犬養裕美子のお墨付き! 黒毛和牛の炭火焼、ウマイものはウマイ

犬養裕美子のお墨付き! 黒毛和牛の炭火焼、ウマイものはウマイ

2016/11/30

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第16回は目黒

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

食いしん坊・呑み助のためのスーパートラットリア

以前は木の扉で中が見えなかったが、リニューアル後、ガラスの扉に! 明るくモダンに変身

店がある山手通りまで目黒駅からは10分以上、いや15分は歩くな~。行きは下り坂だから楽だけど、帰りはつらい。さらに5分は余計かかるかも。それでも帰りの道がさほど苦にならないのは“圧倒的な満足感”がお土産だから。お腹いっぱい、ワインの酔いもほどよく回っている。ちょいと飲みすぎた理由は、この店のが「おすすめ上手」が楽しいからだ。

カウンター席は一人客の憩のスペース。ベンチシートのテーブル席は最大10名の会食が可能
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井上シェフは、イタリア2年、品川「アロマ・クラシコ」で4年シェフを務めた。炭火焼が得意なのはその時の経験から

オーナーシェフの井上裕一氏は、ガッチリした体格で寡黙なタイプ。前菜と炭火で肉を焼くのが彼の担当。相棒の大沼国彦氏は笑顔がさわやかなスーシェフ。パスタ、パン、ドルチェを担当している。

「最大24席入るので、19時前後に満席になると、どんなに急いでもお待たせしてしまう。料理が出ないとテーブルの上がさびしくて、つまらない」(井上シェフ)

そこで井上シェフは、この店独自のシステムを考えた。

「コペルトを1000円にして、テーブルにすわったら、生ハムとスプマンテをセットで出すことにしたんです」(井上シェフ)

コペルト1000円として飲み物1杯に生ハム(写真は二人前)。これで最初の一皿まで一息

そのスプマンテも甘口、辛口、赤の微発泡など3種類から選べる。お酒が苦手な人にはブラッドオレンジのジュースかミネラルウォーターも用意している。考えようではちょっと強引なシステムだが、グラスたっぷりの泡ものと生ハムがさっと出て来て、これを楽しみながらメニューに悩むのは案外気分がいい。ようやくメニューを決めた頃にはグラスは空。次のワインへと自然につながっていく。

「うちの料理はワインを飲んで欲しい料理だから。どのテーブルでもワインを楽しんでいる光景を見ると、うれしくなりますね」(井上シェフ)

炭火焼ステーキ2800円(塊で焼くので2人分からオーダーのこと)。コース仕立てにすることも可能。その場合はアミューズ、前菜、パスタ、炭火焼ステーキ、カフェで5500円。ステーキはポ―ションが小さくなる
スモークしたメカジキとアーティチョークのタリオリーニ1800円。テーブルに運ばれてくる時に燻製の香ばしい香りが当たり一面に広がる
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使っている素材はトラットリアとは思えないほど、選ばれている

自分の店をどういう店にしたいか? そんなイメージを現実にすることは、簡単なように思えてなかなかできるものではない。

井上シェフは2012年に4月に独立して以来、常に“どうしたらお客に楽しんでもらえるか”を考え、オープンして3年目の2015年7月にリニューアルした。店内をカウンター席とベンチシートのテーブル席に分け、メニューもアラカルト主体でオーダーできるようにした。コペルトのシステムもこの時に導入した。

時代に逆行? いえ、本当にウマイものは不変です。

交通の便の悪いこの店に、常連になるお客が後をたたない理由は、やはりインパクトのある料理の数々。店一番の人気メニューは炭火焼ステーキ(一人110g2800円、塊で焼くので2人前から)。黒毛和牛の処女牛にこだわり、じっくりと炭火で焼きあげる。「時代に逆行しているかもしれないけど…」と井上シェフは笑うが、ていねいに焼かれた黒毛和牛は肉の旨味に、バルサミコ、胡椒、香草が絶妙おハーモニーとなってさっぱりとした後味をのこしながら消えていく。「気が付くと、全員これを食べている日もある」というほどの名物だ。

カワハギの肝のタルタル、ナスのフリット1600円(一皿を2人で分けた場合の量)

またパスタでは“スモークしたメカジキとアーティチョークのタリオリーニ”1800円がオープン以来変わらぬ人気だ。

「メニューには上に前菜、真ん中に炭火焼、下にパスタの欄があるんですが、注文の仕方はバラバラですね。前菜、ステーキ、足りなければパスタ。また前菜を追加するみたいな。それでいいんです!ルールにとらわれない楽しみ方ができる“スーパートラットリア”をやりたかったんで」(井上シェフ)

メニューの中にも、井上シェフ自身が存分に楽しんでいる様子が見て取れる。素材の幅が広くてマニアック。特に前菜の魚介類は、割烹レベルで旬の素材を楽しめる。ちなみにもっともインパクトのある素材といえば白トリュフ!

「今年は意外に安いので、何に削ってもあの香りを堪能できますので、ぜひ!」(井上シェフ)

こういう太っ腹な店だからこそ白トリュフもいい体験になるはず!(年内3500円で大サービス中)

右・井上シェフ、左・大沼スーシェフ。以前の店からいっしょに仕事をしてきた二人。息のあった仕事の流れで、満席をこなす

アンティカ ブラチェリア ベッリターリア

住所:目黒区下目黒3-4-3
電話:03-6412-8251
営業時間:月曜~金曜11:30~14:00LO、月曜~木曜18:00~23:00(金・土曜~深夜)
定休日:日曜、時々不定休
予約:要予約

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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