まるでリゾット 船橋「おかめ鮨」のハマグリの寿司

連載

早川光の最高に旨い寿司

2016/11/26

まるでリゾット 船橋「おかめ鮨」のハマグリの寿司

寿司専門の情報番組「早川光の最高に旨い寿司(BS12)のナビゲーターを務めてきた私が、最高に旨い旬の名店と、そこで食べられる極上のおまかせ握り10貫をご紹介いたします。第24回は船橋「おかめ鮨」。

早川光

早川光

著述家、漫画原作者

風格のある老舗。

今回は千葉県船橋で80年以上も続く老舗でありながら、伝統と新しい発想を融合させた斬新な寿司を握ると評判の「おかめ鮨」のおまかせ握り10貫です。

親方の柴田英昭さん

親方の柴田英昭さんはこの店の三代目。18歳から東京の名店で修業を積み、一流の技を身につけた実力者です。

スタートは豊後水道のタイから

1貫め タイ

おまかせ10貫のスタートは豊後水道で獲れたタイ。毎朝大分から飛行機で直送されてくる新鮮なタイを、温度管理した冷蔵庫で1日寝かせてから塩で締めます。こうすることで脂が全身に回り、身がしっとりとしてシャリに馴染むようになるのだとか。

2貫め コハダ

2貫めは地元・船橋産のコハダ。江戸前のコハダは皮が柔らかいのが特徴。しかもこれは脂がのっていて、旨みもたっぷり。親方によれば、干潟の残る船橋の海は栄養が豊富で魚がよく育つのだとか。

3貫め 関アジ

3貫めもタイと同じく大分で獲れた関アジ。親方はこれを高知県から取り寄せた柚子100パーセントの酢で〆めています。柚子は光り物の魚と相性のいい柑橘ですが、特に関アジとの相性が抜群なのだそう。身を薄く切りつけ三枚重ねで握った関アジは食感がよく、香りも爽やか。

カツオのハラスと血合い側を食べ比べ

4貫め カツオ(ハラス)
5貫め カツオ(血合い側)

4貫めと5貫めは、長崎県産のカツオのハラス(腹の身)と血合い側(赤身)を食べ比べ。

たっぷり脂がのったハラスは、皮を炭火で炙ってから握ります。食べればパリッと焼けた香ばしい皮の下から上質な脂が溢れ出てきて、思わず声を上げてしまうほどの美味しさ。

5貫めの血合い側の赤身は、藁の火で炙った後、特製の醤油だれに漬け込み、冷蔵庫で半日寝かしたもの。藁の香りでクセを消し、醤油だれでコクを引き出しているので、ハラスとはまったく違う、深みのある味わいがします。

6貫め サワラ

6貫めは、5日間じっくり昆布の間で寝かせたサワラ。サワラは水分の多い魚ですが、昆布で〆めることによって余分な水分が抜け、旨みが前に出てきます。こちらもまた藁の火で炙ることで皮目をパリッとさせていて、芳ばしい香りも食欲をそそります。

低温調理の白子にウニを乗せて

7貫め タラの白子(ウニ乗せ)

7貫めは、低温調理で加熱したタラの白子をシャリと混ぜ、上にエゾバフンウニと山葵を乗せた新感覚の寿司。ゆっくり火を通した白子はまったりした食感がそのまま残り、そこにウニが加わることでクリームリゾットのような味わいに。酢飯を使っていなければ、ほとんどイタリア料理という斬新な一貫。

8貫め アナゴ

8貫めは長崎県対馬産のアナゴ。柔らかく優しい味に煮上げたものを炭火で炙ってから握ります。ハケで塗った煮ツメは店の先代から使い続けてきたものと親方の修業先から受け継いだものをベースに、注ぎ足しながら味を熟成させたという年代物。

まるでリゾット ハマグリの寿司

9貫め ハマグリ

9貫めのハマグリの寿司も個性的。これは親方が老舗の寿司屋で「かつて大名が食べていた」というハマグリの寿司に出会い、それにヒントを得て作ったもの。シャリを出汁で煮ておかゆ状になったものにさらにハマグリの出汁を足すことで、旨みたっぷりの極上の味に仕上げてあります。

10貫め かんぴょうとおぼろ

最後の10貫めはかんぴょうとおぼろの握り。「その昔、遊び慣れた銀座の旦那衆がかんぴょうとおぼろを海苔巻ではなく握りにして食べていたという話を聞いて、やってみたいと思ったんです」と親方。かんぴょうの食感とおぼろの甘さが心地よく、食べた後も味の余韻が長く残ります。

江戸前寿司の伝統と斬新な発想が共存する「おかめ鮨」の握り。驚きと楽しさに溢れた10貫でした。

「早川光の最高に旨い寿司」公式サイト。

「早川光の最高に旨い寿司」公式サイト。

(BS12で日曜15時から放送中)

産地・旬にこだわった 極上の素材 と、経験を積んだ職人による 熟練の技 。 そんな寿司の醍醐味をとことん味わい尽くし、寿司を食文化として捉えた情報番組。

「早川光の最高に旨い寿司」

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びあMOOK

BS12で放送され、多くの寿司好きを狂喜させた番組の書籍版。 若手の注目店から星付きの名店まで、「最高の寿司」が揃っています。

「ごほうびおひとり鮨」

「ごほうびおひとり鮨」

原作・早川光 作画・王嶋環

「美味しいもので癒されたい! そんなアラサー女子のおひとりさま鮨デビュー!!!」 江戸前鮨の人気店に食べに行って描いた、体験型コミック。実際に店で支払ったお勘定の金額も載っています。

この記事を書いたライター情報

早川光

早川光

著述家、漫画原作者

鮨職人を描いたコミック「きららの仕事」の原作のほか「日本一江戸前鮨がわかる本」「鮨水谷の悦楽」など鮨に関する著書多数。 現在、BS12で放送中(毎週日曜15時〜)の「早川光の最高に旨い寿司」のナビゲーターを担当。 書籍版「早川光の最高に旨い寿司」(ぴあMOOK)も発売中。

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