飯能で生命力みなぎる野菜を味わうカフェ「くうふく」

飯能で生命力みなぎる野菜を味わうカフェ「くうふく」

2020/01/25

2019年3月にムーミンバレーパークがオープンし、注目を集めているエリア・飯能。今回訪ねるカフェ「くうふく」は西武池袋線「飯能」駅北口から徒歩4分ほど。駅前ロータリーの1本北にある路地からすぐ。駅前の賑やかさが嘘のような閑静なロケーションだ。

GRUTTO PLUS(ぐるっとプラス)

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丁寧にデザインされた、心地の良いカフェ

木枠のガラス戸をガラリと開けて店内に入ると真白な壁にフローリング。入口の左手には一枚板の大テーブルが象徴的に置かれ、その横には小テーブルとソファがあり自宅のリビングのような趣き。路地に面した大きな窓は木材で縁取られ、カフェの世界観を邪魔しないように外の植え込みが適度に映り込んでいる。

外観から店内をぐるりと見回すと丁寧で綿密に考えて設計されていることが素人目にもよく分かる。しかも、それが強く主張するわけではないので心地よく過ごすことができるだろう。

柱や棚にも木材がふんだんに使われて、ナチュラルで温かみのある空間

両親が営んでいた店の記憶に守られた空間

店主はここが生まれ育った実家という田中佐和子さん。料理の本を出版する会社や服飾系学校での勤務を経て、自分の手で何かを作りたいという思いが募り、この店を立ち上げたという。かつてこの場所でご両親が営んでいたとんかつ店を閉じた後、10年ほどのブランクを経て2018年11月に佐和子さんがカフェとしてリノベーションしたそうだ。

「店は家具のデザインもされている設計士さんにお願いしました。実はこの棚(入口正面のスペースにある棚)はとんかつ店のときのもの。あるものをできるだけ生かして、普段日の目を見ないものなども利用して作っていただいたんです」。

現在、店に訪れる人の中には、かつてのとんかつ店の常連だった人もいるという。そんな人にとっては、開店からまだ1年のこの店もきっと懐かしさを感じる場所なのだろう。

生まれ育った実家でカフェを開いたオーナーの田中佐和子さん
「茶店」をイメージしたスペース。特徴的なテーブルの脚も電線管を使用

野菜が持つ力強さを体感できる“季節のプレート”

「くうふく」では通常2つのフードメニューが用意されている。ひとつは根菜入りのキーマカレー。そしてもうひとつが今回用意していただいた季節のプレートだ。たっぷりの野菜を中心としたワンプレートは彩りも豊か。メニューに使う野菜は全て、知人を介して知り合った農家さんが手塩にかけて育てたひとつの畑で採れたもの。他ではなかなか味わえないほど生き生きとした野菜の味に惚れ込み、田中さん自身が飯能にある農園に足を運び、自分の目で確かめて仕入れている。

「農薬も堆肥も使わずに育てた野菜は、豊かな土の味がしっかり体現してくれるんです。できるだけ野菜の持ち味を邪魔しない味付けを心がけています」という言葉の通り、どの料理もみずみずしくて力強い野菜が存在感を放っている。

「秋になると野菜がこれから訪れる冬に向かって苦味や辛みを蓄えていくんですよね。それを食べる人間も冬に備えた身体になっていく。そんな自然の摂理をここの野菜と出合って実感しました」。野菜の持つ甘みはもちろん、旨味を含んだ苦みや辛みさえもダイレクトに伝わってきて「野菜ってこんな味がしたっけ!?」と思わず感嘆。

また、野菜中心の料理というと薄味で味気ないものも少なくないが、このプレートはしっかりと食べ応えがある。豚肉のソテーなど動物性たんぱくも摂れるメニューが必ず入っていること、野菜自体にしっかり味があること、味の濃淡をワンプレートの中でバランスよく配置していることが満足感を得られるポイントなのだろう。

季節のプレートは玄米ご飯、季節のスープとセットで800円。コーヒーとセットにしても1000円と良心的
瑞々しい野菜を中心としたワンプレート。彩りにも鮮度の良さが顕れている
モチっとした食感の玄米ご飯。食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富に含まれている

「からだがよろこぶ食」を提供したい

飲食店を営む両親の元で育ち、もともと食に興味があった田中さん。カフェを開業する少し前、食を見直すことで体質改善した経験があるという。それをきっかけに食に対しての意識がより高まり、店の具体的な方向性が決まっていったのだとか。

「くうふく」には四季を体感させる旬の野菜はもちろん、普段食卓には上がらないような珍しい野菜も並ぶことも少なくない。そんな食材との出合いもこの店の魅力。土地の食材を旬の時期に味わえることに喜びを感じ、食の奥深さ、楽しさを教えてくれる「食を見つめるカフェ」なのだ。

もちろん、食事をとらずにカフェのみでの利用もOK。ネルドリップで丁寧に淹れるコーヒーや有機ジュース、希少な古代小麦を使ったスイーツなど、喫茶メニューにもひと手間、ひと工夫が加えられている。取材時にもふらりと立ち寄ってのんびりくつろいで行くお客さんとの会話を楽しむ田中さんの姿があった。

見るからに生命力の強さが感じられるサボイキャベツ(ちりめんキャベツ)
6000年以上前から栽培されていたと言われる古代小麦「カムット」粉を使ったビスケット生地のボール80円
タンザニアの自然保護区で栽培された豆で淹れるコーヒー380円

自分の手で何かを作り出す仕事がしたいという思いから開いた「くうふく」。仕事もプライベートもやったことがすべて自分自身に還元され、組織で働いていた時には得られなかった充実感があると話す田中さん。野菜を仕入れている農家さんと、より野菜を堪能できるコラボも計画しているという。野菜本来の魅力を探求するカフェ「くうふく」のこれからの展開が楽しみだ。

※価格はすべて税込

カフェ部

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おいしいコーヒーやスイーツ、こだわりメニューをいただける、西武沿線のとっておきのカフェをご紹介します。

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