パンを楽しむスナック!? 食べ方の提案がすごいパンオタクの店

パンを楽しむスナック!? 食べ方の提案がすごいパンオタクの店

2020/06/22

パンをこよなく愛し、パンブログ「ぱんフレット。」を13年間続けるpantiki(パンチキ)さん。その自他ともに認める“パンオタク”が、パンの魅力を伝える店を4月1日にオープン。喫茶店だからこそ提案できるパンのおいしい食べ方をはじめ、パンにまつわるストーリーが楽しめる。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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マニアックなパンブログの世界感を、リアルに体感できる空間に

以前ブックカフェとして人気だった喫茶店「goseki」の空間を引き継いでオープンした「Kissatenぱんフレット。」

パン巡りというライフワークを通し、さまざまなベーカリーのパンを食べ尽くしてきたpantikiさんが特に惚れ込んだパンを集め、それを最高の状態で味わってもらうのがコンセプトだ。

店はコンクリート打ちっ放しのモダンなマンションの1F。木を使った器やユニークなオブジェが人気の木工作家「ニシモッコ」に依頼した有機的なフォルムの看板にも注目

\この人に聞きました!/

パンをテーマにしたイベントも主催するpantikiさん
店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「長年パンブログを続けていると、いつの間にか読者がパン屋さんのファンになったり、読者同士がつながったり。ブログが、パン好きが集まれる“場所”になっていってたんです。そうしたやりとりを“3次元化”させたいと思ったのが店を開いたきっかけです。ブログ名と店名に共通する『ぱんフレット。』には、大人になったら教科書は開かないけど、面白いパンフレットだったら気軽に開いてくれる、そんな存在になりたいという思いを込めました」
店内もスタイリッシュな空間。pantikiさんが一人で切り盛りする、パン好きのためのスナックのような雰囲気

パンそのもののおいしさを最大限引き出すメニューにして提供

店で使用するパンはすべて、pantikiさんが自信を持ってオススメできる、福岡県内を中心としたさまざまなベーカリーから集めたもの。

そうしたベーカリーごとのこだわりや、パンにまつわる話を聞きながらメニューを味わえるのが「ぱんフレット。」の魅力の一つだ。

店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「本当は映画の『かもめ食堂』のようなオシャレな雰囲気にしたかったんです。でも、私本来の昭和感が会話の端々に滲み出てしまうみたいで、『かもめ食堂』というよりスナックのようだと言われることもありますね(笑)」
店で使用するパンの一部。「シュガーリーフ」のパンや「loma」のスコーンなど店も種類も多彩。「ニシモッコ」に作ってもらったトレイは、木が湿気を吸い込み、細やかな彫り目が空気の通り道となって蒸気を逃がす

さらに、pantikiさんはパン屋のフードロスを少しでも減らそうと、“パンのバトン”活動にも力を入れている。

店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「実はパン屋ってロスがでやすい業種なんですよね。パンを捨てなければいけない職人さんの悔しさを知っているから、どうにかその捨てられるパンを活かせないかと考えていました。ですので、ロスになったパンを対価を払って引き取って、そのパンの魅力やおいしい食べ方などと一緒に提供できたら、おいしさを知ったお客さんがそのパン屋さんにも足を運ぶ、いい循環が生まれるんじゃないかと期待しています」

店のメニューは、パンの持ち味を最大限引き出せるように、厚さや切り方、そして焼き戻し方やバターの乗せ方まで研究しつくした内容で構成されている。

店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「パン屋さんには、その日に焼いたパンがロスになった時点で冷凍保存をしてもらっています。冷凍することで1カ月くらいは食べられますし、焼き戻すことで作りたてとほとんど遜色ないおいしさを味わうことができます」

看板商品の煮小豆バゲットは食感のしっかりした自家製の煮小豆をのせてきな粉を振り、ミルキーな質感が特徴の高千穂バター(無塩)を薄く削ってトッピング。単品(450円)で味わえるほか、日替わりのおすすめパンセットに入ることもある。

店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「人気のあんバターをパンオタクなりに解釈した一品です。マリアージュというよりも、どの食材の個性も感じながら“味の並走”を楽しんでもらいたいんです」
バゲットを水平にカットし、中のクラム(気泡)を見せる
店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「よく食パンなどにはバターが染み込みやすいよう表面に切込みを入れたりしますが、バゲットを水平に切ることでナチュラルにできた“バタースポット”が現れるんです。ここに自家製の煮小豆を入れて、あんバターのように仕上げます。ただ、普通はあんバターは餡の甘さが主役ですが、パンの生地自体のほのかな甘さを感じて欲しいので餡には塩と最小限の砂糖しか加えていません」
おすすめパンセット(1000円・ドリンク付き)。この日は煮小豆バゲット(左上)2枚と、異なる種類のバターを塗ったカンパーニュ(右上)2枚、パンドミ(食パン・手前)1枚。別の種類のパンのお代わりもできる
店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「このセットは福岡県内のさまざまなベーカリーのパンを1種類ずつ味わって欲しいのですが、コロナの影響で集めることができず現在は提供を休止しています。でも近日復活予定なので、また個性豊かなパンを楽しんでもらえるはずです」

煮小豆バゲットとともに、「ぱんフレット。」の名物といえるのが、フワフワ食感のフレンチトースト。こちらは食パン専門店「一本堂」の定番の食パンを使用。主役となるのはやはり、小麦粉の風味や生地の甘さなど食パン本来の味わいだ。

また、最高の食感に仕上げるために調理に使う家電もパンオタク的な視点で厳選している。

食パンを1枚焼くためだけに開発された「三菱ブレッドオーブン」。このオーブンでフレンチトーストを焼くと、空気を含んだスフレのようにフワフワの食感に
数量限定のフレンチトーストセット(900円・ドリンク付き)。カルダモン風味のアイスクリームが付く
店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「フレンチトーストもあくまで主役は食パン。だからあえて漬け込み液には甘みはつけず、トロトロにはしていません。フレンチトーストが甘くない分、ヨーグルトを加えたさっぱりテイストのアイスクリームで甘さを補ってもらう感じですね」

サンドイッチにもpantikiさんのこだわりが。普通、食パンの真ん中の白い部分を使うが、「ぱんフレット。」では耳の部分のみで具をサンドする。

こうすることで、出来立てではカリッとした食感を楽しめ、たとえテイクアウトで時間がたったとしても具の水分を吸ってソフトになりすぎず、ほどよい柔らかさをキープできる。

メインを日替わりサンドか写真のふわふわオムレツサンドから選べるサンドイッチセット(1000円)。食物繊維たっぷりのミニサラダとドリンク付き
店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「たまごサンダー(たまごサンドが好きな人の意)を自認する私にとっての自信作。食パンの耳って一般的には人気がないんですが、サンドイッチに使うとこんなにも美味しくなるということをもっと知ってもらいたいです」
ドライフルーツやナッツをたっぷり入れたパンをアレンジした、冷やしパンプディング(350円)
店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「イメージしたのはスパイスを使ったキャロットケーキ。そのスパイスの代わりにハーブを使い、高千穂バターとクリームチーズで作ったフロスティングを添えました」
テイクアウト用として販売する「おまかせサンドイッチBOX」(650円)
店主のpantikiさん
店主のpantikiさん
「サンドの具材は日替わりで、この日は鶏そぼろをすき焼き風に味付けしたものに生の春菊を合わせたものや、ほうれん草カレーをポテサラに練りこんだものなどを入れています。ベーカリーではない喫茶店ならではの、ちょっと意外性のある組み合わせも提案していきたいなと思います」
ホットコーヒー用の豆は福岡市・六本松の「フスクコーヒー」に依頼。焙煎士と相談し、パンとの相性がいいグアテマラの中煎りに決めた。コーヒー豆は購入も可能(200g1400円)

\3密対策、やってます/

安心して喫茶店を楽しんでもらえるように、3密対策は万全の注意をはらう。常に換気を行うほか、席の間隔を開けてソーシャルディスタンスを確保。さらに紫外線を使った抗ウイルスの装置なども併用して、感染予防を徹底している。

エアコンは稼働させつつ、常時入口のドアを開放し換気を心がけている
入口近くのカウンターにアルコール消毒液を設置。また、お客が退店したあとはアルコールで席まわりを消毒している
紫外線を発することでウイルスや菌の発生を抑制する減菌器を設置している

取材メモ/さまざまなベーカリーのパンをストーリー付きで食べ比べできるのは、この店ならでは。生粋のパンオタクならではのpantikiさんのトークが面白く、新しいパンの扉が開けるような体験ができました。世の中の状況を見ながら取り扱うパン屋の数も増やしていきたいということなので、行くたびに発見がありそうです。

構成=シーアール、取材・文=陣内研治、撮影=福山哲

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