山本益博×太田哲雄×三枝俊介が語る「本物のチョコレート」とは

山本益博×太田哲雄×三枝俊介が語る「本物のチョコレート」とは

2020/03/27

2月20日(木)、料理評論家の山本益博さんが主宰する「Masuhiro Juk -未来への教室-」が開催されました。第3回は、『アマゾンの料理人』でおなじみの太田哲雄さんとショコラティエの三枝俊介さんを招き、カカオとチョコレートについて学ぶ会。そのイベントの様子をお届けします。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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料理人や職人から料理哲学を学ぶ小さな塾「Masuhiro Juk」

会場のDMO TOKYO / Marunouchiには70名ほどの人が集まった

料理評論家の山本益博さんが主宰する「Masuhiro Juk」は、料理人や職人から料理哲学を学ぶ小さな塾。哲学といっても、高尚な学問というよりは、生活的教養に近く、彼らから、料理に対する情熱、信念、使命感をうかがうもの。優れた同時代人から生きるヒントをいただく「未来への教室」でもあります。

第3回は、書籍『アマゾンの料理人』の著者・太田哲雄さんと、世界で初めてホワイトチョコレートの専門店をオープンしたショコラティエの三枝俊介さんが、カカオそしてチョコレートについて語ります。

vol.3 アマゾンの料理人と丸の内のショコラティエ

全く異なる角度からカカオにアプローチする三枝さん(中央)と太田さん(右)

\トークをするのはこちらの方々/

山本益博(やまもとますひろ)

山本益博(やまもとますひろ)

料理評論家

太田哲雄(おおたてつお)

太田哲雄(おおたてつお)

料理人

三枝俊介(さえぐさしゅんすけ)

三枝俊介(さえぐさしゅんすけ)

ショコラティエ

益博さん
益博さん
「私がフランスに初めて行ったのは45年以上前のこと。当時のチョコレートのお店といえばゴディバやマルキーズ・ドゥ・セヴィニエでしたが、今ではショコラティエの時代になってきました。本日は、チョコレートの変遷を探りつつ、カカオがどのような過程を経てチョコレートになるのかも併せてご紹介したいと思います」

本日はチョコレートの試食もできるということで、間髪入れずにトークがスタート!

パティシエからショコラティエに転向した三枝俊介さんとカカオの出合い

パティシエから始まりショコラティエとして働く現在までキャリア42年の三枝さん
三枝さん
三枝さん
「20年ほど前にフランス・リヨンのショコラティエ、故モーリス・ベルナシオンさんのところに勉強に行きました。フランスに行く前は、カカオからチョコレートを作るのは無駄なことじゃないかなと思っていたんです。ところが、フランスに行き、チョコレートに鮮度があることを知って衝撃を受けました。その後、パティシエを辞めてショコラティエになり、大阪と東京にお店を出して、昨年、東京・南青山にホワイトチョコレートのBean to Bar(ビーントゥバー)専門店『ショコラティエ パレ ド オール ブラン』をオープンしました」
益博さん
益博さん
Bean to Barとはどのようなものか、改めてご説明をお願いします」
三枝さん
三枝さん
「Barは板チョコを表していて、カカオ豆からチョコレートになるまで一貫して製造する過程をBean to Barと呼びます。最近のBean to Barは、1つの産地、1つの豆というシングルオリジンにこだわっていて、豆の味をそのまま生かしてチョコレートを作っています。でもベルナシオンは、10種類くらいのカカオ豆をブレンドして、最初から“ベルナシオンの味”のチョコレートを作っていました」
故モーリス・ベルナシオンさん(左)と若かりし頃の三枝さん(中央)の写真も見せてくれた
益博さん
益博さん
「三枝さんはベルナシオンに影響を受けたことがきっかけでショコラティエになられたということですか?」
三枝さん
三枝さん
「そうですね。フランスに行かなければショコラティエになっていなかったかもしれないですし、いまだにお菓子の一つとしてチョコレートを扱っていたかもしれません」
益博さん
益博さん
「三枝さんはチョコレートのどんなところに魅力を感じていますか?」
三枝さん
三枝さん
「あらゆる食材の中で、カカオは世界的に見ても一番グローバルな食材だと思うんです。まず、子どもから大人までみんなが食べられるし、体にいい効果がある。それから、宗教による縛りがありません。そういう意味ではすごく可能性がありますし、チョコレートを食べている間だけかもしれませんが、幸せを味わってもらえる食材ではないでしょうか」
益博さん
益博さん
「フランスで勉強していた当時から考えると、ショコラティエと聞いてどんな仕事をしている人かわかる時代になることは予想できていましたか?」
三枝さん
三枝さん
「いえ全く。チョコレートの専門店を作っても商売にならないと思っていました」
益博さん
益博さん
「当時はまだ、バレンタインデーにチョコレートを贈る習慣がありませんでしたね。それから日本中の人がバレンタインデーにチョコレートを食べる日が来るとは、40年前には考えられませんでしたね」

食べ歩きが好きだった太田哲雄さんがアマゾンの料理人になるまで

中学・高校生の頃からヨーロッパの食文化にひかれ、料理人になることよりも、おいしいものを食べ続けたいという思いが強かったという太田さん
益博さん
益博さん
「太田さんは10代の頃から私が執筆した本を読んで、私がオススメするレストランに足を運んでくださっていたそうですが、どういう経緯でアマゾンカカオにつながっていったのですか?」
太田さん
太田さん
「19歳の時、語学留学でイタリアに行き、せっかくイタリアに来たのだからミシュランガイドで星を獲得しているお店を食べ歩こうと思いまして……」
益博さん
益博さん
「ずいぶんとませていますね(笑)」
太田さん
太田さん
「イタリアでやることがなくて(笑)。食べることに関する好奇心が強かったのでしょうね。まずイタリアで10年くらい料理人として働いてからスペインに渡りました。スペインでは中南米の子たちと一緒に生活していたのですが、彼らに今の世界中の食材のほぼ全ての原種や起源は中南米だということを教えてもらいました。それでヨーロッパ以外の国にも行ってみたいなと思い、南米のペルーに行きました」
太田さんとアマゾンカカオの出合いを掘り下げる益博さん
益博さん
益博さん
「南米にもいろいろな国がありますが、なぜペルーを選んだのですか?」
太田さん
太田さん
「初めはブラジルに行こうと思ってポルトガル語を勉強していたのですが、南米のことを調べていくうちに、ペルーの食の世界がアツいことを知ったんです。その背景には、『アストリッド・イ・ガストン』というレストランをやられているガストン・アクリオがいることがわかりました。そこで働いているシェフは世界中の有名なレストランから勉強に来ている子たちばかり。ガストンは時代をリードしていると思い、ペルー行きを決めました」
ペルーに行ったことがきっかけでアマゾンカカオと出合ったという太田さん
益博さん
益博さん
「そこでカカオと出合ったのですね」
太田さん
太田さん
「そうですね。ヨーロッパにはすごくおいしいものがあるんじゃないかと思って、実際に行ったらすごくおいしいものがありました。ペルーに行く時も、おいしいチョコレートが食べられるんだろうなと思って行ったのですが、あまりにもおいしくなくてビックリした記憶があります(笑)。コーヒーもおいしくなくて……。ただ、カカオもコーヒーも生産量は多いのに、なぜこんなにおいしくないものを作っているのかなと思い、それを解明するためにカカオの生産地であるアマゾンに向かいました」
益博さん
益博さん
「お二人がカカオにたどり着くルートがあまりにも違うので驚きますね」

カカオそしてチョコレートはとても奥が深い食材

カカオ豆をローストしている三枝さん。山梨県の清里高原に工房を構え、Bean to Barのチョコレートを製造している
益博さん
益博さん
「カカオがどのような過程を経てチョコレートになるのかご存じない方も多いはずです」
三枝さん
三枝さん
「普段の生活の中で、チョコレートがどのように作られているのか意識することはほとんどないと思います。チョコレートはお店の棚にあっておいしいもので、私に関してはチョコレートを材料にお菓子を作っていたわけです」
益博さん
益博さん
「ホワイトチョコレートは普通のチョコレートと製造工程が異なるそうですね」
三枝さん
三枝さん
「カカオをつぶしたペーストを使ってホワイトチョコレートを作るのですが、まずはカカオバターという脂だけ取り出します。カカオ豆には6割くらいの脂が入っています。普段、カカオバターは業者から買いますが、無味無臭になるように加工されています。本物の豆を絞ったものはカカオの香りや味がします。カカオバターに、お砂糖と粉ミルクを入れて練り合わせるとホワイトチョコレートができます。それから、カカオバターの残りを粉状にしたものがカカオパウダーです。これも加工されていて、カカオから絞ったものはけっこう酸っぱいんです。酸っぱくならないようにカカオ豆に事前にアルカリ処理をしています」
カカオペーストは3日間回し続けるのだとか。2019年10月、南青山にオープンした「ショコラティエ パレ ド オール ブラン」では、ガラス張りの工房でホワイトチョコレートを製造する過程を見られるという
三枝さん
三枝さん
「本物のホワイトチョコレートは世の中にほとんど出回っていません。私は、なんでホワイトチョコレートはカカオの香りや味がしないんだろうとずっと疑問に思っていたのですが、自分でBean to Barをするようになってわかったんですね」
太田さん
太田さん
「三枝さんが昨年ホワイトチョコレートの専門店をオープンした時に、三枝さんってやっぱり“変態”なんだと思いました(笑)。そっちの世界を攻めるかと思って。今まで誰もやろうとしなかったことをやろうとする素晴らしさ。本来こうあるべきなんですよね」
三枝さん
三枝さん
「Bean to Barのチョコレートを作っている人たちはチョコレートまでは作れるけど、そこから先のボンボンショコラを作ったり、創作をできない人が多い。私はホワイトチョコレートはスピンオフの商品だと思っていて、カカオから派生してホワイトチョコレートを生かしていこうと思っています」
太田さん
太田さん
チョコレートは発酵食品で、乳酸発酵の後に酢酸発酵をしています。発酵させないとチョコレートのベースができません。そもそもカカオ豆は味がなくて、大豆のようなイメージですね。なぜカカオの豆自体がフルーティになるのかというと、発酵させる工程の中で種の周りに付いている白い果肉の部分が溶けて種に浸透することで、種自体がフルーティになってくるんです。私たちは、発酵の温度や機械、発酵のさせ方などにとてもこだわります」

カカオの生産地ではフルーツとして食べられている

話題は、チョコレートの話から原料であるカカオの話へ
太田さん
太田さん
「チョコレート自体はすごく華やかなイメージがあると思いますが、カカオはフルーツで、アマゾンの中で採れるんです。カカオの原種はアマゾンの中で見つかったと言われていて、カカオを加工してでき上がったのがチョコレート。みなさんが口にしているチョコレートに使われているカカオの90%以上は栽培されたものです。アマゾンの奥地には天然のカカオもありますが、それだけでは今の世界中のチョコレート需要をカバーすることができない状況です」
益博さん
益博さん
「カカオはフルーツということに驚きますね」
太田さん
太田さん
「カカオもコーヒーも、そのものの実を食べてチョコレートだという人がいたら味覚障害です(笑)。チョコレートの味はしません。木にぶら下がっているカカオを割ると中から白い果肉が出てきますが、果肉はマンゴスチンとかライチのような味がします。だから現地の人たちにカカオは何かと聞くとフルーツだと答えます。現地の人たちは、私たちがフルーツを食べるようにカカオの実を割って中の果肉を食べています」
益博さん
益博さん
「チョコレートが食べられるようになったルーツもおもしろいですよね」
太田さん
太田さん
「ある時森が火事になって、畑にあるコーヒーやカカオがいぶされました。それによって種の中に含まれる糖分がメイラード反応を起こして今のチョコレートの香りが立ち、その香りを嗅いだ時にこれは食べられるんじゃないかということで、石臼で挽いて飲んだというのが始まりだと言われています。だから偶然の産物ですね」

世界的なカカオ需要の裏で生産地はさまざまな問題を抱えている

本題である、カカオの需要と供給の裏にある問題に迫る
益博さん
益博さん
「アマゾンでは貧困や児童労働の問題を抱えているそうですね」
太田さん
太田さん
「今、世界的に見ても供給が間に合っていないくらいチョコレートの需要が非常に高いんですね。サロン・デュ・ショコラなどのチョコレートのイベントはとても華やかで、私たちが作るものは1個100円とか200円ではなく、けっこういい値段がするんです。では、カカオを生産している人たちの生活はどうなのかというと、私たちの生活からはかけ離れていて、少し貧しい環境の中で暮らしています」
益博さん
益博さん
「そこで太田さんはどのようなはたらきかけをされているのですか?」
太田さん
太田さん
「アマゾンにある“カカオ村”の人たちはみんなカカオに携わる仕事をしています。そのカカオが売れなくなると、村自体がダメになってしまう。原産国の人たちを先進国の人たちが吸い上げるのではなく、支えていく時代になっているのかな思っています。だから私もできるだけ彼らが自立できるような活動をしています。年に数回、現地に行って技術的な指導をしますが、それ以外にも彼らにやる気を出してもらう、彼らに自分たちが作っているカカオの素晴らしさを知ってもらう努力をしています」
三枝さん
三枝さん
「太田さんがお話しされていたこと以外にもいろいろな問題があると思います。カカオが採れるところはすごく暑くてあまり衛生的に良い環境ではないので、発酵まで現地でやって、その後カカオ豆をほかの国に持って行きチョコレートに加工しています。そういう背景もあり、お互いのことを理解していないことからさまざまな問題が起きているように思います。それがようやくカカオからチョコレートを作るようになって、なんとなく向こう側が見え始めてきたというのが現状です。私は農園を持っていないので、できるだけいいカカオ豆を見つけて、そういう農家とやりとりをして現地の方に貢献していきたいと思っています」
太田さん
太田さん
「これから意識を持った若い世代の人たちが出てくると、“カカオ村”が助かっていく。先進国も発展途上国も末長く歩んでいくことにつながるんじゃないかなと思っています。日本は自給自足率がほぼないんですね。自給自足率がない国は輸入に頼るしかない。輸入に頼る国が輸出する国のことを考えないと未来がないと思います」

カカオやチョコレートの勉強をしなければ、ショコラティエを名乗れない時代が来る

世の中にショコラティエと呼ばれる人はたくさんいるが、カカオからチョコレートを作れるショコラティエは少ないと話す三枝さん
益博さん
益博さん
「40年前はチョコレートと言えば明治や森永製菓のようにメーカーの時代でした。フランスでは、“デザートの後に4つのC(ショコラ、カフェ、コニャック、シガー)を楽しむ”ということわざがありました。それがショコラだけが独立したようで、今ではショコラティエが台頭する時代になってきました。この時代になったからこそお聞きしたいのですが、ショコラティエの役割や使命はどのようなところにあるのでしょうか?」
三枝さん
三枝さん
「この5年、10年の間に劇的にチョコレートの世界が変わって、これから5年、10年の間にまたさらに変わると思います。ショコラティエと言われながらも、飾り菓子ばかり作っている人もいますが、Bean to Barの人たちの方が本物のカカオについて語れるような時代になってきました。このまま彼らが勉強しなければ、ショコラティエと名乗れないような時代になってくるのではないかなと思います」
太田さん
太田さん
「今回のようにお話をさせていただく機会もすごく増えてきましたし、子どもたちを対象としたカカオの勉強会をすることもありますが、これからの世代にきちんとしたことを伝えていくことが大切なのかなと思っています。難しく捉えず、チョコレートっておもしろいな、カカオっておもしろいなとか、まずは興味を持ってもらい、そこからカカオが抱えている問題を知ってもらえたらいいですよね」

三枝さんと太田さんのカカオとの向き合い方

トークは終盤へ。お二人がカカオとどのように向き合い、追究していくかうかがった
益博さん
益博さん
「チョコレートを広めるという意味では、バレンタインデーはいい役割を果たしているでしょうか?」
三枝さん
三枝さん
「サロン・デュ・ショコラも変わってきていますし、昔と違って作り手の人もブースをいただけるようになってきて、20年前とすごく様相が変わっていると思いますね」
太田さん
太田さん
「私は決して否定的ではありません。私は昨年からサロン・デュ・ショコラに出させていただいていますが、ショコラティエの方とは違う方法でチョコーレトの魅力を伝えています。あの場はお客さん以外に、ショコラティエにも何かを投げかけるようにしています」
益博さん
益博さん
「太田さんはすごく凝った料理を作っていましたね」
太田さん
太田さん
「そうですね。私はショコラティエの方々をすごくリスペクトしています。ただ、私はカカオの世界観を広げたいという思いで活動しています。日本料理のコースにチョコレートを使うと西洋っぽいと思うかもしれませんが、カカオ自体は植物性なので日本料理に合うんですよ。三枝さんが使っているカカオバターも、乳脂肪分を入れなければ植物性100%の油脂なので、あれをベースに日本料理を作ってもいいと思います」
軽井沢でラボ兼レストラン「LA CASA DI Tetsuo Ota」を営み、チョコレートやカカオを使ったユニークなオリジナル料理を追究している太田さん
益博さん
益博さん
「サロン・デュ・ショコラでは冷麺とビビン麺を出していましたね」
太田さん
太田さん
「カカオは乳酸発酵の後に酢酸発酵に変わる。同じ発酵の種類ということは、乳酸発酵の食材と酢酸発酵の食材との相性はすごくいいんですよ。そういうところから紐解いてまた新しく結びつけていくと、おもしろい料理ができると思っています。冷麺にはお酢を入れますが、代わりにカカオビネガーを入れました。カカオビネガーはカカオから出るドリップ液で、それを発酵させるとお酒やお酢を作ることができます」
益博さん
益博さん
「料理の世界にカカオを使った料理を広げている太田さんに対して、三枝さんはチョコレートの世界で香りや味わいを変化させようとしていて、チョコレートと獺祭やウイスキーを掛け合わせていますね」
三枝さん
三枝さん
「私の場合は、例えばお酒と楽しみたい、日本酒と合わせたいとか、今まで人が作ってきた食文化や食の営みの中でチョコレートがどういう役割を果たせるかということを追究しているんですね。だから、スタイリッシュだったり、ある意味新しい味のマリアージュとか、そういうものを本物のカカオを通してやりたいと思っています。どこかから買ってきたチョコレートではなく、カカオから突き詰めて、どう組み合わせればいろいろな食材とのマッチングが楽しめるかというところが自分のめざすところです」
太田さん
太田さん
「私たちは対極にいながらも、365日カカオにまみれている生活をしています。みなさんはチョコレート=バレンタインデーというイメージがあると思いますが、私たちは毎日カカオまみれで、体からカカオの香りしかしないんじゃないかと思うくらいです(笑)」

【豆知識】カカオ豆の見分け方

カカオカッターを使ってカカオ豆の見分け方を教える三枝さん

最後に、三枝さんがカカオカッターを使ってカカオ豆の豆知識を教えてくださいました。

三枝さん
三枝さん
「カカオ豆の品質を調べたりする時はカカオカッターを使います。まずカカオ豆を並べて、ふたを閉めて、ギロチンと同じように鉄板を間に通します。すると、カカオが真っ二つになります」
カカオカッターを使ってカカオが真っ二つになるとお客さんからは「お~」と感嘆の声が上がった
三枝さん
三枝さん
「カカオの発酵状態などを調べる時は断面を見ます。網目状になっているものがきれいなカカオで、網目が見えていないものは発酵の状態があまり良くないものです。それから色合いは、ブラウンに近いものがきれいに発酵したもので、全面が紫のものは発酵不足です。ただ、実際にチョコレートを作った時に、いい豆がおいしいかどうかというのはまた別の問題です。いい豆がいい発酵をしていればおいしいわけではなくて、あまり良くない豆だと思いながらチョコレートを作ってみると、それがすごくおいしい場合もあるんです」
写真中央にある白いカカオ豆がホワイトカカオ。ホワイトカカオというだけあってポリフェノールが少なく、苦味や渋みもほぼなく、非常にマイルドな味がするという
三枝さん
三枝さん
「この中に1個だけ色が白いものがあります。これはホワイトカカオのルーツが混ざっていますね。ホワイトカカオと言われるものは豆の断面が白いのですが、一つの木からホワイトカカオが採れたから、ほかも全て白いかというとそうではないんですね。畑では交配されるのでホワイトカカオだけを育てるのがすごく難しくて、現在はホワイトカカオだけを育てられる畑を作る取り組みが行われています」

【おまけ】休憩時間に試食したチョコレートのお菓子を紹介!

お客さんとコミュニケーションを取りながらカカオの魅力を伝えていた太田さん

\太田さんが用意したお菓子はコチラ/

ローストしたマカンボ(左)とアマゾンカカオを使用したオリジナルポップコーン(右)
太田さん
太田さん
「ポップコーンは、キャラメルがけした後にカカオニブをかけたものです。ペルー産のカカオ豆をローストして砕いたものをまぶしています。それから、おはじきのようなものが、カカオのファミリーの一種でテオドラ種のマカンボという豆をローストしたものです」
三枝さんも丁寧に商品の説明をしていた

\三枝さんが用意したお菓子はコチラ/

純粋なココアパウダーから作ったドリンク。甘みはなく、カカオ本来の味と風味を楽しめる
産地ごとに異なるカカオの味わいを楽しめるホワイトチョコレート「タブレット テロノワール ブラン」
ホワイトチョコレートとフルーツを合わせたボンボンショコラ。この日は、あまおう、ライム&レモン、みかん、ゆず、マンゴーの5種類が用意された

カカオやチョコレートは想像以上に奥が深く、私たちが普段口にしているチョコレートは本物ではなかったということに衝撃を受けた会となりました。太田さんも三枝さんも、それぞれお店を構えているので、気になった方はぜひ足を運んで“本物のカカオ”を味わってみてはいかがでしょうか。

\三枝さんのお店はコチラ/

\太田さんのお店はコチラ/

第4回の開催予定は?(日時未定)

「日本のおもてなし」と題して、神宮前「傳」の女将・長谷川えみさんと浅草「オマージュ」のマダム・荒井麻友香さんからサービス哲学を学びます。お楽しみに!

取材・文=佐々木悠(シーアール)、撮影=浅野誠司

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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