犬養裕美子のお墨付き! 日常フレンチ『ヨシダハウス』
2020/03/26
犬養裕美子 広尾 YOSHIDA HOUSE
犬養 裕美子
レストランジャーナリスト
小皿料理でもボリュームたっぷり!
2019年1月にオープンしてから1周年を迎えた。フレンチ、イタリアンの激戦区・広尾で毎晩満席でにぎわう店ということで話題をさらった「ヨシダハウス」だ。夜18時から深夜3時までのフルオープン。その間に9時頃と1時頃の2回、ピークがくるという。早い時間は、仕事場や家が広尾にあるという地元客で、遅い時間は飲食・サービス業に関わる同業者がやってくる。
「緊張の連続です」という吉田佑真オーナーシェフだが、どのテーブルでも会話が弾んでいる。その賑わいがシェフには何よりの励みだ。
「食事を楽しんでもらいたいから少人数でもいろいろ食べられるように小皿料理を用意したんです」といっても、皿いっぱいに盛るのでアラカルト並みの量。アラカルトはいずれも2人でシェアできることを基本としているので、当然山盛りになる。この大盛サービス、実は修業先「レストラン キノシタ」の木下シェフの影響だ。吉田シェフは都内フレンチレスランで修業をスタートした後、鮮魚店で魚について学び、さらに「レストラン キノシタ」で「おいしい」日常フレンチに共感し修業ついた。その後、原宿でシェフを務めた後、独立した。
「ヨシダハウス」はえビストロでもレストランでもない。独自の路線を歩んでいる。値段は安く、料理は定番だけでなく、メニューには吉田シェフなりの工夫がある。「地味ですが、スープ・ド・ポワソンは、うちでは鮮度のいい魚を使って軽く仕上げてあるのが特徴です」。さすが、レストランだけでなく、鮮魚店で魚の扱いを修業しただけのことはある。ビストロの濃い味もいいけれど、日本人の口にあう、きれいなスープ。日常のフレンチにはぴったりのバランスだ。