読書嫌いでも楽しめる。今だから考えたい嶋浩一郎的読書のススメ

読書嫌いでも楽しめる。今だから考えたい嶋浩一郎的読書のススメ

2020/05/11

識者や達人のみなさんに「Yahoo!知恵袋」に寄せられた投稿の中から「StayHome」に関する質問を投げかけ、「StayHomeの楽しみ方」を教えていただきました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

「ケトル」編集長・嶋浩一郎さん流「家時間の読書」の楽しみかた

みんなの知恵を共有し合うサービス、「Yahoo!知恵袋」は2005年のスタート以来、日夜たくさんの質問が寄せられている。その中から「StayHome」をテーマにしたみなさんからの質問をピックアップ。

今回は、「本屋大賞」を立ち上げ、下北沢で「本屋B&B」を経営、雑誌『ケトル』(太田出版)の編集長・嶋浩一郎さんに「StayHomeを読書で楽しむ方法」をうかがいました。

嶋浩一郎さん/「最高の無駄が詰まったワンテーママガジン」がコンセプトの雑誌『ケトル』の編集長。松井剛氏との共著『欲望する「ことば」「社会記号」とマーケティング』(集英社文庫)など、著書多数

「知恵袋」に届いた質問はこちら

みんなの知恵共有サービス「Yahoo!知恵袋」は2005年にサービスを開始

知恵袋ユーザーからの質問

『オススメの本を教えてください! コロナで大学がまだ始まらないので読書がしたいです!』(「Yahoo!知恵袋」から抜粋)

嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「外出ができない今、家でもできる読書が脚光を浴びているのかもしれません。せっかくなので、ふだんあまり読まないジャンルを手にとってみるのはどうでしょう? 今回はちょっとだけ変わった本との向き合い方をご紹介します」

嶋さんオススメの今読んでみたい本

1)じっくり読める古典や大作

嶋さんが今読んでいる本や読んでおもしろかった本を教えてくれた
嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「読むべき本として1つ目は、古典や長編の大作を読んでみるのはどうでしょう。今、僕が読んでいるのは、小学館が出している『全集 日本の歴史』です。ほかにも、世界史全集や古典文学の現代語訳全集を読んでいますね」

嶋さんが挙げてくれたのはいかにも読みづらそうな本ばかり。

嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「僕は今、ふだん読むのが難しいものにあえてトライしてます。河出書房の古典を現代語訳した『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集』は本当にすごくて。『源氏物語』を角田光代さん、池澤夏樹さんが『古事記』、いとうせいこうさんが『曾根崎心中』を訳していたり。歴史の教科書で見覚えのある名作が、現代語訳によって意外と身近に感じられるんです。角田光代さんの『源氏物語』なんて、3巻もあって読むのがたいへんかもしれないですが、今は時間がある人が多いと思うので、没頭できる本を読むのもオススメです」

嶋さんによると、近松門左衛門の「曾根崎心中」は江戸時代のワイドショーで「源氏物語」は平安時代の貴族のトレンディードラマなのだとか。今なお読み続けられているそうした本には、物事の本質が詰まっていて興味深いのだという。

2)”ちょい読み”できる雑学本

嶋さんが見せてくれた「アシモフの雑学コレクション」
嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「先ほど紹介したのは古典や大作。でもそれってやっぱりたいへんだと思うので、読書習慣がない人には“つまみ読みできる本”はどうでしょうか? アメリカの作家アイザック・アシモフの『アシモフの雑学コレクション』(新潮文庫)なんてぴったりですよ」

1900年代に活躍したアイザック・アシモフは、映画「スターウォーズ」に影響を与えたと言われる「ファウンデーションシリーズ」や、現実のロボット工学にも浸透する“ロボット工学三原則(ロボットやAIが従うべきとされるルール)”を描いた「われはロボット」などを執筆したSF界の巨匠。同時に、雑学マニアでもあり雑学本を書いていたりもする。

嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「SF小説で知られるアシモフですが、『アシモフの雑学コレクション』では“開拓時代のカウボーイたちの死因で最も多かったのは?”“ニュートンの数多くの発見の秘訣とは?”など、多彩なジャンルの雑学が語られています。しかも、日本のSF小説の第一人者であり、“ショートショートの神様”とも呼ばれる星新一さんが編訳をしているのがおもしろいですよね」

※ショートショート=小説の中でも特に短い作品

嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「アシモフは“人間は、無用な知識の数が増えることで快感を感じることのできる、唯一の動物である”と言っています。小ネタを知って幸せな気分になる。“そんなこと知っていて意味あるの?”と言われるようなことでも、知ることでちょっとでも幸せを感じられたら、こんなときだからこそ特に素敵なことですよね」

3)子どもと一緒に学べる児童書や絵本

子どもの本の話になるとことさら楽しそうに語ってくれた嶋さん
嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「3つ目は児童書や絵本といった子ども向けの本。とはいえ、大人が「なるほど!」となる内容のものもたくさんあります。例えば、福音館書店から出ている『たくさんのふしぎ』。“日本海の内側の構造や水の動き”“モンシロチョウとアゲハ蝶で食べる葉っぱが違うはなぜか”といったことを、1冊1テーマで扱っているんですね。大人が読んでも発見があるので、子どもの学習もしつつ大人が読んでも楽しいものになっています」

コロナの影響で保育園や学校が休みになり、子どもと過ごす時間が増えた人も多いはず。そんな中で育児と楽しみを両立できるのも、子ども向けの本のいいところなのだとか。

最後にStayHomeのアドバイス

嶋浩一郎さん
嶋浩一郎さん
「暇してるけど本を読むのは億劫だと思う人もいるかもしれません。でも、読書って楽しいものだから、つまらなそうに感じたら前書きだけでやめちゃってもよくて。時間はたくさんあるし、自分が楽しめる本を読めばいい。もっと本とカジュアルに付き合うことをオススメします。それに、不要不急の外出自粛が叫ばれる中でも安全に楽しめるものです。自宅時間がたくさんある今だからこそ、本との向き合い方を考えてみてはいかがですか?」

嶋浩一郎さんが経営する「本屋B&B」はこちら

取材・文=井上良太(シーアール)

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