全国屈指の古墳数 高崎市で古代から続く歴史文化をめぐる

全国屈指の古墳数 高崎市で古代から続く歴史文化をめぐる

2020/02/21

江戸時代に高崎藩の城下町だった群馬県高崎市は、中山道の宿場町だったこともあって、モノとカネが集まる商業の街として栄えた。現在も上越、北陸新幹線と関越、北関東、上信越自動車道が交わる交通拠点都市となっている。その歴史は古く、飛鳥時代から始まっていた。

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「世界の記憶」に認定された上野三碑

「上野三碑」のひとつ多胡碑

JR高崎駅前は商業ビルが立ち並び、行き交うサラリーマンも多い。周囲を見渡すと、榛名山の裾野がどこまでも長く続いている。反対側に目を移すと、青く広がった牛伏山だ。都市のすぐそばに自然が広がっているのが分かる。
歴史をぐっと遡った飛鳥時代、この地では近畿地方の中央政権と連携した大きな勢力が、東日本をリードする形で力を持っていたのだという。それを裏付けるように、高崎には古代の7~8世紀に建立された「上野三碑」と呼ばれる石碑群が残されている。この時代の石碑は日本に18例しか現存していないという。
石碑に記された文字は、この地に住み着いた朝鮮半島からの渡来人がもたらしたもので、当時の東アジアの文化交流を示す証しとなるそうだ。非常に貴重な歴史的遺産であり、そのことがユネスコに認められて、2017年に「世界の記憶」に登録された。
そのひとつ、高崎市吉井町にある多胡碑は、多胡郡という経済地域が設立されたことを記念して建立されたもの。高さ約130センチの四角柱の碑身の上に、幅95センチ、奥行き90センチ、厚さ約15センチの笠石が覆う形になっている。
直接触れることはできないが、ガラス越しに碑に記された書を読むことができる。6行80文字の石に刻まれた漢字は、現在使用しているそれと同じで、はっきりと読み取ることができる。
書に込められた古代の人々の純粋な思いに悠久の時を感じられるから、古代ファンは見逃せない。上信電鉄吉井駅を起点に、3つの上野三碑を巡回する無料バスが45分間隔で運行している。見学する際に利用すると便利だ。

1500年前の巨大古墳

周りを囲む埴輪

あまり知られていないが、高崎に残る古墳の数は全国屈指の多さだ。なんと2741基の古墳が点在している。保渡田古墳群は5~6世紀にかけて、二子山古墳↓八幡塚古墳↓薬師塚古墳の順に造られた前方後円墳群だ。当時のままに復元された八幡塚古墳は、周囲にずらりと大量の埴輪が並ぶ。併設している「かみつけの里博物館」では、古墳時代を再現した模型が展示されていて、1500年前の古代人の暮らしや知恵に触れることができる。
「約6000本もの円筒埴輪の復元は大変で、完成まで4年かかりました」(「かみつけの里博物館」学芸担当・横山千晶さん)

八幡塚古墳の内部にある舟形の石棺

この巨大古墳の内部には、豪族が眠った舟形の石棺が当時のままあり、大きさや重量感から「偉い人だったんだなあ」とうなずける。博物館や古墳のガイドは受け付けで依頼できる。
観覧料は200円。65歳以上は無料だ。

高崎市染料植物園でも古代文化に触れられる。広大な園内にある「染料植物の道」は30分ほどの散歩道になっていて、古代から現代までの染色の歴史と、その時代に主に使われていた染料植物を観察することができ、そろそろ紅葉も楽しめる。
「染料植物という観点から、改めて歴史ごとに草木を観察すると、染め物の時代背景や生活環境など新たな発見があり、興味深いです」(園長の矢嶋穰さん)
館内では2時間程度の簡単な染色体験もできる。体験は、事前申し込みが必要だ。
(取材・文=浦上優)2019年11月6日掲載 ※情報は取材時点のものです。

伝統の技が生きる開運福だるま

絵付け体験

高崎市が全国一のだるまの生産地であることをご存じの方は多いかもしれない。開運福だるまは、江戸時代から伝統の技が継がれてきた。眉毛は鶴、ひげは亀と松をかたどり、丸い形は家庭や社会の円満を表している。「毎年11月から暮れにかけては夜中すぎまで、ひげ描きが終わりません」という「中喜屋」の代表・峯岸貴美次さんは、20年間全国のだるまを収集してきた。その数4万個以上。展示用に「達磨館」までオープンした。古今東西、多種多様のだるま見学は一見の価値ありだ。絵付け体験(600円~)もできる。

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