そば奉行・小籔千豊が指南! そばを満喫する10の方法【後編】

2017/01/02

そば奉行・小籔千豊が指南! そばを満喫する10の方法【後編】

芸人・小籔千豊が、愛するそばへの思いを余すことなく語り尽くすスペシャル企画。「鍋奉行」ならぬ「そば奉行」と化した熱き男・小籔とともに、指南の舞台は2軒目の行きつけの店へ……。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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小籔的“高嶺の花”でイイ店談

東京・白金の「三合菴」で始まった、小籔千豊のそば指南(前編記事参照)。「もう1軒、おすすめのお店にいきましょか」と小籔に連れられて来たのは、これまたミシュラン一つ星の名店、東京・明治神宮前の「玉笑(たまわらい)」である。

玉笑(東京・原宿)を訪問!

「玉笑」にはイイ店の要素が詰まってる! 小籔が考える、ウマいそば屋の特徴

裏原宿の近く。閑静な住宅街にある、隠れ家的な店構えの「玉笑」に到着
「このお店に初めて来た時、まずビックリしたんは、水がエグいぐらいウマいってこと。『水までウマいんやったら、ほかはどうなるん?』と、イチゲンさんは誰しも思うはず」

--ここ「玉笑」は小籔さんにとって、どんなお店なのでしょう?

小籔
小籔
高嶺の花ですね。抜群にビッグネームで、ずっとずっと憧れとったけど、縁がなくてなかなか来れへんお店やった。それだけに、初めて来た時の感動はハンパやなかったです」

--まず、何に感動しましたか?

小籔
小籔
おもてなし全般です。たたずまいもええし、水もウマいし、店員さんの雰囲気も好き。おまけに器もいちいちシャレてはる。1軒目の時にも言いましたけど、細部まで神経の行き届いたお店は、そばも絶対ウマいんですよ
「小物のセンスがええ店はそばもウマい」というのが持論。「料理は繊細なもの。繊細な人やから作る料理もウマいし、選ぶ小物もハイセンスという理屈です。『料理は得意やけどほかはガサツ』なんて人おらんでしょう」

2軒目でも実践! 小籔流「正しいそばの楽しみ方」

【その六】
「おつまみは玉子焼きを押さえるべし!」

--では、何を注文しましょうか?

小籔
小籔
「まず、スタンダードなおつまみとして『玉子焼き』『えびの味噌漬け焼き』をいっときますか」

--おそばはどうしますか?

小籔
小籔
「前々から気になってた『とうふそば』という変わったメニューと、関東では珍しい『熱もりせいろ』をお願いします」
この日2軒目だというのに、大食いの小籔は4品を注文! 「玉笑」では、そば屋の楽しみ方として忘れてはいけない、サイドメニューの実食を披露

--まずは「玉子焼き」が届きました。

小籔
小籔
その店のセンスに惚れ込んだなら、玉子焼きを一度は食すべき。どこのお店にもあるサイドメニューやから、差がわかりやすいんですよ。甘さや硬さの違いを感じつつ、その店ごとのセンスを味わう。それもまた、おそば屋さんに通う醍醐味の一つやと思います」

--「玉笑」の玉子焼きはいかがでしょう?

小籔
小籔
「玉子焼きって、そんなに奇をてらわれへんメニューやのに、そんな中、よそとは違うオリジナリティーを出そうという気概が詰まっとる。情熱的かつ芸術的なウマさですわ」
玉子焼き(864円)は、上品な薄味。食感はフワフワのトロトロだ。添えられた辛味大根おろしが、出汁と玉子の甘みを引き立てる
醤油を少々かけてから、大根おろしを乗せて実食
「この柔らかい食感と、うまみがジュワッと広がる瞬間がたまらん!」

【その七】
「メニュー名で味を判断するべからず!」

--続いて「えびの味噌漬け焼き」が運ばれてきました。

小籔
小籔
「これ、1回目来た時はナメて頼まへんかったんですよ。『えびの味噌漬け焼きね。ハイハイ、よくあるあれね』って感じで、うっかりスルーしてもうた。あの時なんで頼まへんかったのか……ということをいまだに後悔するぐらいウマいです

--具体的に、どうおいしいのでしょう?

小籔
小籔
味噌の味がまんべんなく染み渡っとるから、頭とか殻とか尻尾までおいしくいただけるんですよ。『あたし、頭とか尻尾とか食べられな〜い』言うてるギャルがおったら、これをいっぺん食わせてみたい。これ食べて『マズい』言う人間って、世界中に1人もおらんのとちゃうかな」
えびの味噌漬け焼き(1本540円・税抜)。西京味噌に3日間漬けたものを焼いており、頭から尻尾までカリッと香ばしく味わえる。味噌の風味と、海老のしっとりした甘さが相性抜群だ
「『えびの味噌漬け焼き』というタイトルだけでは、このおいしさを表し切れてへん。こんなもんやろ……という予想をはるかに上回る。食べた瞬間、『ごめんなさい。ナメてました』と謝りたくなるウマさです」

【その八】
「気に入った店では、未知のメニューにも挑戦すべし !」

--初挑戦の「とうふそば」が到着しました。

小籔
小籔
「これ、他店ではあまり見られへんメニューですよ。ここのそばと豆腐がウマいのは重々承知しとるけど、その両者を混ぜたらどないな味になるんか楽しみ。では、ありがたくいただきます」

--お味はいかがでしょう?

小籔
小籔
ウマいもんが集まって、ホンマにものすごい奇跡が起きた! って感じです。むちゃくちゃウマいお豆腐と、むちゃくちゃウマいおそばと、むちゃくちゃウマいかつおぶしが混ざったら、そりゃ当然ウマいやろうけど、まさかここまでウマいとは……。『王・長嶋・野村』が一堂に会したようなもんですわ
とうふそば(1728円)。そばの上に載せられた二塊りの手作り豆腐(この日は黒豆豆腐)は、絹ごし豆腐よりも繊細な舌触り。香り豊かでコク深い豆腐の味わいが、そばの甘みと絡まり合う逸品
極上のかつおぶしが踊るのを見つめながら、出汁醤油を適量垂らす
豆腐を崩しながら蕎麦をすくい上げ、かつおぶしとネギも絡めていく。ほどよい塩梅でミックスしてから、いざ実食!
「ようこんなメニューを思いついたな、と感心します。思いついても、普通はここまでおいしくできへん。その発想力と技術力に脱帽です」

--さぁ、ラストは「熱もりせいろ」です。

小籔
小籔
「これも結構、珍しいメニューやと思います。卵と薬味とおつゆをかき混ぜ、そこに熱々のせいろそばを漬けていただきます」

--お味はいかがでしょう?

小籔
小籔
「さっきから『ウマい』しか言うてませんけど(笑)、それでももういっぺん言わせてほしい。『めっちゃウマい!』と。温かくてコシのある太麺と、マイルドなおつゆのハーモニーが絶品です。僕にとっては、この店の象徴。『ザ・玉笑』といった感じですね」
人気メニューの熱もりせいろ(1080円)。溶き卵で食べる関東では珍しいスタイルゆえ、これ目当てで足を運ぶお客さんも大勢いるとか
食べ方のセオリーとしては、まずは器で卵を溶き、薬味を入れる
そして、熱いおつゆを少量入れてから、かき混ぜる
あとは、ホカホカのそばを漬けて食べるのみ。おつゆは味が濃い目なので、少しずつ継ぎ足そう
最後にそば湯を味わう。おつゆに卵と薬味を残しておけば、「卵とじそば湯」みたいな風味になるという

【その九】
「そば湯で“ルーツ”を探るべし!」

--小籔さんは、そば湯を必ず飲みますね。

小籔
小籔
おそば屋さんの蕎麦がマジでウマかったら、『ルーツを知りたい』という心境になるんです。たとえば好きな女の子がめっちゃええ子やったら、『一体どんな育ち方をすれば、こんな愛嬌(あいきょう)ある子に育つんやろう? ちょっとお母さんを見てみたいわ」って思うやないですか。それと一緒で、『このそばめっちゃウマいな。そば湯はどんな感じなんやろう?』とルーツを探りたくなるんですよ」

--「玉笑」のルーツはいかがでしょう?

小籔
小籔
「濃厚で味わい深くて、体の芯まで温めてくれるような優しさを感じる。『この親にしてこの子あり』ですわ
そば湯を飲みつつ感動に浸る。「そばも豆腐も卵もかつおぶしも、ネギも醤油も、生まれてきてくれてありがとう。こんだけウマいもんを食べさせていただくと優しい気持ちになります」

--「玉笑」の4品を完食しましたが、感想は?

小籔
小籔
一軒目のお店が長谷部なら、こっちのお店は香川でしょう。確かな動き、確かな働き。そして時には、アッと驚くプレイも見せてくれはる。まさにファンタジスタと呼ぶにふさわしいお店です」

--「玉笑」には、どんな時に行くことをオススメしますか?

小籔
小籔
「2回目のデートあたりで、彼女を連れて行くのに最適やないでしょうか。味も雰囲気も最高やから、喜ばれるのは確実。それに付き合いたてのカップルって、緊張で会話が途切れがちやけど、こちらのお店は変わったメニューも多くてテーマパーク的な楽しさがあるから、話のネタに困らへんのとちゃいますか」
食後に「玉笑」の浦川雅弘店主と歓談。「ごちそうさまでした。いつもおいしいおそばをありがとうございます。また寄らせてもらいます」「こちらこそ、いつもありがとうございます」

【その十】
「人気店に長居するべからず!」

--最後に、小籔さん流の「食後のエチケット」を教えてください。

小籔
小籔
人気店であればあるほど、食べ終わったら速やかに去るべき。このおいしさを自分だけのものと思ったらあきません。『金払っとるから長居する権利がある』みたいな考え方はアホです。『食べさせていただく代わりにお金を払わせていただきます。すいません』っていう気持ちでおったほうが、食べ物もおいしく感じるものです」

--それはなぜですか?

小籔
小籔
「男女関係に置き換えて考えてみたらええです。『付き合ったってんねん』と思うてたら、彼女にキスされてもうれしくないけど、「付き合ってもらってる」と思っとったら、チュッ♡とされた時に、『おお!』となるでしょう。自分が幸せになるための謙虚さが大事。キャラにないこと言いますけどね(笑)」
人気店では、行列を作って待つ他のお客さんのことも考えるべき。食後の余韻もそこそに、小籔は颯爽と去って行った
2011年、明治神宮前に再オープンした「玉笑」。そばは常陸秋そば(茨城県常陸太田市)を使用。店主自ら丸抜きから製粉まで行う。2013年、2014年、2015年、2017年のミシュラン一つ星を獲得

玉笑(たまわらい)

住所:東京都渋谷区神宮前5-23-3
アクセス:明治神宮前駅[7番出口]より徒歩約7分
電話:03-5485-0025
営業時間:
火~金曜11:30~15:30(L.O.15:00)、18:30~21:30(L.O.21:00)
土曜11:30~20:00(L.O.19:30)
日曜11:30~17:00(L.O.16:30)
※そば売り切れ次第終了
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌火曜が定休日)
※そば畑の作業の都合で、臨時休業あり

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

取材メモ/当初は1軒のみの取材の予定だったが、「どうしても2軒紹介したい」という小籔氏の熱望により、前編・後編にわたってお送りした今回の企画。氏のそばに対する愛情の深さと、読者に対する誠実さと、お店に対する義理堅さを感じた1日だった。

構成=乾純子(Roaster)、取材・文=岡林敬太、撮影=米田樹央(Roaster)

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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