犬養裕美子のお墨付き! ニッポンが誇る洋食。目白「旬香亭」

犬養裕美子のお墨付き! ニッポンが誇る洋食。目白「旬香亭」

2016/12/16

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第17回は目白「旬香亭」。

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

メニュー選びに困る!食べたい洋食メニューのオンパレード

ビーフカツサンド(あか牛)3000円。一切れ1000円! 今話題の阿蘇のあか牛は、ご覧の通り、赤身鮮やかな健康牛。黒毛和牛とは別物のおいしさ。しっかりかみしめるごとに味わいがます。これで約100g使用

目白駅前に立つ2014年オープンの商業施設「トラッド目白」。その2階にあるのが「旬香亭」だ。この店名に聞き覚えのある人はいませんか? 実は20年ほど前、赤坂で人気を集めたフレンチ創作料理店の名前。フレンチベースなのに、とんかつやカレーライス、和風オムライスなどホッとする“洋食”を取り入れたコースが大好評だった。

オーナーシェフの斎藤元志郎氏はその後、現代スペイン料理店、フライ専門店を手掛け、現在は出身地の静岡でオーナーシェフを務めている。

古賀達彦シェフ。「日本に西洋料理が入って来た時、日本人はご飯が主食という食文化を変えることなく、うま~く西洋料理を“洋食”として取り入れた。この文化は日本独自のもの。これからは魚料理に注目してます」

ここ目白店は長年斎藤氏の右腕として活躍してきた古賀達彦シェフが厨房を仕切る洋食店だ。昼はセットメニュー、夜はアラカルト中心(コースは前日までの予約)だが、メニューを開くととにかく品数が多いことに驚く。

ランチのサラダプレート1600円。ガストロバックを使い、みずみずしさを保つ野菜が主役。水分の多い葉ものやカブ、ブロッコリーなどは食感と同時に透明感が出る。野菜のほかにパテやハム、タコなどの具もたっぷり

例えば“前菜”のページには、自家製ロースハムとトリフ入りマヨネーズで和ええたポテトサラダ600円、トマトサラダ600円、洋風牛筋煮込み(八丁味噌風味)1000円、具沢山オムレツ1500円……。洋食といっても、フレンチから和のアレンジまで守備範囲が広い。

“肉”のページには、ステーキハンバーグ(和牛100%のハンバーグ150g1350円)、シチュー(ビーフ2300円、タン2800円、土鍋1600円)、さらにステーキは、特選牛200g3800円~、ドライエイジング200g5800円~、あか牛はロース200g6600円~、ヒレ200g7400円~。

店の入り口にある保存庫には牛肉を熟成中。専門業者で1カ月熟成したものをもってきてもらい、店で的確な時期を見極めて出す

“洋食”のページには、カニクリームコロッケ650円、海老フライ1尾600円、メンチカツ1個900円、ヒレとんかつ1800円、ビーフカツ2000円、鮑の殻入り海鮮クリームコロッケ3000円、カニとマカロニのグラタン(チーズのエスプーマ付き)1300円、さらにサンドイッチ・ライスものもの充実。ビーフ入りガーリックライス(大葉風味)1600円、欧風ビーフカレーライス1800円、ハヤシライス1900円、ちりめんじゃことおかかの焼き飯1100円などなど。

書き連ねているだけで、あれもこれも食べたくなってくる! 

エビフライ一尾600円、メンチカツ900円、カニクリームコロッケ650円。単品を盛り合わせて楽しめる。卓上の調味料はスパイシーな太陽ソースをはじめ、トンカツソース、しょうゆや塩、野菜用ドレッシングなど

ノスタルジーではなく進化する洋食

メニューの中で見慣れない単語がある。“ガストロバック(減圧加熱器)使用料理”。これはスペインで考案された調理器の名前で、素材を入れて気圧と温度を加えると食感がまったく違うものに変化する。例えばキャベツは栄養素を失うことなく、パリパリの状食感になるし、カキは中の水分がふくらみ、ぷっくりと大きくなる。

「使いこなすまでに時間はかかりましたが、食感、味がまったく違う。まだまだ、使い方に可能性を感じますね」(古賀シェフ)

ステーキの肉は赤身が基本だし、野菜はガストロバックで食感を強調。デザートには年間を通してかき氷を用意。考えてみたら、どれもが最近のトレンドばかりだ。

かき氷(季節のシロップ“洋ナシ”にキャラメルがけ)1250円。ふんわりと削られた氷は夏よりもむしろ冬の方がよく出るそう。みぞれ、抹茶など和風も人気

「洋食とは日本人が考えた西洋料理のアレンジ。日本人ならではの知恵が詰まっています。素材を吟味し、手間をかけて仕込むのがプロの洋食。それをわかってほしい」(古賀シェフ)

価格から見れば、ファミレスの方が安いのは事実。ただ、ここでは、すべてが注文が入ってから作るオーダーメイド。そしておいしさの頂点であるできたてが味わえる。

いろいろなメニューを味見するなら3~4人で、お目当てのメニューがあるなら一人でも。軽い食事にも、しっかりディナーにも使い勝手がいい。それが洋食屋の懐が深いところ。頼れる一軒になること請け合い。

席数は30。ランチは女性客でにぎやかだが、夜は家族連れや一人客が多い。「さすがにこの周辺はいいお客様が多い。子供にもステーキをきちんと注文して一人分を食べさせる。皿をつっつくなんてしないですよ」

旬香亭

住所:豊島区目白2-37-1 トラッド目白2F
電話:03-5927-1606
営業時間: 11:00~14:30LO、17:00~22:00LO
定休日: 月曜(祝日は営業)※年末年始は要問合せ
予約:可能

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

この記事を書いたライター情報

犬養 裕美子

犬養 裕美子

レストランジャーナリスト

東京を中心に地方や海外の食文化、レストラン事情を最前線で取材。ファッション誌から専門誌まで数多くの雑誌で連載を持ち、その店の良さ、時代性をわかりやすく解説。特に新しい店の評価に対する読者の信頼は厚い。食に関わる講演・審査員など多数。農林水産省顕彰制度・料理マスターズ認定委員。

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