名古屋発“黒くないコーヒー”が挑む、新・健康飲料とは

名古屋発“黒くないコーヒー”が挑む、新・健康飲料とは

2020/02/16

コーヒーは、味や香りを楽しむ“嗜好品”から、健康“志向品”へ進化する?研究開発に情熱を注ぐ「Roasters Lab Lig(ロースターズラボ リグ)」を訪ねた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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「全く新しいコーヒー」が体感できる秘密基地

窓を大きくとったモダンな外観が目印。名古屋市営地下鉄・八事日赤駅から徒歩15分ほどの場所にある

2019年4月、名古屋市昭和区に“究極の健康コーヒー研究所”として「Roasters Lab Lig」がオープン。コーヒー豆を使用した健康飲料「O CHER(オーカー)」の研究開発と、ドリンクの試飲や販売を行なっている。

独自の世界観を追求した、高級感の漂う店内

「『O CHER』は、一般的にコーヒーとしてイメージするような黒くて苦い飲み物ではない、全く新しい健康飲料なんです」。そう語るのは、所長の加藤拓磨さん。

まだ世の中に普及していないこの飲み物を正確に伝えるため、興味を持ってくれた人へ向けて、まずはこの研究所で試飲を勧めているという。

おしゃれなバーのような雰囲気

店内にはギャラリーと見紛うほど美しく陳列された商品展示スペースと、コーヒー豆の焙煎機を取り囲むように設置された5席のカウンターがある。

このカウンターで、加藤さんからの説明を受けながら「O CHER」の試飲が可能だ(4種/1000円〜)。明確なメニューリストはなく、来客者の好みの味や体調などに合わせて、「O CHER」とハーブや茶葉をブレンドしたオーダーメイドのドリンクを提供している。

「Roasters Lab Lig」所長の加藤拓磨さん

その「O CHER」とは、一体どんな飲み物なのだろうか。「最大の特徴は、これまで焙煎段階で失われていたコーヒー豆の栄養素が欠けていないことです」と加藤さんは答える。

「実はコーヒー豆は、生豆の状態から焙煎する過程で、本来持っている健康成分が失われているんです」。

左が通常のコーヒー豆、右が「O CHER」で使用する豆 ※販売はティーバッグか粉状のみ

「O CHER」は、独自の手法で加熱しすぎず焙煎することで、生豆の段階で含まれているクロロゲン酸やトリゴネリンといった栄養素を保持したまま製品化したのだという。

黒くない健康コーヒー!?「O CHER」に迫る!

自信たっぷりに話す加藤さんに促され、取材班もさっそく試飲をさせてもらうことに。美しいワイングラスに注がれたのは、コーヒーに圧力を掛けるタイプの抽出器具、アメリカンプレスで淹れられた、黄土色の液体。これが「O CHER」だ。

ocherは、英語で「黄土色」という意味

一口飲んでみると、ほのかなコーヒーの香りと共に、大豆のような芳ばしい味わいが薄っすらと感じられた。

あくまで健康飲料ということで、このまま味わうというよりは、ストレートタイプをベースにしてさまざまなハーブや茶葉とブレンドする飲み方をオススメしているそう。

光サイフォンで抽出したハーブティーは見た目も美しい

次に試飲させてもらったのは、「O CHER」とローズを中心にしたハーブブレンドティー。「O CHER」自体の香ばしさに加えて、ハーブのやさしい甘味と酸味がマッチして、ぐんと飲みやすくなった。

このほか、加藤さんが自ら農園で手摘みしたという無農薬の和紅茶をブレンドした、和食にも合いそうな味わいのブレンドティーや、“映えるお茶”として昨今人気の青いお茶、バタフライピーをブレンドしたハーブティーなど、見た目も味もバラエティ豊かな飲み方で試飲をさせてもらった。

「O CHER」とハーブをブレンドすることで、健康成分の相乗効果を狙っている

現在、研究所で取り扱っているハーブや茶葉は約30種類。国内外の農園に自ら足を運んで厳選し、オーガニックにこだわって仕入れをしているという。

バタフライピー、ハイビスカス、煎茶をブレンド

「コーヒーはなぜ黒い?」タイ北部のコーヒー農園で感じた素朴な疑問

「O CHER」開発のきっかけは意外にも、2012年に加藤さんの実姉がタイ北部の少数山岳民族であるアカ族の男性と結婚したこと。

「好奇心で、姉の嫁ぎ先であるアカ族の村を訪れました。そのとき、アカ族が営むコーヒー農園で、コーヒー豆の原料であるコーヒーチェリーの収穫風景を見たときに『コーヒーはなぜ黒いのか?』という素朴な疑問が湧いたんです」。

それまではコーヒーに興味がなかったと話す加藤さん

「コーヒーチェリーは、赤い果実でした。その赤い果肉を取り除き、種子を乾燥させ、焦がして、黒いコーヒーを作っているわけです。その事実を知って、コーヒーが黒いという今まで当たり前だと思っていたことに対して、『そもそも黒いというのがおかしいのでは?』と思うようになりました。

そこから興味が湧いたのと、もともと凝り性ということもあって、独学で焙煎を学び始めました」。

PCと連動した焙煎機。10秒ごとに加熱する繊細な作業を行なう

アカ族によって有機栽培されたコーヒー豆は、最高品質の豆として世界的にも評価が高いのだとか。

そんなアカ族のコーヒー豆を使って、新たなコーヒービジネスを始めたい…。そう考えて1人で模索する中、転機となったのは現在研究所の代表を務める石井竜馬さんとの再会だ。

代表の石井竜馬さん。ホットヨガスタジオの経営も行う起業家だ

かつて学生時代に加藤さんと野球のバッテリーを組んでいたという石井さんは、子どもの頃から好奇心旺盛で健康志向が高かったのだそう。

加藤さんと共にアカ族のコーヒー農園を訪れた石井さんは、コーヒー豆が本来持っている健康成分に注目。そして、栄養効果を損なわない「O CHER」の開発を目指すことを決意した。

ビジネスでもバッテリーを組んだ2人

約7年の歳月をかけて製品化に成功

そして、コーヒーの生豆を焙煎する過程で起こる味や成分、風味などの変化を第三者機関と協力して研究。約2年間かけて、健康成分を失わず、かつ飲料として味わえる焙煎方法を確立させた。

「O CHER ストレート ティーパック 10g×6p」(2130円/税抜)

「O CHER」の注目度は高く、研究所には東海地方だけでなく関東などのさまざまなエリアからの来客があるという。

また、2019年度の新あいち創造研究開発補助金の対象企業にも選出。現在は焙煎工程における成分の変化や体内への作用などを、名古屋大学農学部と共に研究を重ねているのだとか。

今後は論文執筆もしていきたいと意欲を燃やす加藤さん

最後に今後の展望を伺うと、「『O CHER』が新たなコーヒーの選択肢の一つとして、日常の中に当たり前に存在するようになればと思っています」と石井さん。さまざまな企業や団体とコラボレーションもしていきたいと意気込む。

研究所は13:00から23:00までオープンしているので、ぜひ一度足を運んでみては。じっくり話を聞きたい人は、予約をしてから訪れるのがベターだ。
※予約は最大5名まで、不定休

取材・文/前田智恵美 撮影/森澤直人

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