「炎の料理」再び! 原点回帰の肉料理が味わえるおすすめ3店

2017/03/18

「炎の料理」再び! 原点回帰の肉料理が味わえるおすすめ3店

薪や炭を使った「炎の料理」が復権の兆し。火と肉の競演は、ガツンとうまい!

T JAPAN web

T JAPAN web

ガストロノミー界では、ここ十数年、エスプーマ(亜酸化窒素を使い、食材を泡にする調理法)や液体窒素などを駆使した驚きのある料理がもてはやされてきた。その潮流は、北欧や南米で新奇な食材を求める動きへとつながっていった。

一方、サプライズを求める流れの対極に目を向け始めた料理人たちが、最近、新店をオープン、もしくはリニューアルしている。彼らが注目したのは「火」だ。薪を燃やして熾おき火で、あるいは炭火で肉を焼く。薪火や炭火を見ながら、客は料理を味わう。この「原点回帰」がもうひとつの潮流になろうとしている。

1[TACUBO] 人間の本能に訴えかけてくる料理に出合える

特等席のカウンター。奥の炉窯で火が燃えているのが見える。

2016年春に移転し、店名を「アーリア ディ タクボ」から「TACUBO」に変え、新たな料理に挑戦し始めた田窪大祐シェフ。都内では珍しい開放型の薪窯をカウンター席の真ん前に置き、薪火で肉を焼く。「独立して10年。女性目線のきれいな料理を作らなきゃとやってきたのですが、やっと肩の力が抜けたのかな。うまい! って人間の本能に訴えかける料理を作りたいと思ったんです。それには原始的な調理法がいいなと。時代には逆行しますが、僕にとっては新鮮な手法でした」

「田くぼ牛の薪焼き」。季節の野菜の炉窯焼きが必ず添えられる

ナラの薪をガンガン燃やす。その間、シェフはずっと火の前に立ち、汗だくで炎を見続ける。熱とまぶしさで目が痛くなることも。薪の火が収まって熾火になってから、肉を焼き始める。「炭と違い、薪は水分を含んでいるので、肉が乾かず、焼き上がりがしっとりします。肉自体が気づかないうちに火が入り、表面を焼き上げたとき、肉の細胞がぐぐっと花開くって感じがするんです」。なんとも楽しげにシェフは話す。

店内カウンター中央に置かれた薪窯。
Yahoo!ロコTACUBO
住所
渋谷区恵比寿西2-13-16 ラングス代官山 1F

地図を見る

アクセス
代官山駅[北口]から徒歩約4分
恵比寿駅[2]から徒歩約6分
恵比寿駅[西口]から徒歩約8分
電話
03-6455-3822
営業時間
[ランチ]水・土・たまに祝日12:00~15:30(L.O13:00)[ディナー]月~土18:00~25:00(L.O.23:00)
定休日
日曜(月曜が祝日の場合、日曜ランチ、ディナー営業の月曜休)
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

2[炉窯ステーキ 煉瓦] すべては肉のために。肉の塊が豪快に焼き上げられ、
その日のゲストでシェア

薪窯で肉を焼く店が渋谷にある。その名も「炉窯ステーキ 煉瓦」。こちらは、〝すべては肉のために” といった風情の店だ。牛のイチボ5~6㎏と当日のおすすめ肉(豚や鴨)3㎏ほどの塊が毎晩20時、豪快に焼き上げられてテーブルへ。「おぉ!」と歓声を浴びた肉は、いったん厨房へ戻され、カットされて客のもとへ運ばれてくる。肉の塊を、そのときのゲストでシェアするシステムなので、肉の前に前菜を何品食べるかによって、予約時間が決められる。

シェフを含めたスタッフで考え抜いて設計した炉窯。2種類の煉瓦を使っている。

20時から逆算して、横山亮平シェフは始動する。冷蔵庫の肉を室温に戻し、炉窯に火入れする。薪は杉や山桜など。ときによってレモングラスやみかんの葉、ローリエなどを加えて香りを足すこともある。炭も併用するのがここのスタイル。熱源として安定しているのが理由だ。
 

この日のイチボは5キロ。焼き上がりを大皿に盛り、ゲストにお披露目してから切り分けられる

なぜイチボなのか。「イチボは牛の臀部の上の部分。脂と赤身のバランスがよい。うちでは1頭から2本取れるイチボの1本分をそのまま焼いています。厚みがあるので、肉を食べているという満足感があります」とGMの佐々木紀人さんが説明してくれた。
シェフは、「余計な肉汁を漏らさず、うまみを封じ込めて焼き上げるには、塊肉がベストです。薪で焼いた肉は、細胞がぶりぶりと生きている感じになるんです」。

この厚みに食べごたえを感じる。和牛にこだわり、A5というランクにはこだわらず、上質なものを入手する

肉を窯に入れても、直接炎にはあてず、遠火でじっくりと焼いていく。いったん火入れしたあと窯内と室温で休ませ、これを繰り返す。焼いている時間と同じだけ時間をかけて休ませるのがコツだ。肉には葉野菜をたっぷり添え、オリーブオイルとバルサミコソースがかけられる。別添えで塩が3種類。まろやかな味のコーシャーソルト、うまみの強いフランス・ゲランド産、淡い味が特徴の能登の海塩。塩によって肉の味わいが変わる楽しさを噛みしめる。塊肉を目にした高揚感と脳天直撃のうまさを味わったあと、食べ終えた人は肉のおかわりができるという、さらなる楽しみが待っている。

Yahoo!ロコ炉窯ステーキ 煉瓦
住所
東京都渋谷区渋谷1-6-4 せいこうビル1F

地図を見る

アクセス
渋谷駅[13a]から徒歩約4分
渋谷駅[宮益坂口]から徒歩約6分
渋谷駅[東口]から徒歩約6分
電話
03-3409-2911
営業時間
18:30 ~ 24:00
定休日
日曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

3【falo】炎を囲むカウンター席で肉料理を楽しむ

炭台はオリジナル

こんな店もある。「falò」という店名は、イタリア語で「焚き火」の意味。「店の中央に炭火台を置いて火を熾おこし、その炎を囲むようにカウンターがあって料理を楽しんでもらいたい」―イタリア料理店「falò」のオープンの案内状には、そう書かれていた。ほのかに赤く燃える炭火を見れば、一緒に食事をする人との距離も縮まるにちがいない。

火には人を癒やす力があると言う。作家のC・W・ニコルさんが、虐待を受けるなどして心に傷をおった子どもたちに黒姫の森で読み聞かせをするとき、焚き火をすると話していた。焚き火を囲んでいると、子どもたちが落ち着くのだそうだ。

ポルケッタの付け合わせは、炭火でホクホオクに焼き上げたじゃがいも。自家製の炭の香りのする塩を添えて。

そんな癒やし効果ももちろん魅力だが、ここのウリはイタリア郷土料理の「ポルケッタ」。ばら肉に秘伝のスパイスをきかせ、ぐるぐる巻きにして大きな筒状になったものを焼く。店では、千葉産の三元豚を使い、オーブンで下焼きする。これを休ませ、食べる頃合いを見計らい、30分ほどかけて炭火で香ばしく焼き上げる。炭火の前には鉢巻き姿の樫村仁尊シェフが立つ。
 

炭の場所を移動することで火の入り具合を調節

「じつは私、BBQ好きで。炭火の焼きっぱなしのおいしさを店でも、と思ったんです。食材の味をストレートに感じられるでしょう? 焦げとか焼きムラがあってもいい。均一じゃないおいしさを目指しています」

ポルケッタを定番で出すイタリア料理店は少ない。この味を目指して店に来ていただけたらうれしい、とシェフ。ワインは自然派を揃え、小皿料理メニューも多数。「焚き火イタリア居酒屋と思ってください!」。額の汗をぬぐいながらシェフは笑った。

Yahoo!ロコfalo
住所
渋谷区代官山町14-10 LUZ代官山 B1F

地図を見る

アクセス
代官山駅[北口]から徒歩約2分
恵比寿駅[2]から徒歩約7分
恵比寿駅[西口]から徒歩約8分
電話
03-6455-0206
営業時間
[月~木]18:00~23:00(L.O.)[日・祝]15:00~21:00(L.O.)
定休日
木曜日
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

野外の焚き火で肉を焼くことは、太古の昔から人間の悦楽だった。21世紀の料理人はさまざまな調理道具を駆使し、料理を日々進化させている。半面、焚き火という古来の調理法が今、なぜか斬新に感じられる。原始の調理法、「火」を扱う料理人たちはみな、とても楽しそうだった。人間の本能のゆえなのか。その「楽しい気分」も味となって、炎の料理は私たちを心躍る美食の世界へ誘ってくれる。

T JAPAN web

T JAPAN web

知的好奇心を刺激するインテレクチュアルスタイルマガジン

取材・文/北村美香 撮影/合田昌弘

この記事を書いたライター情報

T JAPAN web

T JAPAN web

知的好奇心を刺激するインテレクチュアルスタイルマガジン『T JAPAN web』では、「インテリジェンスとクォリティ」をテーマに世界と日本の最新カルチャー、ファッション、アート、エンターテイメントなど、様々なニュースやトレンド情報を紹介しています。

T JAPAN web が最近書いた記事

RECOMMEND

SPECIAL

SERIES