ふらっと立ち寄れる大衆イタリアン 渋谷|オステリア・ウララ

ふらっと立ち寄れる大衆イタリアン 渋谷|オステリア・ウララ

2020/02/09

日本人初のイタリア人! イタリア渡航歴25年。イタリアをライフワークに活躍するハヤシコウさん。自宅には醤油がない(つまり和食は食べない!)ほどイタリア料理好きなコウさんに、今行くべき東京のイタリアンを教えてもらいます。

FOOD PORT.

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注文の前に出てくる“前菜盛合せ”

 

渋谷駅と代官山駅の間にあるイタリアン。ほんというと、どちらの駅からもちょっと行きにくいのだけれど、そこが隠れ家的な感じで良いお店の「オステリア・ウララ」。このお店、着席してすぐに面白い。何が面白いって、お通し代わりに“前菜盛合せ”が出てきます。で、この前菜盛合せをつまんでいる間に、その後のメニューを決めるというスタイル。イタリア人もそうだけれど、メニューを見るよりも先に、まずはおしゃべりしたい。毎日顔を合わせている相手ならまだしも、久しぶりに会う友達だったらなおさらのこと。その点、この“前菜盛合せ”はとても良い。

イタリアでオイルといえば、オリーブオイルのこと

 

入店前に降り始めた小雨でやや蒸し暑い夜だったので、前菜盛合せの後は、北海道直送の鮮魚(鮭、タコ、カレイ)のカルパッチョを。生の魚って、醤油よりもオリーブオイルと一緒の方が魚固有の風味が楽しめると僕は思うのだけど、皆さんはどうなんだろ。ちなみに「オイル:Oi」の語源は「オリーブ:Olive」なの。だから、イタリアではオイルといえば、「オリーブオイル」のことね(もちろんほかの油もあるけど)。さて、前菜盛合せとカルパッチョの後は、やっぱりこの季節といえばポルチーニでしょ、ということで、旬のポルチーニをいただくことに。「パスタの種類はどうします?」って言われたけど、もうお任せです。

イタリアでキノコといえば、ポルチーニのこと

 

幅広の手打ちパスタ、タリアテッレでシンプルなパスタ。手打ちのタリアテッレだからこその小麦粉の香りに、てれんとした舌触り。そこに、ポルチーニのボリューミーな香りと、とろける食感。旨みがぐいぐいと来るので、パスタひと口でワイン3口はいける。このパスタ、上にかかっているパルミジャーノに隠れてカボチャを詰めたラヴィオリがいらっしゃいまして……甘いカボチャが良い口直しでした。ポルチーニとカボチャ、何とも地味な組み合わせだけど、食べてみると、華やかで色っぽい。さっきのオリーブオイルに続いてなんだけど、イタリアで「キノコ:fungo」といえば、必ず「ポルチーニ茸:Porcini」のこと。いろいろなキノコがあるけれど、イタリア人にとってのキノコはポルチーニ(もちろんほかのキノコもあるからね)。

秋川牛のランプ肉をレアで

 

パスタの後、メインは東京都内で育てられている秋川牛のランプ肉を。基本的に脂身が苦手なので、選ぶのはいつだって赤身肉。特にランプ肉はキメが細かく軟らかいから僕の好み。こちらをばっちりなレアで仕上げていただきました。赤身レア肉は、ワインをソース代わりに食べるのが良い。赤身の肉には赤ワインで、白身肉には白ワインというルールもあるけれど、温かい肉には赤ワインで、冷した肉には白ワインというのもセオリー。ぜひお試しを。

シンプルな料理にあうネッビオーロの赤ワイン

 

この日、パスタとメインに合わせたワインは、 北イタリアはピエモンテ州のランゲ・ネッビオーロ(モンキエーロ・カルボーネのレグレット)。ネッビオーロといえば、バローロやバルバレスコになるブドウ品種として有名で、しっかりとした味の高級ワインをイメージするけど、ランゲ・ネッビオーロは総じて軽やかでフルーティーなワイン。価格もバローロやバルバレスコに比べてカジュアルだし、ネッビオーロというブドウ品種を知るためにもぜひ飲んでほしい。しっとりとした秋や冬を連想させる香りはポルチーニと好相性で、メインの赤身肉にも軽やかな酸味がソース代わりにとても良い。シンプルな料理にはこうした軽やかなワインの方が良く合う。イタリアの居酒屋や食堂では、並んだ惣菜を適当にお皿に盛ってワイン飲みながらテレビを見て、おしゃべりして……ほどなくしてからパスタやメインを注文する、なんて、のどかな景色がよくあるのだけど、ここ「オステリア・ウララ」はまさにそれ。特別な日のイタリアンではなくて、何を食べようとか考えなしに、ふらりと立ち寄る大衆イタリアン。東京にこうしたのどかな大衆イタリアンが増えたらもっとうれしいのに。

ハヤシコウ

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