南伊勢ブランド認定品「でこたんようかん」を食べよう!

南伊勢ブランド認定品「でこたんようかん」を食べよう!

2020/03/24

柔らかい歯ごたえに黄金色の照り、甘さ控えめで後味スッキリの「でこたんようかん」は、幅広い世代に愛される南伊勢町の名菓だ。海山に囲まれた風光明媚な南伊勢の地域性を生かした自慢の品が誕生している。

中広

中広

南伊勢の素材を生かし真剣にプロモーション

プルンと柔らかめの口当たりは、ようかんのような、ゼリーのような、新しい感覚。すっきりとした甘さの「マサヤ」のでこたんようかんは、後から広がるさわやかな香りで、和洋の2つの特性を併せ持つ柑橘にぴったりの産品だ。「農事組合法人土実樹(つみき)」の商標登録「デコタン」の特性を生かした商品をつくろうと、平成14(2002)年に開発された。平成20(2008)年には「三重県南伊勢ブランド」の第1号に認定されている。

【伊勢・志摩 でこたんようかん】愛らしい「でこたん」という名前も人気の秘密だろう。南伊勢ブランドの認定マークも入り、旅土産やお持たせにぴったりの商品だ

開発のきっかけは、合併前の南勢町時代に発足した地域活性化グループ「てんぷな会」。海の幸、山の幸に恵まれた町で、もっとアピールできる商品をつくろうと仲間と意見を出し合い、さまざまな取り組みをしてきた。中心メンバーであったマサヤの田岡正廣さんが、販売にいたるまでの責任を引き受け、売上を伸ばしてきた。「いい出しっぺでしたからね。てんぷな会では、最初にお酒をつくったんです。『愛州』というブランドです。米を南勢町の耕作放棄地でつくりました。せっかくなら田植えを全国から募集しようと、60人が参加してくれたんですが、20年前はそういうのがまだ珍しかったんですよ。穂原の鶴路山から伏流水も運んでね。酒づくりにぴったりの軟水です」と田岡さん。地元にこだわった酒が話題になった。自信がつき、第2弾の開発へとつながった。

マサヤの店内にはてんぷな会や南伊勢ブランドが並べられている
田岡正廣さん

田岡正廣さん

有限会社マサヤ

デコタンとは通称「不知火」で、清見にポンカンを交配して育成された品種。果皮がむきやすく、甘味が高い食味は最高級とされる。生果の状態でも売れ筋の商品を、あえて加工品にし、話題性からのPRも狙ったそうだ。「伊勢の老舗和菓子屋の職人さんにお願いして何度も試作しました。バームクーヘンやカステラなど候補が他にもあって悩みました。実は、アンケートではようかんは1位じゃなかったんですよ。しかし、販売力や資金力など、我々の実力にあわせないと、ビジネスとしてなりたたない。つくるジャンルとして知名度と親しみがあり、日持ちする食品と考えた結果、ようかんに落ち着きました。デコタンの味と香りを損なわないようにするのが難しかったですが、しっかりと魅力を引き立ててくれました」と、田岡さん。

デコタンは皮の部分にもっとも香りがあるため、そのまま刻んで入れている。香料や着色料などの添加物は一切使わず、ジュースを加えて自然なオレンジ色の照りに仕上げた。密封包装で1年間の保存が効く。幅広い世代に愛される上品な甘さに仕上がった。

お茶だけでなくコーヒーにも合うでこたんようかん。意外にもワインのお供にするという声もあり、甘党にも辛党にも喜ばれる

でこたんようかんの商品や事業内容について、平成15(2003)年からさまざまな賞を受賞している。三重県の経営革新計画事業商品に認定、第45回全国推奨観光土産品審査会に三重県商品として入賞、「三重の食パワーアップ100」事業や「三重の食・腕自慢」事業で優秀賞を受賞する。平成25(2013)年には、お菓子のオリンピックといわれる「モンドセレクション」でシルバーメダルを受賞。ANA国際線の機内食デザートとしても採用された。その味わいが認められ、取り組みに対しても外部の評価が高い。

開発の翌年から数々の受賞が話題を呼び、結果、南伊勢町に広まった
2012年から3年連続でモンドセレクションを受賞する

町の特産品を代々受け継ぐエコファーマー

エコファーマー認定農園の土実樹で生産されているデコタン。作業に手間が掛かる

デコタンの生産者でもある土実樹は、「みえの安心食材」に取り組んでいる。南伊勢町は年中温暖で、みかんづくりに適した土地。この環境を生かして、化学農薬や化学肥料の使用を極力減らし、環境に配慮した柑橘の栽培を行う。国道260号沿いに直売店もあり、代表の溝口安幸さんは五ヶ所浦で祖父の代から続くみかん農園の3代目として、5年前からてんぷな会の会長を務めている。代表的な五ヶ所みかんやポンカン、せとか、セミノール、甘夏など、1年を通じて10種類以上を育てる中、客の好む味とサイズにこだわるデコタンには、苦労がつきもの。大きいものだと700グラム前後とずっしりとした重さで、1つ500円から1000円と高い値が付く。「枝が垂れて折れてしまわないよう、実を付けた枝は一本一本紐で補強するんです」。水量を調整し、日照時間を増やすなど工夫をして、味の濃いデコタンを育てている。

特徴のあるてっぺんの凸部分の大きいものが、甘みが濃くおいしいという

味も価格も形状も全てに責任を持って取り組んだ

土産物として喜ばれる手頃な価格で、核家族の個食化といった時代の流れも考慮した。「個包装の商品なら職場でも配りやすいでしょ。買ってもらいやすい金額に設定したので、資材なども値上がりする昨今、価格は厳しいですが据え置きで。今は消費税便乗と思われるのもイヤですしね」と微笑む田岡さん。

郷土の偉人、河村瑞賢のパッケージもつくった

手間は掛かるが、ふるさとのためにと思いを込めて本腰を入れて取り組んだ結果が、売上増や周知につながり、息の長い商品を生み出した。伊勢志摩土産としても人気の商品に成長し、伊勢志摩サミットの年には、年間で25万個売り上げた。また、でこたんようかんに続く、南伊勢町独自の商品も開発されている。魅力ある町産品として、地元の人の手土産として選ばれているのを、田岡さんは誇りに思う。

この記事を書いたライター情報

中広

中広

中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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