新商品「パコーン」を開発!光スポーツ公園内にカフェ誕生
2020/03/31
山口県光市の光スポーツ公園。小高い坂を登ると視界が開け、グラウンドには野球少年たちの元気な掛け声が響きます。
ここいろ
光スポーツ公園内の発信キッチン
グラウンドのすぐそば、レストハウスの一角にあるのが、「発信キッチン」。なんだか気になる店名です。一体、何を発信されているのでしょう?
一面がガラス張りになっている店内には、外からの光が入り込み、気持ちの良い空間が広がっています。春には満開の桜が眺められるのだそう。半個室の小上がり席には、小さな子どもを連れたお母さん達がくつろいでいました。
栄養満点!野菜たっぷり「季節のランチ」
発信キッチンでは約半月ごとに内容が替わる「季節のランチ」が楽しめます。取材時には、鮭の回鍋肉ふう、夏野菜の煮浸し、豆乳マッシュポテトのサラダ、豚バラとゴーヤのかき揚げ、冷製茶碗蒸しなど彩り豊かなメニューをいただきました。色んなおかずをちょっとずつ食べられるのが嬉しいですね。ほとんどの野菜は地元、光産の無農薬栽培のもの。その時期の「旬」を取り込んだおかずは、どれも力強く滋味深い味わいで、体の中に夏の太陽のパワーがチャージされていくようでした。
発信キッチンへたどり着くまで
発信キッチン代表の増野睦子さん。10年前にご主人の故郷である光市へ、東京から移り住みました。
「私が引っ越して来た頃、この場所は廃墟同然でした。昔はうどん屋さんがあったそうなのですが、すでに空き家になっていて。緑に囲まれた四季を楽しめる美しい場所なのに、この建物はなんなんだろう、もったいないなぁ、って思っていたんです」
子どもと散歩中に、ふとこの建物が気になり、アルミサッシの窓からそっと中を覗いたところ……
「中は汚くてボロボロだったのですが、その瞬間、頭の中にパーッと、今のこの発信キッチンのイメージが浮かんできたんです!不思議ですよね(笑)」
「いつか、この場所で何かをしたい」そんな思いを抱きながらも、当時は別のことにも興味があったのだとか。
「東京にいた頃から、自然食品や添加物の入っていない加工品を選ぶようにしていたのですが、こちらに越してからもその思いがあって。そんな時、のーたさん※の甘酒に出会ったんです」
米こうじから作られた優しい甘酒は、小さな子どもからお年寄りまで幅広い世代が口にでき、栄養価が高い飲み物。
「こんなにいいものなら、もっと多くの人に広めたい」
その一心で「私にブランディングさせてください!」と社長に直談判した増野さん。
はじめは、どこの誰かも分からない人に任せられない、と相手にされなかったそうですが、時間をかけながら信頼関係を築き、ついに増野さんがプロデュースした新たな甘酒が生まれました。
※株式会社農多(のーた)……熊毛郡平生町の農産物の生産・加工を手がけている工房。
その名も「米のおっぱい」。印象的なネーミングは増野さんのアイディアから。米こうじの甘酒に豆乳をブレンドし、さらに飲みやすくなったのだそう。
「ラベル貼りなどは、子どもが通っていた幼稚園のお母さん達に手伝ってもらいました」
そこから、お母さん達の「子どもに安心安全なものを」という思いが集まり、「EEne(え〜ね)」という市民グループが立ち上がりました。「米のおっぱい」をはじめ、色々な「いいもの」を発信していく場所として生まれたのが、発信キッチンなのです。
光産のこだわり農産物
発信キッチンでは、光産の農産物を店頭で購入することもできます。どれも無農薬、有機栽培の野菜や果物。この日は地元の方が手塩にかけて育てたトマトやアスパラガス、イチジクなどを出荷されていました。
発信キッチンで販売されているものは農産物だけではありません。店内には、シンプルかつおしゃれな服や食器、かごなど、センスの良い商品が並びます。
「服は服が好きな人、食器は食器が好きな人、それぞれ得意とするスタッフのセレクトです」
お客さんにも好評で、新たな商品が入荷すると、あっという間に売れてしまうのだそう。
「シンプルだけど、ちょっとデザインに凝っているものや、遊びに行く時だけでなく、子どもの保護者会なんかにも着られるものなど。コンセプトはとっても簡単。ズバリ『私たちがほしいもの』です(笑)」
発信キッチンの新メニュー
現在、増野さんが一番力を入れているのが、発信キッチンオリジナル商品「パコーン」の開発。「パコーン」? その明るく楽しい響きに思わず笑ってしまいました。
「パンとスコーンの間の食べ物なんですよ。もう2年以上試作に試作を重ね、『どんどん美味しくなっているね』と常連さんには言われます」
持ち帰ってトースターで温めると、外はサックリ、中はしっとりしていて、ほんのりとした甘みが口の中に広がりました。
「種類は色々あるんです。今後は光産のハーブやフルーツなどを入れたパコーンも作りたい。いつかパコーンを携えて、発信キッチンでイベント出店するのが夢」
そう微笑む増野さんの瞳には、すでに次の発信キッチンのイメージがはっきりと映っているようでした。