熱狂的な鯉党・杉作J太郎さんと行くカープ聖地巡礼

熱狂的な鯉党・杉作J太郎さんと行くカープ聖地巡礼

2016/10/11

四半世紀ぶりのリーグ優勝を決めた広島東洋カープ。勝利に沸く現地広島は大盛り上がり。40代の地元紙記者も「今年の広島はオバマ大統領来訪とカープ優勝。とんでもない1年になった」と漏らします。そんなミラクルな街・広島に熱狂的なカープファンで知られる杉作J太郎さんが乗り込みました!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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生粋の鯉党が運転する真っ赤な車でカープの聖地を巡る

漫画家、俳優、映画監督、ライター、ミュージシャン……様々な顔を持つ杉作J太郎さん(55歳)。テレビから雑誌、リアルイベントまでメディアや場所を選ばず、マルチな才能を発揮する杉作さんですが、実はファン歴40年の生粋の鯉党でもあります。

そんな彼が、カープ優勝に感謝の意味を込めて、またクライマックスシリーズ(CS)での勝利を願い、聖地巡礼をしたいというので、ライフマガジン編集部もご一緒に取材させていただくことになりました!


取材当日、JR広島駅近くで待っていると、遠くからカープのチームカラーを彷彿とさせる赤色のワゴン車がやってくるではないですか! まさか、あの車に………。

出たーっ!!

真っ赤な愛車で、広島発のパン屋さん「アンデルセン」のパンを食べながらやって来た杉作さん
杉作J太郎さん(以下、杉J)
杉作J太郎さん(以下、杉J)
こちらもよろしくお願いします! カープの聖地って、僕も行ったことのない場所多いんで、楽しみですよ!! それじゃ、乗ってください。

――「乗って」って……車に乗せていただいていいんですか?

杉J
杉J
当たり前じゃないですか! さぁ、行きましょう!!

こうしてライフマガジン取材班は、杉作さんの愛車でカープ聖地巡礼をすることになったのでした…。

取材スタッフを乗せ、広島の街へと繰り出した真っ赤な“杉J号”。ハンドルを握る杉作さんの、この澄んだ瞳と穏やかな表情…カープ優勝の喜びを噛み締めている男の横顔は実に美しい

最初に一行が訪れたのは、広島の中心部・八丁堀にある「カープベースボールギャラリー」。球団とその関連会社「カルピオ」が運営しており、球団の歴史を振り返る展示物や、ここでしか売られていないカープグッズも買うことができる、知る人ぞ知るスポットです。

まず、ギャラリーに足を踏み入れると目に飛び込んできたのが、「CENTRAL LEAGUE CHAMPIONS 2016」と書かれた巨大なバナー(旗)。

感涙にむせぶカープ坊やとダブルVサインポーズを決めるカープおやじ

実はこれ、リーグ優勝した夜のビールかけ会場に、実際に掲げられていたもの。しかも説明書きには「ビールのニオイが残っています」と書かれてあります。これはテンションが上がります。

もちろんニオイを嗅ぐ杉作さん。優勝を待ち焦がれたカープファンなら、みんな同じことをやってしまうはず
杉J
杉J
くんくんくん。この辺に緒方監督が積年の思いでかけたビールが……こっちには黒田の男気あふれるビールの香りが……って、ぜんぜん匂わない!

担当者によると、旗が届いたときは本当に匂いが残っていたそう。しかし、あまりにビール臭かったため、スタッフが一生懸命拭き取り、肝心の“勝利の香り”まで消し去ってしまったとか。

バナーと同じくビールかけ会場に掲げられていた横断幕。会場となった(カープの東京の定宿でもある)品川プリンスホテルから寄贈された。こちらもキレイに拭き取られたため、ビールの臭いはしない

さらに東京ドームでの胴上げシーンを再現した大型写真も展示。こちら、指定の台に乗って撮影すると、こんなステキな写真が撮れます。

緒方監督になりきり、大興奮の杉作さん。満面の笑みながらも心なしか目には光るものが……
杉J
杉J
いやー、ここは素晴らしい場所ですね。この手の展示館って、妙にプロ(業者)の手が入ってるものじゃないですか。でもここは違う。あったかい手作り感がありますよね。それと、さっきの(ビールかけで使った)旗なんか、触れる状態で展示してくれていたり、ところどころに球団とファンの近い距離感を感じます。実にカープらしいギャラリーですよ。
2016年シーズンを振り返るパネル展示場に貼られた《戦 い はま だ ま だ 続 く …》と明朝体で印字された10枚のコピー用紙。「この手作り感、ぬくもりこそカープの真骨頂」と杉作さんは言う
杉J
杉J
さらにもう1つ。入場が無料というところも嬉しいですね。これだけ、カープの栄光の歴史を振り返れて楽しめる施設なんだから、私ならワンコイン、500円くらいの入場料をとりますよ。でも金は取らない。これがカープですよ。ええ、カープファンなら絶対に来るべき場所じゃないでしょうか。

優勝の陰に神様の力アリ!? 広島護国神社が選手に配った奇跡のお守りとは?

カープと深い縁があるという「広島護国神社」。神聖な場所に来たためか、杉作さんも心なしか神妙なおももち

続いて向かったのは広島城内にある「広島護国神社」。カープは毎年、シーズンが始まる前にこの神社を訪れ、必勝祈願をしています。杉作さんも、CS突破のお願いをしにやってきました。

本殿左脇の絵馬掛所に掛けられた絵馬には、早くも「日本一」を願うカープファンのものも
「カープ優勝にあやかって、いい結果が出るかも」と言いながら恋みくじに手を伸ばす50代男性

カープの守り神がおわす神聖な場所に背筋が伸び気味の杉作さん。そんな杉作さんが、禰宜(ねぎ)の潮康史さんにカープと護国神社のご縁についてお聞きしました。

カープの選手たちが昇殿参拝をした後、必ず触るという昇鯉(しょうり)の像。こちらは本殿右側にあるが、反対には縁結びを祈願する「双鯉(そうり)の像」もあり、受験や仕事、恋愛成就を願うなら訪れたいスポットだ
杉J
杉J
護国神社に来たのは初めてなんですよ。まずカープと護国神社の関係を教えていただけますか? 
潮康史さん(以下、潮さん)
潮康史さん(以下、潮さん)
原爆が投下されるまで護国神社は、旧市民球場の辺りにありました。だから、球場取り壊しのときは神社の礎石が見つかったりもしたんですよ。原爆投下の後、今の場所(広島城内)に移りましたが、広島城の別名は「鯉城(りじょう)」。カープ(carp=鯉)のチーム名はここから採ったものなんです。
杉J
杉J
ある意味でカープ発祥の場所でもあるんですね!

そんなカープと縁の深い護国神社が、実は、今年のリーグ優勝にも貢献しているのだとか!?

潮さん
潮さん
以前から「勝」と刺繍した青いお守りはあったんですが、今年、初めてカープと同じ赤いお守りをつくり、必勝祈願のときに選手の方々に配ったんですよ。
杉J
杉J
それでリーグ優勝……ということは、ご利益ありまくりじゃないですか。というかなんで今まで赤いお守りを作ってなかったんですか!
一般の人にも頒布(初穂料を納めることで入手可能)されている護国神社のお守り。杉作さんは迷わず赤、青いずれも購入。今年新作の赤色バージョンは、カープファンなら是非ゲットしたいところだ

旧広島市民球場跡地に残る“カープ文化遺産”

さて、そんな護国神社から歩いて10分あまりの場所にあるのが、旧広島市民球場。今は、スタンドの大部分が取り壊され広場のようになっていますが、かつてカープがここで戦っていたという証も、きちんと残っています。

それがこちら。

1975年の初優勝から91年の前回優勝までが刻まれているリーグ優勝記念のモニュメント
杉J
杉J
おお! 優勝記念のモニュメント!! というか、書けるスペースがあと2回分くらいしかないのが奥ゆかしいですね。
こちらは「日本選手権シリーズ優勝記念」のモニュメント。杉作さんの青春時代を彩ったカープの黄金期……強かったあの時代が、また再び!
杉J
杉J
こっちは日本シリーズ制覇の記念モニュメントですか。79年、80年、84年とすべて4勝3敗…カープが日本一になったときって、全部、第7戦まで粘っているんですね。ちなみに、これも書けるスペースに限りがありますね。今年、優勝したら新しいのでも作るんでしょうか。
そして極めつきはカープが誇るレジェンド「衣笠祥雄 世界新記録達成記念(連続出場試合記録)」のモニュメント。全力のダブルサムアップで、伝説の男を称える杉作さん
杉J
杉J
球場は跡形もなくなくなりましたが、カープの歴史がこうやって残されているのはありがたいことです。しかも、ここも無料(タダ)で立ち寄れるスポット。やはりカープは、市民球団の鑑ですよ!

この「勝鯉(しょうり)の森」は、カープの歴史を静かに物語るかのような、荘厳さが漂うエリア。カープ女子とデートする男性は、ここで落ち着いた大人な一面を見せると、高感度がアップするかも……?

選手本人もやってくる“お宝野球グッズ専門店”で値段の付け方聞いてみた

JR広島駅からマツダズームズームスタジアムに続く通称「カープロード」にて、今シーズン大ブレイクした鈴木誠也選手の(旗の)前で、広島カープ応援ドリンクを「セイヤッ!セイヤッ!」と一気飲みする杉作さん

カープ聖地巡礼もいよいよ佳境。続いて杉作さんが向かったのは、マツダズームズームスタジアムのそばに店を構える「セレクション スタジアム店」です。カープの選手はもちろん、数多くの名選手が実際に使用した野球用具、直筆サイン、そして関連グッズが溢れんばかりに並べられています。

お宝の山のバックに、ツーシームともフォーシームともガチョーンともつかない手つきでカメラマンに念を送る杉作さん
杉J
杉J
お、いきなり津田(恒美投手)のグローブ! 色紙に書かれたサインもカープの選手に限らず、たくさんありますねぇ。福本豊「何事も辛抱」、山本一義「日々新たなり」……うーん、(サインに)添えられた一筆にも含蓄がある! サインボールもこれまた所狭しと……あっ! 江川、しかも学生時代のやつじゃないですか!!
大学生時代の江川卓さんのサインボールの隣には長嶋茂雄さんのサインボールが
非売品ながら、カープ初のリーグ優勝、91年リーグ優勝時のウィニングボールも展示されている

店内に置かれているグッズを見れば、杉作さんでなくともプロ野球ファンなら大興奮してしまうことでしょう。こちらで社長を務める山田一雄さんのお爺さんは、なんと戦前のプロ野球選手だとか!

社長の山田さんは、豊富な経験とたしかな目利き力から、テレビ出演して鑑定することも。ただ、「嘘はつきたくないので、台本通りにやってほしいという番組は、お断りしています」という頑固な一面も
杉J
杉J
本当にたくさんのお宝がありますが、どうやって入手されるんですか?
山田さん
山田さん
関係者と、あとは親族の方が「自分が持っていても仕方ないから」ということで譲っていただくこともあります。
杉J
杉J
選手本人からもらえることも?
山田さん
山田さん
さすがに道具をいただくことはありませんが、選手の方がお見えになることはありますよ。
杉J
杉J
えっ、選手本人が店に来るんですか?
山田さん
山田さん
はい。自分のグッズがどれくらいの値段になっているか気になるようです(笑)。
店内には野球ファン垂涎のお宝グッズがたくさん。あまりの品揃えに、販売店を通り越して博物館の趣すらある
杉J
杉J
ちなみに値段はどういう風に決めるんですか?
山田さん
山田さん
これが難しいところなんですよね。基本的には「人気」と「成績」。そして最も価値を上げるのが「カリスマ性」です。これらを見て、値段を決めています。カリスマ性というのは、今年のカープでいえば黒田博樹のような存在ですね。
杉J
杉J
カリスマ性がない選手のグッズは安価になる…そりゃ選手も気になって値段をチェックしに来ますよね(苦笑)。
“炎のストッパー”津田恒美の実使用グローブとサインボール(非売品)。最近、津田元投手の息子さんが「見たい」との希望で来店したとか
杉J
杉J
社長はかなりのコレクターとお見受けしましたが、そういう方からすると正直なところ売りたくなかった商品などもあったんじゃないですか?
山田さん
山田さん
そうですね。最終的にはお客さまに提供しましたが、前田智徳の背番号「51」時代のユニフォームは、そういう商品でした。
杉J
杉J
おー! ちなみに、それはおいくらくらいで……?
山田さん
山田さん
150万円です。
!!!!!
山田さん
山田さん
ユニフォームの支給枚数が今よりも少なかった時代ですし、何よりも、あのイチローが憧れた「背番号51」ですからね。ちなみに天才・前田の実使用バットには、10数センチの決まったところにしか打球痕が残っていません。多くの選手のバットを取り扱ってますが、他の選手の打球痕はもっと広範囲。前田のバットコントロールの良さは、残されたバットが物語ってくれます。

そこで山田さんが「持ってみます?」と言いながら出してくれたのが、丸佳浩選手のバット。お値段、15万円也。

丸選手のバットの感触と打球痕の位置を確かめる杉作さん。先程までのにこやかな表情が一変、職人(というか殺し屋)のような顔でバットを品定め
杉J
杉J
いやぁ、重みを感じますね。特に、お値段の重みを……。
山田さん
山田さん
あはは(笑)。でもこの値段は、ウチで売っているバットでは、中くらいのクラスですよ。
杉J
杉J
こんな高価なバット、どんな人が買っていくんですか?
山田さん
山田さん
もちろん、ファンの方がコレクションとして手にされるケースも多いですが、2000本安打や200勝など、記録を達成した選手・投手に「あやかる」目的で、道具を買っていかれる方もいます。あとは、女性のお客様も。
杉J
杉J
女性ですか!? どんな目的で買われるんですかね?
山田さん
山田さん
ファンの方だとは思いますが、目的までは……。
杉J
杉J
臭いますね。亭主をバットで殴るくらいしか、使い道が思い浮かびませんよ。

超太っ腹! マツダスタジアムの“ただ見エリア”で杉J感動!

歓声が漏れ聞こえてくるスタジアム前で否が応でもテンションがあがる杉作さん

最後に訪れたのは、もちろん「マツダズームズームスタジアム」。取材したこの日は、対中日戦が行われておりましたが、入場券は完売。なんでも6月にカープが11連勝してから、ファンは優勝の空気を察知し、レギュラーシーズン終了までのチケットは完売してしまったとのこと。

スタジアムに入れず、思わず金網を握りしめる杉作さん
杉J
杉J
あぁ、スコアボードだけはちゃんと見えるのに、菊池も新井もヘーゲンズも丸も、肝心の選手の姿が全然見えない……。

そんな杉作さんに耳寄りな情報が!

「球団公認の『ただ見エリア』があるんですよ」

そう教えてくれたのは、スタジアムそばにいた広島在住のファン。なんでも、レフトスタンドの外周から球場内を見られるエリアがあるそうです。

内緒のスポットかと思いきや、こんな案内板も。なぜか悪巧みしたような笑みを見せる杉作さんですが、こちらのエリアは球場公認です
杉J
杉J
ただ見エリアをこんな堂々と教えてくれてるなんて、カープはなんて太っ腹なんでしょうか! 

なお、ただ見エリアがあるのは、外野砂かぶり席の後方。高く上がった打球を目で追うことはできませんが、レフトやサード、ショートの選手ははっきりと見える場所です! また、ちょっと遠いですが、バッテリーと打者の姿も確認できます。

ただ見エリアから食い入るように試合を眺める杉作さん。同エリアには「30分を超える観戦はご遠慮ください」との注意書きもあり、長居は禁物。有料入場者への配慮も忘れずに
杉J
杉J
これですよ! チケットを入手できなかったファンや、そもそも野球をあまり観たことのない人のために、こうしたエリアを設ける。そうすると、「次はスタジアムの中で観よう」「球場に行けない日でも、テレビの前で、みんなで応援しよう」と、ファンの輪が広がっていく。その応援の力が、チームを後押ししていく……まさに、みんなで赤ヘル軍団を支える“全員野球”!! これが、カープの哲学ですね。

杉作さんの言葉どおり、今回お邪魔した“聖地”に身を置く人々は、みんな野球とカープを愛し、「自分のできることで、チームを支えていこう」という心意気を持った方ばかりでした。広島東洋カープはこの“全員野球”で、必ずやCSファイナルステージ、そして日本シリーズを勝ち抜いてくれることでしょう!!


杉作J太郎――すぎさくじぇいたろう。男の墓場プロダクション代表。1961年生まれ。愛媛県出身。漫画家として世に出、ミュージシャンとしてアルバムをリリースする一方、映画監督としても活動し、2003年に男の墓場プロダクション立ち上げ。現在は、東京と地元・愛媛の2拠点で映画の制作・編集を行う。

取材・文/藤麻迪

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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