本日オープン!シン・ゴジラ樋口監督と行く「京急ミュージアム」

本日オープン!シン・ゴジラ樋口監督と行く「京急ミュージアム」

2020/01/21

大の鉄道好きで知られる『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督。映画の中でも京急にお世話になったという樋口監督と一緒に、きょう横浜にオープンしたばかりの「京急ミュージアム」を体験してきました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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京急電鉄をこよなく愛する樋口監督がミュージアムで感動の嵐に包まれる!!

大ヒット映画『シン・ゴジラ』で重要な役割を果たしたものがあります。それは電車。詳しく書くとネタバレになってしまうので詳述は控えますが、列車をつかった大掛かりな仕掛けは映画の大きな見どころの一つとなっています。そのシーンのディレクションに力を入れたのが電車好きで知られる樋口真嗣監督でした。

京急ミュージアムを訪れた樋口監督はすでに笑顔

京急電鉄は『シン・ゴジラ』のロケでも駅舎を借りるなど大変お世話になったということで、なみなみならぬ恩と縁を感じている様子。というわけで、1/21(火)にオープンしたばかりの京急ミュージアムにさっそくお邪魔してきました。

樋口真嗣

樋口真嗣

映画監督・京急電鉄愛好家

樋口真嗣
樋口真嗣
「京急がミュージアムを作ったら気になりますよね。だって普通のものを作るわけがないんだから。さっそく行ってみましょう」

横浜駅から徒歩7分、本社新社屋の1階にオープンした京急ミュージアム

ミュージアムの広さは約200㎡とそんなに広いわけではないようです

横浜駅からテクテク歩くと、目にも鮮やかな赤い車両が目に飛び込んできます。それこそが京急本社の1階にある「京急ミュージアム」です。泉岳寺から横浜に本社が移転する際、ミュージアムの建設が決まりましたが、「ここが京急の本社」と街ゆく人に強くアピールするため、外から車両が見えるガラス張りの設計にしたそうです。

中に入りましょう。歴史を感じさせる車両がありますね
京急電鉄・飯島学さん
京急電鉄・飯島学さん
「これは昭和4年に製造され昭和5年から運転が始まったデハ230形です。ボロボロだった車両を約2年かけて修繕作業を行い展示に至りました。京急の礎となった大事な車両なんです」

いきなり登場されたのは、京急電鉄の飯島学さん。マニア顔負けの知識と京急愛を誇る飯島さんはメディアにも多数出演される名物社員です。本日は監督とも親しい飯島さんが、京急ミュージアムの見どころを教えてくれます。

それではご案内しましょう。合言葉は「ダァシエリイェス!!!」(ドアを閉める時の京急の名物アナウンス?)

見どころその① 時間と手間をかけて復元されたデハ230形

まずはミュージアム内で大きな存在感を放っているこの車両から。あの氷川丸とほぼ同じ歳です

昭和4年に製造された<デハ230形>は非常に古い電車です。当時、京浜電気鉄道(京急の前身)は品川ー横浜間を結んでいましたが、やがて、黄金町ー浦賀間を営業していた湘南電気鉄道と日ノ出町駅で接続。乗り入れ運転が始まり、品川ー浦賀間の直通運転が行われるようになりました。

京急電鉄・飯島さん
京急電鉄・飯島さん
「別々の鉄道会社がつながって、現在の京急の骨格ができました。その時に活躍していたのがこの車両なんです。今回の本社移転に際して、最終的に11社が集まりました。デハ230形は京急グループの結束の象徴だと思っているんです」
樋口監督
樋口監督
「そうなんですね。この車両は鉄道模型で知られるKATOの本社前にも飾られてますよね」
この車両は川口市の公園に展示されていたものを譲渡してもらいました

デハ230形の廃車が決まったのは昭和53年のこと。その後、この車両は様々な運命を辿りました。

飯島さん
飯島さん
「デハ230形は最終的に57両製造されました。廃車が決まってから、他の鉄道会社にもらわれていったものもあります。さらに、車両を売りますと公募したところ、2両が売れました。手を挙げていただいたのが、先ほどのKATOさん、そしてもう1両が川口市にもらわれていったんです」
樋口監督
樋口監督
「川口市にもらわれた車両がまた戻ってきたということなんですね。電車って走ってないとあっというまに朽ちていきます。こんな風に綺麗にしてもらって、とっても幸せな車両ですよね」
実際に掲示されたデハ230形の売却先募集の中吊り広告も展示されている

隈研吾氏の設計による、『京急らしさ』を存分に活かした内装に注目

京急の線路幅は新幹線と同じ1435mm

京急電鉄の品川ー横浜間の最高速度は時速120km。首都圏でトップクラスの速さを誇りますが、その秘密は線路幅にあります。

飯島さん
飯島さん
「京急は線路幅1435mmの世界標準軌を日本で初めて採用した鉄道会社です。一般的に広く採用されている狭軌(1067mm)よりも広い方が安定しますよね。安定走行を可能にする1435mmは私たちにとってこだわりのポイントなんです。それをご理解いただいた上で、ミュージアムの天井をご覧ください」
天井の木のパネルは路線幅と同じ1435mmの大きさで作られています
飯島さん
飯島さん
「京急といえば標準軌ということで、隈研吾先生がこだわって作ってくれたんです。既存の規格にはなかったのですべて特注だそうです」

駅舎の再現度がすごい
内装を堪能したところで、早速車両に乗り込もうとした監督でしたが、昔の駅を再現したホーム上で、なんだか気になるものを見つけた様子。

「いやあ、これはいいなあ」

樋口さんが目に止めたのは駅名を示すホーロー看板でした。

飯島さん
飯島さん
「流石にお目が高い。これは実際に使っていた駅名看板なんです。当時、看板は緑で、保存していたOB社員から預かって展示しているんです」
「当時は京急蒲田ではなく京浜蒲田だったんですよね。このまま持って帰りたいな」「ダメです」

駅のホームは230形が引退した昭和53年当時の駅舎を再現しているのですが、驚くのはその再現度の高さ。細部に渡って再現できたのはある理由がありました。

飯島さん
飯島さん
「当時の写真を残していた鉄道ファンの方がいらしたんです。電車の写真を撮っている人はたくさんいるけど、駅舎やゴミ箱の写真を撮っている人は珍しい。でもその写真のおかげで正確に再現することができたんです」
昭和51年頃の「クリーンクリーン京急キャンペーン」ゴミ箱を再現。中に何が入っているかは見てのお楽しみ

車内は魅力的な展示がいっぱい

車内に展示された昔の路線図には京急の歴史が詰まっています

京急電鉄の発祥の地。それは川崎駅と川崎大師近くの大師駅を結ぶ大師電気鉄道でした。そこから都心へ延伸してどんどん大きくなって現在の形になりましたが、過去の路線図には京急電鉄の歴史がしっかりと刻まれています。車内には過去の路線図をはじめ、貴重な資料が展示されています。

樋口監督
樋口監督
「路線図は面白いですね。あ、現在の鶴見駅近くの総持寺駅が乗り換えのターミナル駅だったんだ! 総持寺駅から大師駅を結んでいる路線があったんですね」
飯島さん
飯島さん
「これは海岸電気軌道という会社で、その後、鶴見臨港鉄道に買収され、やがて廃止されました。現存しているのは川崎駅ー大師駅間だけ。大師駅だけは創業時から一度も場所を変えてないんです。総持寺駅のターミナル跡は、今は公園になっていますね」
「新子安駅前では海水浴ができるって書いてある。信じられないな」
樋口監督
樋口監督
「昔は大森海岸駅から大森駅までの盲腸みたいな路線もあったんですね」
飯島さん
飯島さん
「都心に乗り入れるという野望とともに、大森から鉄道院(現在のJR)の駅に接続する予定だったんです。本当は高輪から接続するつもりでしたが、品川と大森海岸が結ばれると、役目を終えた大森支線はやがて廃止になりました」
銀座線との乗り入れを画策した時期もありましたが計画変更もありその夢は叶いませんでした

車内の床にも注目してほしい

突然床に手をついてしげしげと眺める樋口監督

展示はガラスの中や中吊り広告だけではありません。たとえば、このために貼り替えた車両の床木にも注目してください。

飯島さん
飯島さん
「今ではこのような木の床を貼れる技術者がいないんです。だから、引退した人たちに声をかけて手伝ってもらって貼り直しました。若い人たちを指導するOBたちは張り切っていましたね(笑)」
樋口監督
樋口監督
「このガラス張りのところからは何が見えるんですか?」
飯島さん
飯島さん
「こちらからは普段は見えない台車部分が見えます。モーター部分の絶縁体も綺麗に巻きなおしたりして、そういうところにも注目していただけると車両を担当した人間も喜ぶと思います」
「いやあ丁寧な仕事だなあ」と紐で巻かれた絶縁処理に感動する樋口さんはとても楽しそうです

見どころ② 京急ラインジオラマ

京急ミュージアムの見どころの2つ目は京急沿線を再現した巨大ジオラマです。

ミュージアム中央に展示された長さ約12メートルサイズの巨大ジオラマ。迫力満点ですね
飯島さん
飯島さん
「ジオラマは品川から三崎口までの沿線風景を大きな駅ごとに再現しているのですが、その中に京急グループ各社の事業施設をさりげなく配置していることにも注目してください。自動車学校などもかなり忠実に再現しています」
こちらは多摩川べりにある京急が手がけたタワーマンション

こちらを手がけたのは、細かい風景描写に定評のある鉄道模型専門会社。ジオラマ内の細かい人物造形にも定評があり、それらを眺めていたらあっという間に時間が経ってしまうことでしょう。

こちらは京急久里浜工場。「デト11がここにいるということは月曜か木曜の午後ということかもしれません」(飯島さん)

ちなみに、ジオラマの中を鉄道模型(HOゲージ)が走っているのですが、この模型は運転可能(有料・先着順)。さらに、この車両はカメラを搭載しており、映像を見ながら模型を走らせることができます。鉄道好きが一度は描く夢がこの場所で叶うのです。

運転体験は1回100円で約3分

見どころ③ 実写映像の運転シミュレーター

シミュレーターに座った瞬間「あははこれは絶対に楽しいやつだ!」とご機嫌の樋口監督

鉄道ミュージアムに必須の展示といえば、やはり実写のシミュレーターでしょう。本物の新1000形の運転台を使ったこちらでは、4つの難易度によって違った区間を楽しむことができます。

入門編は容易にクリアできるように設定されていますが上級は……
飯島さん
飯島さん
「せっかくなので上級をやってみましょう。こちらはかなりの難しさです」
上級編の「神奈川新町ー京急川崎」間をチョイスしました

「上級といえども、特急ならば駅を通過するだけでしょう」と思いきや、このコースが難しいのはいくつもの理由があります。

飯島さん
飯島さん
「まずは、朝のラッシュ時の設定なので、ダイヤが過密で、余分な時間がないということですね」

タイムに追われた状態で、ゲームはスタート。

本物の電車と同じようにマスコン(電車の操作装置)から手を離すと急ブレーキがかかります
飯島さん
飯島さん
「次に、朝のラッシュ時間帯なので、前の電車が詰まっているんです」

前の電車が詰まっていると、速度を落とす必要があります。信号は刻々と変化するので、速度の微調整がとても忙しくなります。次の信号まで行ける場合も、ギリギリまで速度を落とさず時間を無駄にしない技術も求められます。

JRが並走する区間では負けじとスピードを出したくなりますが速度制限には十分に注意してください
樋口監督
樋口監督
「やっぱりCGじゃないのがいいですね。この撮影のために回送電車を2本走らせたの? 本当に運転しているような気持ちになりますよ」
京急川崎駅に停車させたらおしまいなのですが最後まで難しい
樋口監督
樋口監督
「本物の映像を使っているのもあって、まったくよそ見ができませんでした。改めて運転士さんの大変さがわかりました。先に走る列車に追いつくことを絶えず気にしなければならない緊張感がすごく良かったので、みんな難易度の高い特急で酷いスコアを貰ってくるべき!」
飯島さん
飯島さん
「技術者や駅係員を含めた、全ての社員からの『安全のパス』を最後に受け取るのが運転士なんです。その緊張感を少しでも味わっていただけたら嬉しいですね」
結果は100点満点中26点でした

ミュージアムには「京急イズム」が満載

「最後のシミュレーターでどっと疲れましたよ」

京急ミュージアムをはじめて訪れた樋口監督、その「京急電鉄分」の濃さにひどく驚いたようです。

樋口監督
樋口監督
「他の博物館とかと比べたら小さいかもしれない。でも大きさじゃないなって心の底から思いましたね。京急が作るミュージアムはどんなもんだろうと思ったら、やっぱりただ者じゃなかった感じでしょうか」

京急ミュージアムに来たらぜひ見てほしい、感じてほしいものがあれば教えてください。

樋口監督
樋口監督
「全部ですね。つまるところ、京急で働く人は京急が好き、それに尽きると思うんです。僕たちはそれを感じてさらに嬉しくなる。この場所ではぜひ凝縮された『京急イズム』を感じてください。京急が好きな人もそうでない人も楽しめるんじゃないかな。僕はとにかく楽しかった。今日はありがとうございました」
電車の屋根にも仕掛けがあるんですよ

ご注意)当分の間、一部の開館日は事前申し込みによる抽選入場。2/24(金)までの入場はすでに受付終了しています。

取材・文/キンマサタカ(パンダ舎)
撮影協力/京急ミュージアム・京急電鉄株式会社

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