国民的女優と結婚した人気漫画家・清野とおるスーパー銭湯へ行く

国民的女優と結婚した人気漫画家・清野とおるスーパー銭湯へ行く

2020/02/06

国民的女優・壇蜜さんと結婚して話題の漫画家がいる。その名は清野とおるさんだ。仕事の合間に抜け出して連日通うほどの銭湯好きである清野さんが、前から気になってたという巣鴨の人気施設で、温泉と食事を満喫。いまノリに乗っている男が心がける「運を逃さない方法」とは。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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話題の漫画家がスーパー銭湯で私生活を赤裸々に語る

生きることに疲れたら人はどうするのだろう。恋に疲れた女は買い物に走り、仕事に疲れた男は酒に走り、人生に疲れた男と女は、スーパー銭湯に走るに違いない。そうに違いない。スーパー銭湯はすべての疲れを癒す力がある。

スーパー銭湯を盲目的に信じる漫画家の登場だ

3年前のことだ。私たちは清野とおるさんをスーパー銭湯に連れ出した。赤羽では『ONE PIECE』より売れている『東京都北区赤羽』の人気マンガ家・清野とおる。当時の彼はとにかく疲れていた。連日連夜続く〆切に心身ともに疲弊していたのだ。あぁ、仕事をすべて投げ出して銭湯に行きたい。彼の切なる希望に応えた「清野とおると行くスーパー銭湯逃避行記」は少しだけ話題になった。

癒しの楽園の入り口はこちら

3年前の清野とおるは自らも認めるように「サブカル界の人気漫画家」だった。若者から特に熱い支持を受け、赤羽をテーマにした代表作はドラマ化もされた。もちろん売れっ子なのは間違いないが、世間的な知名度はそこまででもなかった。しかし、昨年末に「あの壇蜜」さんと結婚を発表したことで、それまでの人気漫画家から、有名漫画家へと変身を遂げた。赤羽には結婚を祝う横断幕まで掲出された。清野とおるは私たちの手の届かないところに行ってしまったのだ。

清野とおる

清野とおる

漫画家・壇蜜の旦那

本日の集合前にラーメンを食べたという清野さん。スーパー銭湯の醍醐味といえば、風呂上がりの一杯だというのに、人気漫画家はスーパー銭湯の食事なんかに期待していなかったのだろう

前から狙っていたスーパー銭湯でおそるおそる接待する

人気漫画家はいつだって疲れている。清野とおるさんが以前、Yahoo!ライフマガジンに登場してくれたときは、我々が案内した銭湯を心から堪能してくれた。「売れっ子だけど親しみやすい」と編集部員は一気に清野さんのファンになったものだ。だが、3年が経ち有名女優と結婚した今となっては、あのときのキラキラした瞳と腰の低さは失ってしまったに違いない。おそるおそる連絡をしたところ、相変わらず感じが良かった。出演依頼も快諾してくれた。あれ、おかしい。有名人と結婚して忙しいはずなのに。

「靴箱は『249』を選びました。ニューヨク(入浴)にかけました」と挨拶がわりの小ネタも放り込んでくれる

待ち合わせ場所に現れた清野さんは、3年前と変わらぬ瞳で、「みなさんと銭湯に行けるのを楽しみにしていました」と笑った。「ああ、清野とおるは変わっていない」と私たちは涙が出そうになった。心から結婚祝いの気持ちを伝えたいと思った。結婚の馴れ初めもあれこれ聞きたいと思った。まずは風呂につかってリラックスしてもらおう。染井温泉SAKURAは地下1800mから湧出した天然温泉が自慢だ。

清野とおる
清野とおる
「さっそくお湯をいただきましょう」

子供のような瞳で清野とおるは湯に向かって走り出した(比喩です)。

施設はきれいで清潔感がある。さりげなく飾られた芸術的な生花が高級感を演出している

豊富な種類の湯はどれもすばらしい

染井温泉のお湯は、黒湯が多い東京ではめずらしく無色透明の温泉だ。約1000万年前の地層から湧出した温泉は、天然のミネラルをたっぷり含んでいて、浴槽に注がれると琥珀色に輝く。保温と保湿効果に優れ、お肌がつるつる・すべすべになると評判らしい。

浴室に入って目に入った檜の大浴場(内風呂)はぬる湯が楽しめる

カランで軽く体を流した清野さんが最初に向かったのは内湯。すこしぬるめのお湯が、心地よく体を包んでくれる。

清野とおる
清野とおる
「ちょっとぬるめのお湯で、この温度設定に深い狙いを感じます。『あ、普通じゃないな』という感じですね。ああ、気持ちいいなあ。ちょっと温まったら、次はサウナに入りましょう」
こちらが染井温泉名物「スタジアムサウナ」。野球場のように急勾配のシートで、上の席からもテレビがよく見える

内風呂の次に、サウナへと向かった清野さん。「サウナこそがスーパー銭湯の醍醐味」と語る顔は心なしかニヤついているように見える。サウナではテレビを見ながらぼんやりと過ごす。7分が経ったのを確認すると、隣にある水風呂に飛び込んだ。ああ、気持ちがいい。

清野とおる
清野とおる
「日によりますが、最近はサウナを7分、水風呂1分を1セットとしてこれを3セット繰り返しますね。サウナの後にふわふわした気分になることを『整う』とかいいますが、仕事でこんつめているときのサウナリラックス効果は半端じゃないですね。このスタジアムサウナは、温度や湿り加減がちょうどいいし、水風呂も18度で僕の好み。すでに名銭湯の称号を差し上げたいくらいです。いや、いっそ差し上げます」
寝て楽しめるジェットバスも人気

気持ちもリフレッシュしたところで、体をしっかり洗うとしよう。だが、清野さんは立ったままカランの前をうろうろしている。どこに座ろうか吟味しているようだ。お気に入りの場所でもあるんですか?

清野とおる
清野とおる
「ベストは排水溝からできる限り離れた『上流』の場所ですね。地元でよく行く銭湯では歯磨きをしている人がたまにいて、排水溝の近くに座っていると、上流からおじさんが吐き出した白い泡が目の前を流れてきてテンションが下がるんですよね……。まあこの温泉には歯磨きする人は居なさそうですけど(笑)」

銭湯は心身をリフレッシュする場だから、常に快適な気持ちでいたいという気持ちが痛いほど伝わってくる。銭湯は清野さんにとって心の安息の地なのだ。さて、体を流したらもうひと浴び。露天風呂を楽しんだらそろそろ出るとしよう。いい感じに体も温まったようだから。

外には2種類露天風呂。天然温泉は意外としょっぱい。「これで酒を割ったらうまそうですね」と清野さん

銭湯はリラックスをする場である

お風呂を出たら大広間へ。ここではドリンクやフードのオーダーもできる

浴室を出たら館内着に着替え大広間へ。なんだかご機嫌の清野さん。どうやら染井温泉のお湯がいたく気に入ったようだ。

清野とおる
清野とおる
「いい銭湯はね、出たら勝手に体が動き出して、小躍りしたくなるんです。あとは、お風呂を出るときに、『ごちそうさまでした』っていいたくなるのが僕にとっていいお湯のバロメーター」
畳敷きの和室で一休みしながらメニューを眺める。いい気分なので、ちょっと高めのビールをオーダーしたい気分だ

仕事の合間に銭湯を利用する清野さんにとって、銭湯はくつろぎと癒しの場所。自分と戦い続ける漫画家が心からくつろげる場所はきっと限られるのだろう。だからさっきの歯磨きの泡もしかり、大事な時間を誰にも邪魔されたくないのだ。

清野とおる
清野とおる
「銭湯って常連のおじさんたちに存在を認識されると話しかけれるようになるんです。僕は風呂やサウナでは誰とも会話したくないので、角が立たないようにいなして適度な距離を保つのに必死です。銭湯は自分がいかに気持ちよく居られるかが大切。染井温泉はとても居心地がいいですね」
他ではあまり飲めない高級白ビール「白穂乃香」(850円)をオーダー。湯上りの一杯はうまい。いい顔してます

ここで突然ですが、サウナと温泉を堪能した後の、清野さんの心境の変化を4コマでお送りします。

温泉とサウナには心をきれいにする力があるに違いない

それではお楽しみの食事処へ

スーパー銭湯の楽しみの一つに、入浴後の食事をあげる人は多い。近頃はどの施設もフードメニューの充実に力を注いでいるが、染井温泉では和洋中の料理人が腕を振るう本格的な料理が楽しめる。だってメニューからして気合の入り方が違う。

なんと生牡蠣(季節限定メニュー)が出てきた

銭湯を出たらワインと牡蠣が食べられるなんて想像したことがあるだろうか。セレブになった気分だ。こちらの店は施設利用者以外も入店できるということで、レストランとして利用する近隣の多いとか。レストラン級の味が湯上りに楽しめるとは思わなかった。

レモンをどう絞るかで食通かどうかわかるという大学生みたいな話題で盛り上がる

牡蠣はうまかったし、他のメニューも何を食べてもハズレがない。「うまいうまい」と酒が進む。何杯かグラスを重ねていい気分になったところで、結婚相手の壇蜜さんのお話へ。知り合ったのはテレビのロケだと聞いたが、具体的にはそこからどうやって交際にまで進展したのだろう。詳しく解説して、わかりやすく日本中の男子に勇気を与えてくれないだろうか。

清野とおる
清野とおる
「連絡先を交換してしばらく経ったある日、壇さんから急にメールがきたんです。『今、浮間船渡にいます』と。「さてはこれは何かの罠だな?」と、半信半疑で行ったら全身黒づくめの不審女性がいて、それが壇さんで。浮間船渡で誰よりも浮いていましたね(笑)。その後他愛もない話をしながら、僕が生まれ育った志村坂上まで歩いて、そこからさらに大山商店街まで歩いたんですね。今振り返るとあの日が初デイトでしたね、完全に」
ちょっと恥ずかしそうだがまだまだ聞く予定である

籍を入れるまで、そして籍を入れてからもアクシデントの連続

ミディアムレアの説妙な焼き加減で提供される人気の「和風鉄板牛サイコロステーキ」もオーダーしよう

そして「気がついたら付き合ってて、次に気がついたら籍を入れていた」という清野さん。結婚して変わったことは?

清野とおる
清野とおる
「価値観とか人生観とか、何もかも一変するのかなって思ったんですが、今のところ特に何にも変わらないですね。あ、入籍するときに書き方を間違えて、相手の苗字になってしまったので、苗字は変わりましたけど(編注・現在は家庭裁判所の手続きを終えて再び清野姓を取り戻しつつあるが、まだ完全には戻っていないらしい)」
「結婚を公表した瞬間、普段連絡をしてない人から山のようにLINEやメッセージがきました」

結婚して人生のパートナーを得て、仕事面での変化はあったのだろうか?

清野とおる
清野とおる
「壇さん、いや『妻』は幅広い知識を持っているので、漫画の相談もできるのが嬉しいですね。ネームなんかで悩んで質問すると、どんな分野でもわかりやすい答えが返ってくる。男女関係なく、こんなにリスペクトできる人に知り合えることも滅多にないし、そんな人と結婚できてラッキーだなあ思っています」

自分は運がいい人間だから、なるべく運を逃さない努力をしている

染井温泉の副支配人が惚れ込み、連日食べ続けたという「石焼麻婆豆腐」

清野さんの口から「ラッキー」という言葉が出てきた。これまで清野さんといえば、「アンラッキー」「不運」などを売りにしてきたようなイメージがあったのだが……その認識が結婚で変わったということか。

清野とおる
清野とおる
「昔は決まったばかりの連載がすぐに終わってしまうし、それ以外にもいろいろあって、自分のことをすごい不幸で惨めな人間だと思っていた時期もありました。でも、赤羽に住みはじめてしばらくしてから、『もしかして自分はすごく幸運な人間なんじゃなかろうか』と思うようになりましたね」
フォアグラの乗った肉寿司が出てきた。口の中で溶けていく幸福の味。これほどまでに永遠を願ったことがあろうか

赤羽に住んでからは、「なるべく自分を幸運な人間だと思うようにしている」と語る清野さん。この数年は、幸運を逃さないように、いかにして自分の持っている運をコントロールするかに心を砕いているという。

清野とおる
清野とおる
「なぜかというと、自分の周りの不幸な人って、幸せな人と比べて、明確に行動が違うんですね」

不幸な人は不幸な振る舞いをしている。だからその結果不幸なのだと確信した。そして清野さんは一つの結論にたどり着いた。それは、「自分が不幸にならないためには、不幸な人とは極力関わらない」というルールだった。

清野とおる
清野とおる
「不幸な人には特有の雰囲気がありませんか? 実際に会わなくても、メールの文面でさえネガティブな雰囲気の人っていますよね。仕事でもなんでも、そういう人と一緒にいると、僕の運まで下がっちゃう気がして。人生の不幸とトラブルの大半は、対人関係にあると思うんですね。だったら、極力人に会わなければいいんです」
「そう思うようになったのが4年ほど前。そこから更に運気が上がり始めたような気がします」

漫画家としてペーペーの頃は、一人でも多くの人と会うことがすなわち仕事に繋がると思っていた。だが、決してそうとは限らないと発想を切り替えてからは、心が楽になったのだろうか、トラブルやストレスも減り、同時に作品も評価されるようになってきた。

清野とおる
清野とおる
「いい運を呼び込む努力と、悪い運を遮断する努力をしたら、結果的に壇蜜さんも天からボトッと落ちてきた(笑)」

「運は自分で呼び込むもの」。国民的女優と結婚した男の口から聞くと、なんて説得力のある発言なんだろう。

多くを求めない、今死んだっていい

運を呼び込むには心の安らぎも必要に違いない。銭湯は清野さんの安息の場なのだ。本日の染井温泉はいかがでしたか?

清野とおる
清野とおる
「お湯もいいし、メシもうまい。僕は結婚してから多くを求めないようにしているんです。運もコントロールしないといけないと思っているから。今日はいいお湯をいただけて、楽しくお酒も飲めて最高の気分。今夜、死んでもいい。いや、今死んでもいいな」

長生きしてください。

せっかく体にいいお湯に入ったんですから

そろそろインタビューも終わりに近づいてきた。染井温泉に大満足の清野さん。最後にこちらの銭湯の楽しみ方を、読者に教えてください。

清野とおる
清野とおる
「楽しみ方はひとそれぞれ。お好きにどうぞですよね。三蔵法師の手のひらじゃないけど、どこからどう攻めても、やさしく受け止めてくれます。染井温泉に甘えてしまえば気持ちよくなるんじゃないかな」

ありがとうございました。最後に清野さんにとって銭湯とは?

清野とおる
清野とおる
「……銭湯は銭湯でしょう。なにを言わせたいんですか」

「ここが僕のアナザースカイ」と言わなかった清野さんに拍手を送りつつ、最後に湯上りに思いついたと言う清野さん渾身の作品をもう1本お楽しみください。清野さんの書き下ろしが2本読めるだなんて贅沢な記事!

「天下一武道会のあとの悟空みたいに食べました」

取材・文/キンマサタカ(パンダ舎)
撮影協力/染井温泉 SAKURA

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