京都府・綾部市 美肌温泉と大正の面影残るグンゼの城下町

京都府・綾部市 美肌温泉と大正の面影残るグンゼの城下町

2020/07/11

京都駅からJR山陰本線に乗って北に向かうと、1時間ほどで綾部駅に到着する。静かで自然が豊かな地域だ。ここは下着や肌着でお馴染みのグンゼの発祥の地。大正から昭和にかけて栄えた花街の面影も残っている。

日刊ゲンダイDIGITAL

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遊郭を改装した創作料理店

綾部市は養蚕が盛んだった歴史があり、「蚕都綾部」と呼ばれてきた。市内を貫流する由良川の流域には桑畑が広がり、市街地の周辺には昔ながらの古民家が並ぶ。山々に囲まれた美しい田園風景である。
この地で明治29(1896)年、「蚕糸の振興」を目的に創立されたのが「郡是製絲株式会社」だ。それが現在のグンゼ株式会社で、登記上の本店は今も綾部にある。
本社の隣にある洋風建築は「グンゼ記念館(旧グンゼ本社)」(℡0733・42・3181/金曜日のみ10~15時=お盆・年末年始は休館)。創業当時の生糸産業が分かる貴重な歴史的資料が保存・展示されている。

郡是製絲の創業者・波多野鶴吉と妻・はな

「金庫を利用してまで、いろんな資料を処分せずに保存してきた会社なのです」(綾部本社総務課長・樋川裕二さん)

通りを挟んで反対側には、創業100周年の際に繭蔵を改造して設立した「グンゼ博物苑」(電話番号同じ)がある。創業から現代の最新事業まで、年代ごとに分かりやすく展示されていて、蚕糸業の振興と地域に貢献にした創業者・波多野鶴吉の「共存共栄」の企業精神も紹介。同じ敷地内には「あやべ特産館」や「綾部バラ園」もあり、地域の人々のよりどころとしての役目も果たしている。

人気のメニューは「上林鶏のもも塩焼き」

「柿蔵」の名物「上林鶏のもも塩焼き」

市街に出ると、大正から昭和にかけてにぎわった花街通りがあり、今もスナックや料理旅館が当時の面影を残す。一角にある「柿蔵」(℡0773・40・1080)は、遊郭だった建物を15年前に改装、創作料理店を営んでいる。

「昔はグンゼの社員さんも、この花街通りの優良なお客さんだったと聞いてます」(代表の福井健仁さん)
人気のメニューは「上林鶏のもも塩焼き」。
「午前中にしめた上林鶏を使いますので、ここだけでしか味わえない新鮮さです」(福井さん)
カリッとした皮の食感と新鮮な肉質がおいしくぜいたくな逸品だ。

あやべ温泉「二王の湯」のヒノキ露天風呂

あやべ温泉「二王の湯」のヒノキ露天風呂

市街から車で1時間ほど北東に行くと、あやべ温泉「二王の湯」(℡0773・55・0262)がある。

ヒノキの香りが漂う美肌の湯で、大自然を眺めながら露天風呂に体を沈めれば、里山風情を満喫できる。
日帰り利用でもゆっくり過ごせるが、宿泊施設もあり、周辺の観光と併せて利用するのもオススメだ。

ミツマタの光景は圧巻

春から初夏は、福井県境に近い老富町の山間の景色も見ものだ。山一面がミツマタの黄色の花一色となる光景は圧巻。優しい花の香りに包まれ黄色の山間を歩くのは何ともロマンチックである。

また、2015年にカメラマンが偶然見つけた自生シャガの群生が、SNSで拡散されて新たな観光名所となった。
5月の連休ごろからは白一色となる。アヤメ科のシャガが一面に自生して、黄色と白が続く花の風景は一見の価値あり。

(問)綾部市観光協会(℡0773・42・9550)

国宝・光明寺二王門

あやべ温泉から立ち寄りたい場所をもうひとつ。

車で15分の君尾山の深い緑に囲まれた階段を上り、息がハアハアとする頃に見えてくるのが朱色の「国宝光明寺二王門」。鎌倉時代に建立されたといわれ、上下2層の屋根が特徴。どーんとした重厚感には息をのむ。迫力ある金剛力士像は、国の重要文化財に指定されている。

「国宝の門に国指定の金剛力士像が置かれているのは、法隆寺中門、東大寺南大門、金峯山寺仁王門とここだけです」(綾部市定住交流部観光交流課・横山成之さん)

綾部の米を「おむすび」で味わう

美しい田園と里山に囲まれた綾部は、由良川の恵みと肥沃な土壌が育んだ稲作も注目されている。中山間地域のため、朝夕の寒暖差が大きく、おいしい米作りに最適の環境。綾部のコシヒカリは「京のプレミアム米コンテスト」で最高金賞を受賞したという。

山間の料亭「ゆう月」(℡0773・44・0818=予約制)のランチ「おむすびかいせき」(4000円)ではシンプルな塩むすびが味わえる。おむすびの食感と海苔の風味は日本人のぜいたく。みずみずしい米のうま味に納得がいく。

落ち武者が残した黒谷和紙

紙すき体験ではがき作り。料金1000円

綾部に残る黒谷和紙は、平家の落ち武者が子孫へ残す仕事として始めたと伝えられる。その伝統は800年、守り続けられている。現在は代々の職人は1人だけとなったが、市外から有志を募り、10人で技術と文化を継いでいる。強くて破れにくく、長期保存にも適しているため、海外からのオーダーも多く、美術品の修繕に利用されているという。

「黒谷和紙会館」(℡0773・44・0213)では、紙すき体験(要予約)ができるほか、工房や資料室の見学も可能だ。

(取材・文=浦上優)2020年3月31日掲載。※情報は取材時点のものです。

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