埼玉・道の駅かぞわたらせで始動した恋人の聖地プロジェクト

埼玉・道の駅かぞわたらせで始動した恋人の聖地プロジェクト

2020/03/27

2019年6月、関東地方にある道の駅で、初めて恋人の聖地に選定された、道の駅かぞわたらせ。日本一大きなハート型の貯水池、谷中湖を眺めながら、多くの人々に幸せな気分を味わってほしいと、創意工夫を凝らすスタッフの思いを聞いた。

中広

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風光明媚な渡良瀬遊水地に新たな観光スポットを計画

渡良瀬遊水地の南端に位置する、ハートの形をした貯水池、谷中湖。埼玉県、群馬県、栃木県の3県境に面する風光明媚な湖のほとりで昨年、ひとつの計画が浮上した。道の駅かぞわたらせで始動した、恋人の聖地プロジェクトである。

上空から見るとハートの形に見える周囲9.2キロメートルの谷中湖。周辺にはスポーツや自然観察の楽しめる、アウトドアスポットが充実

全国の観光地からプロポーズにふさわしいロマンティックなスポットを恋人の聖地として選定し、地域活性化につなげようという同プロジェクト。2006年、NPO法人地域活性化支援センターによってスタートし、現在、その数は全国で100カ所を超える。

同施設が道の駅きたかわべとして誕生したのは、約20年前。旧北川辺町の所有施設として、他社が運営管理を委託されていた。

2019年4月、指定管理者が地元の食品リサイクル企業、ウム・ヴェルト株式会社へ変わったのを機に、リニューアルオープン。「日本一大きなハート型の湖に面した立地を生かし、恋人の聖地にしようと動き始めました」。同施設の支配人、武井厚也さんは話す。

支配人の武井厚也さん

谷中湖がハートの形になったのは、約100年前の忠実に起因する。明治23(1890)年と、その6年後に発生した大洪水によって露呈した、足尾銅山鉱毒事件だ。銅の著しい増産に伴い、渡良瀬川流域に流れ出た鉱毒により、農作物や魚、人々の健康に甚大な被害を及ぼした公害問題である。

明治政府は、問題解決に向け、毒の水を沈殿させる遊水地を計画。1912年から6年間にわたる工事で堤防を建設し、旧谷中村を水の底へ沈めた。当初は、円型の遊水地を作る予定であったが、同村の中心部跡を残すため、工事計画を変更。奇跡のような偶然で、ハートの形をした貯水池が誕生したのである。

悲しい歴史から100年余り経つ現在、地域一帯は、周辺地区を水害から守ると共に、約64万人の生活用水を補給できる日本最大の遊水地に様変わり。多くの人々が自然観察やサイクリング、バーベキューなど、アウトドアレジャーを楽しむ場となっている。

これまで3県境や、渡良瀬遊水地に訪れる人々の休憩場所という認識をされていた同施設。リニューアルを機に、「道の駅を目当てに他市町から人々が訪れるような場所にしたい」とスタッフは結束する。こうして、関東地方の道の駅では初となる、恋人の聖地を目指すプロジェクトが、急ピッチで動き始めた。

人々の心を温めるもてなしを目指して

恋人の聖地サテライトに正式選定を受けるため、スタッフで意見を出し合ったのは、ハートをモチーフにしたさまざまな仕掛けだ。谷中湖を一望できる展望台にハートのオブジェを設置し、中央のエントランスにもハートのモザイクアートを施した。建物内の天井を飾るのは、加須市の名産、こいのぼりだ。「恋が上るという縁起の良い響きにあやかり、スタッフの手作業で設置しました」と、武井さんは思いを明かす。

渡良瀬遊水地が一望できる展望台に位置するハート型のオブジェ
エントランスの中央にあるハートのモザイクアート

スタッフのユニフォームはやさしい色合いのピンクで統一。「はじめは少し照れ臭い気持ちもありましたが、明るい色のおかげで自然と笑顔になります」と、若手スタッフの宮中智浩さん。訪れる人々から、愛される道の駅になりたい。そんな思いを込め、接客に当たっていると話してくれた。

スタッフの宮中智浩さん

一方、施設内の食堂には、自社ブランドのくろまめ豚を使用したハート型のカレーも登場。スパイシーな味と、写真映えする見た目が評判を呼んでいる。

ご飯をハート型にかたどった名物カレー。スパイシーな辛さが絶妙のおいしさ
真心を込めて調理や接客を行うさくら食堂の皆さん

スタッフの努力が実り、昨年6月、同施設は恋人たちの聖地サテライトに選定。以来、若者を中心に人気を集めているのが、展望台に設置されたハートのオブジェと鐘だ。オブジェの上部には穴が開けられており、恋愛成就を願ってオリジナルのハート型南京錠をかけるカップルも増加。家族や年配夫婦にも、記念撮影の場所として好評を得ている。なかには、同施設の敷地内にあるハートを数え、自身のSNSにアップする人もいるのだとか。

美しい音が響く幸せの鐘
恋人の聖地限定グッズの愛鍵

「ここに来れば、なんとなく幸せな気分になれる。そんな場所にしていきたいですね」と武井さんはほほ笑む。

2020年1月、正式名称を道の駅かぞわたらせに変更し、新たな歴史を刻み始めた同施設。今後も、恋の成就を願うLED搭載のこいのぼり掲揚や、お見合いパーティーなど、さらなるサプライズで来場者をもてなしたいと、スタッフたちは意気込む。

谷中湖のほとりにある道の駅かぞわたらせ。周辺観光に便利な自転車のレンタルも行っている
物産店・かぞ市場には、地元の生産者から選ばれる新鮮な野菜や農産物が並ぶ
敷地内のベーカリーで、一番人気のメロンパン。ナマズを用いたオリジナルパンも味わえる

日本一大きなハート型の池の前で愛を誓えば、幸せになる。そんな場所にしたいとの願いを込め、恋人の聖地の仕掛人たちは、今日も笑顔で来場者を出迎える。

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中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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