博多のうどんの新提案「冷やかけを食べる人生、食べない人生」

博多のうどんの新提案「冷やかけを食べる人生、食べない人生」

2020/08/06

讃岐生まれのうどん食べ方、冷やかけ。冷やかけって本当に素晴らしいんです。冷やかけが何か知らない? 知っているけど、食べたことがない? 食べたことがあるけど、その素晴らしさがわからない? ぜーんぶ、損していると断言します。その魅力にヌードル山田が勝手に迫ります。

muto(ミュート)

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冷やかけを食べる人生、食べない人生。

大袈裟でしょうか。人生って、結構なパワーワードですよね。でも、愛してやまないんです、冷やかけを。
冷やかけとは、うどんの食べ方の一つです。冷水でしっかり締めたうどんの麺に、冷たいつゆを組み合わせる。それが冷やかけです。かけうどんってありますよね、温めた麺に温かいつゆを合わせたうどんのごく一般的な食べ方。そのかけうどんを、麺もつゆも冷たくしたイメージです。
ぼくは福岡生まれ、福岡育ち、うどんといえば温かいつゆのうどん一択みたいな人生を歩んできました。だから、ざるでもなく、ぶっかけでもない、冷やかけという食べ方が存在することを知ったあの日、かなりの衝撃を受けました。だって、もはや知っていたうどんとは、別の食べ物になっていたんですから。

福岡市・薬院「二◯加屋長介」の冷やかけうどん。つるりといけるので、冷やかけは締めの一杯としても大活躍!

「冷やかけ」は、何が違うのか?

温かいうどんが冷たくなっただけで、何がそんなに違うの。その問いに対する回答は、全てがまるで違うのだと、ぼくはできるだけ大きな声で伝えたい。
まずは麺から。食感が引き締まり、ムチムチ感が際立つんです。以前、博多うどんの検証というイベントを企画したことがあります。博多うどんはやわらかい麺というイメージが世間一般にありますが、同じ茹で時間、形状の麺を、一方はかけうどん用に冷水で締めたものを再度温め直して提供。もう一方はそのまま器に盛り付け、ざるうどんとして食べ比べました。結果は、「え、同じ麺なんですか?」「これ完全に別物でしょ」という驚きの声が各テーブルから噴出。そうなんです、麺は食べ方次第で全然違う表情を見せてくれるんです。ぜひ温かいうどんと冷やかけ、同じ店で食べ比べてみてほしいなと思います。本当に全然、麺の食感が違いますから。

宗像市「こなみ」の冷やかけうどん。引き算の美学が冴え渡る一杯です。キムチトッピングも人気

冷たいからこそ感じる「つゆ」の旨味

そして、つゆ。これも冷やすと印象ががらりと変わります。出汁の香りが立ち上る、温かいつゆのあの感じはありませんが、その代わりに、冷たいからこそ正確に伝わってくる旨味の存在感がたまりません。アイスクリームの溶けて、温度の上がったそれをぺろっと舐めると、ものすごく甘いですよね。つまり冷たい状態で美味しく感じさせるには、結構、凝縮させないといけないんです、味を。だから冷やかけのつゆは、全部の店に聞いたわけではありませんが、温かいつゆをそのまま冷やして出しているケースは少なく、醤油を足したり、場合によってはかえしを足すことによって、提供しているお店は冷たい状態で最高のつゆの味を追求しています。
麺、つゆ、それぞれにその魅力を熱く解説してきましたが、その両者が合わさった時の感動こそ最強。なんといっても、冷やかけが運ばれてきたその瞬間にズズッと麺が啜れる。熱々じゃないので、即、いける。これが痛快なんです。
特筆すべきは、麺を啜るたびに、唇に残る涼感。麺を咀嚼するほどに、つゆを口に含むほどに、全身がクールダウンしていくのが分かります。

福岡市・舞鶴「うどん大木戸」の冷やかけうどん。竹輪天など天ぷらを一緒に食べるのが最高

トッピングなしでも良いですが、もし添えるなら、熱々の天ぷら、願わくば別皿で。ハフハフと天ぷらを頬張り、冷たいうどんとつゆを続けて口に入れる。この温冷のエンドレスで完全に整います。
熱々の天ぷらが冷めた後半は、丼に直接インしても良いですよ。天ぷらの油っ気がつゆに合わさることで、味わいにコクがもたらされます。
個人的には天ぷら以外だったら、キムチ、梅干しとの組み合わせが気に入っています。酸味が相性が良いように思うのです。また、自宅で冷やかけを食べたいという方には、すだちをスライスしてトッピングするのもおすすめ。
食欲がなくても、不思議とするすると入るのも冷やかけの魅力の一つです。一度知ると、そこは沼。抜け出せなくなること請け合いです。冬でも食べたくなる魔性の食べ方、冷やかけ。ぜひ未体験の方はこの夏、デビューを。

山田祐一郎

山田祐一郎

ライター・ヌードルライター・ヌードルコーディネーター

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