材の味が特に感じられることに気づかされました。

退蔵院で見ておきたい石庭と国宝

退蔵院を訪れたら、見逃せないポイントがほかにも。狩野元信作といわれる枯山水庭園に石庭「陰陽の庭」。そして日本最古の水墨画といわれる国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」です。

枯山水庭園「元信の庭」。右手奥には枯滝も見てとれる

史跡名勝・枯山水庭園「元信の庭」は、庭の背景に常緑樹を植えることで、一年中変わらない「不変の美」を求めたと考えられているそう。
さらにこれは!と思ったのがこちら、「陰陽の庭」です。

正面には樹齢50年の紅しだれ桜。2013年の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンでも使用され話題に
写真上が「陽の庭」で下が「陰の庭」

石庭というと、白砂で砂紋を表現するイメージでしたが、「陰の庭」には黒砂が使われています。隣同士なので、よく見比べることができます。砂の色でこうも印象が変わるとは……。陰と陽、この二面性が、禅問答を想起させます。

副住職に砂紋を描いていただきました

もう一つ、注目したいのがこちら、方丈にある日本最古の水墨画といわれる国宝「瓢鮎図」(奴拙筆)。宮本武蔵もこの書画を前に、問答を繰り返し、修行したといわれます。ちなみに「鯰(なまず)」ではなくて「鮎」なのは、中国では「鮎」と書いてなまずを意味するからだそうです。

展示されているのは模本。 *取材により特別に撮影しています。一般の方は写真撮影禁止となっておりますのでご注意ください。通常の拝観では方丈内に入れません

「小さな瓢箪で大きななまずをいかに捕まえるか」という禅の問いを描いたもの。図上には、京都五山の高僧31人の賛(回答)が記されています。何が正解か? 本当に求められている答えとは? そもそも正解はあるのか? それこそ眺めているだけで「禅の世界」へダイブ!ですね。

◆ひと粒のあめ玉で禅体験

退蔵院オリジナルの飴「ひと粒の禅」(300円)。「7分間舐める。ほかを一切忘れ、その行為に集中することで禅が体験できる」

歴史ある退蔵院は、音声ガイドアプリを取り入れたり、「飴」で禅を体験できる試みをするなど、アップデートも欠かしません。こちらの飴は、京都のあめ屋さん「大文字飴」とのコラボ。境内で取れた柚子とアーユルヴェーダなどで使用される瞑想効果のある薬草ゴツコラのエキスとローズウォーターを練りこんでいます。最後は、杉パウダーがふんわりと香り、舐め終わると心身ともに新たな気持ちになります。


今回はたった一度の坐禅体験でしたが、普段の生活ではゆっくりと庭を眺めたり自分自身と向き合うことは、なかなかないので、とてもリフレッシュできました。特にシンとした京都の冬の冷たい空気は、より集中力を高める感覚もありました。
あなたもぜひ、冬の京都で新しい自分を発見できる「坐禅体験」をしてみて!

取材・文・撮影/Yahoo!ライフマガジン編集部

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