それでも食べたい標高2307mの「天空のパン屋」に行ってみた

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幸せを呼ぶ美味しいパン

2017/02/22

それでも食べたい標高2307mの「天空のパン屋」に行ってみた

東京から新幹線とバスを乗り継いで4時間半。長野県志賀高原の横手山には、知る人ぞ知る「人を幸せにするパン屋」があるといいます。行ってみようではありませんか。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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わざわざ食べに行きたくなる辺境のパン屋とは?

標高2307メートルで作られているというパンを求めて、東京を発った記者。朝の新幹線は日本経済を支えるスーツ姿のビジネスマンが目立ちますが、私だって美味しいパンを食べに完全防寒仕様で冬山に行くのです。

長野駅に着きました

長野からはバスを乗り継いで、横手山に向かいます。長野駅前のバス乗り場に向かうと、大行列ができていて焦りますが、どうやら列の大半を占める外国人観光客は、途中にある「スノーモンキーパーク」に向かう様子。猿が温泉に入ることで有名な施設です。

終点までバスで2時間以上。新幹線より長い時間乗るのに料金は1700円。なんだかお得感があります

東京を出発して4時間半。ようやく終点の「横手山第一リフト前」に着きました。最後まで乗っていた客は自分だけ。ヒュッテの人が、バス停の目の前まで迎えに来てくれる約束になっているのですが……誰の姿もありません。

横手山の全景は雪煙でまったく見えません。ここからリフトを二回乗ると山頂に着きます

遠くから黒い影が見えました。

あれはもしかして
スノーモービルが到着。かっこいい!

ヒュッテの宿泊客はリフト、あるいは雪上車で山頂のヒュッテまで向かいます。スノーモビルは主に宿泊客の荷物輸送などに使用されるといいますが、今回はこれで運んでもらいます。

この日はダイヤモンドダストが見えました

スノーモービルはぐんぐんと雪山を登っていきます。かなりの振動ですが、これまでに振り落とされた人はいないとのこと。記念すべき第一号にならないよう、強く手すりを握りしめます。このモービルは荷物運搬用ですが、聞けば最高時速で70kmも出るとか。力強いトルクは頼もしい限りです。

樹氷が見えました。本当にこんなところにパン屋があるのでしょうか

天空のパン屋に到着!

15分ほど揺られてようやくヒュッテに到着。ヒュッテとはドイツ語で、登山者やスキーヤーの宿泊・休憩のために作られた山小屋を意味します。建物には暖と食事を求めるスキー客が、次々に吸い込まれていきます。標高2307メートル。ここが、人呼んで「天空のパン屋」です。

こちらが「横手山頂ヒュッテ」です

中に入ると、食事のいい香りがしました。どうやら、ランチタイムで賑わっているようです。客のお目当は、このヒュッテ自慢の手作りパン。5時間近くかけてようやく到達した、念願の「天空のパン屋」には、一体どんなパンが並んでいるのでしょうか。

売り切れていました

でも安心してください。このパン屋では、多い時は、一日に4回ほどパンを焼くのです。山の天気は気まぐれで、大雪の日には客がゼロということもあり、天気予報とにらめっこが続くといいますが、この日は久しぶりの晴れ模様で、お客さんも大勢いました。パンはまだかしら。ちょっと工房をのぞいてみましょう。

パン生地をこねる高相さん夫妻。志賀高原でも有名な仲良し夫婦です

もともとは、旦那さんのお母さんが始めたというパン作り。遠く神戸から嫁いだものの、気軽に美味しいパンを買えないことを嘆いたお母さんの、「だったら自分で作ってしまえ」という思いつきで始まったとか。肝心な作り方は、知り合いに聞いたり、本で調べたり、と独学で腕を磨いたそうです。

初期はボイラー室で発酵させていたとか。今は立派な設備があります

最初は自分たち家族で食べるぶんだけを作っていたものの、やがて、常連客からのリクエストに応える形で、提供するようになりました。確かに、店の奥からパンの焼けるいい香りがしたら、気になりますよね。当初は気圧の関係もあり、大金を投じて購入した機材が機能しないなど苦労があったそうですが、気がつけばクチコミで名物となり、パンを目当てに来山するお客さんも増えたといいます。

それではパンを紹介します

これが「天空のパン」たち。左下から時計回りに、ソフトフランス、ベーコンチーズ、あんフランス、アップルクリーム、カレー、レーズン、くるみ。菓子パンは300円(税込)から
人気の「きのこスープとパンのセット」(1300円・税込)。クリームシチューをパンで閉じこめた大人気のメニューです。
外国人スキーヤーから大人気だという「ジャンボドッグ」(1200円・税込)。ボリュームたっぷりです

パンは全体的にしっかりした食感で、食べた後の満足感があります。山奥でこんな美味しいパンを食べられることに、驚く人も多いとか。お客さんの多くは、年に一回来るか来ないか。それでもこのパンを楽しみにしてくれていることが、パン作りの励みになっているといいます。焼きたてのパンは、みんなを温かい気持ちにしてくれるのです。

お顔がそっくりな男性陣はもちろんご兄弟。寡黙なお兄さん(写真右)がこの日唯一見せた貴重な笑顔をどうぞ

働き者の奥さんの小学校時代の夢は、なんとパン屋さん。「昔からの夢がかなって幸せ」と笑う奥さんと、横でニコニコとその様子を見守る優しい旦那さん。そして無口で高倉健のような渋みのあるお兄さん。幸せな家族が作るパンは、どこまでも優しい味がしました。

宿泊すればこんな素敵な景色が楽しめます(写真提供:横手山頂ヒュッテ)
Yahoo!ロコ横手山頂ヒュッテ
住所
長野県下高井郡山ノ内町平穏7149-17

地図を見る

電話
0269-34-2430
口コミ・写真など

※この施設の情報はYahoo!ロコから提供されています。

人を幸せにする天空のパン屋に、あなたもいつか足を運んではいかがでしょうか。


途中で乗り継ぎに失敗。次のバスは40分後でした

取材・文/キンマサタカ(パンダ舎)

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