犬養裕美子のお墨付き! 祐天寺「もつ焼き ばん」

犬養裕美子のお墨付き! 祐天寺「もつ焼き ばん」

2017/03/03

“アナログレストラン”はレストランジャーナリスト犬養裕美子が選ぶ「いい店」。作り手がその場できちんと料理をしていること。小さくても居心地のいい空間とサービス、かつ良心的な値段。つまり人の手、手間をかけた「アナログ」で「アナ場」な店。第22回は祐天寺「もつ焼き ばん」

Yahoo!ライフマガジン編集部

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安い、旨い、早い! これぞ居酒屋の鏡!

駒澤通りに並ぶ本館(1人客、あるいは少人数客向け)と、別館(グループ向け)。夜の7時ごろにこの前を通って驚いた。両方合わせて90席が満席。外には順番待ちの人が並んでいるではないか。

私は学芸大学が地元だから断言するが、隣駅の祐天寺は美容院とカフェは多いけれど、飲食店は少ない地味な駅。その祐天寺でこれだけ繁盛している店は、間違いなくいい店だ。これは絶対来なくちゃ。後日、確認したら、なるほど!と納得の理由が山ほど出てきた!

本店 カウンター席は一人客用。目の前にその日のおばんざいが並ぶ
メニューは壁の張り紙を見て注文を。天ぷらや刺身など、何でもそろう

午後16時。開店の時間である。世間はまだまだ仕事モードの時間だが、続々と暖簾をくぐって入ってくる人でカウンター、テーブル席が埋まる。一人客には先客から、すぐに声がかかる。「こっちで飲もうよ」「ここ空いてるぞ」。30分ほどでたちまち店内約40席がほぼ全席うまった。基本的にカウンター席は一人客用。二人以上はテーブルに案内されるが、そのテーブルは4名席だ。いずれ相席になることが予想されるので二人で向いあって座るのがお約束。相席を楽しむのがこの店の楽しみ方でもある。ここでの出会いがきかっけで見事、結婚したカップルもいるのだから。逆をいえば、相席が嫌という人はこの店には向かない。

品川まで直接仕入れに行くので、8:00〜12:30までは仕込みにじっくりと時間をかける。だからにおいもなく、新鮮でおいしく味わえる。左から・なんやわ(心臓・ハラミ)、フランス(首まわり)、おっぱい
塩は左から・レバー、テッポー(直腸)、しろ(大腸)。豚のもつ焼きは全14種各100円
レバカツ150円。アツアツ、ジュ-ジューで出てくる。甘酢っぱいソースとレバーの相性は抜群
マカロニ280円。炭水化物系がないので、パスタ代わりに、男女を問わず人気の一品
トンビ(豚尾)豆腐1本入り350円。豚の尾っぽはトロトロになるまで煮込んである。唐辛子がかなり効いたスープなので、豆腐とバランスよく味わいたい。かなりボリュームもあるので、ひとり一皿は多い?
本店奥のコーナーは、カップルに人気がある

どんな料理にも合う飲み物は“レモンサワー”だった!

レモンサワーセット400円。元祖、レモンサワー。濃さ、さわやかさのバランスが絶妙

さて席を確保して、一安心してから誰もが注文するのは「レモンサワー」である。なんと、全体の約8割はレモンサワーを注文。というのも「レモンサワー」はこの店で命名、広まった、いわばオリジナルの味だ。

出し方も太っ腹。氷と焼酎が入ったジョッキ、生レモン1個、ハイサワー(ソーダ)1本。これがセットで400円。自分でレモン半割を絞って入れ、ハイサワーを加えて完成。飲み干したら、残りのハイサワーとレモンを絞っていれ「中」(中身をたしてね!)と注文すると、250円で焼酎を追加してくれる。つまり650円で、かなり濃いレモンサワージョッキ2杯を飲めるのだ。この爽快感、そしてお値打ち感を味わうと、たしかに他には行けなくなる。

料理も豚のもつ焼き14種各100円、おばんざい、天ぷら、刺身、サラダなど何でもそろい、すべて500円以下。客単価2000円とは今の時代、驚異的な安さ。それでいて、ひとつひとつの皿の上は圧倒的なボリューム感を誇る。王道の大衆居酒屋のスタイルを守れているのは、この店が昭和を乗り越えてきたホンモノの居酒屋だから。

ばんサラダ280円。カニカマ、トマト、コーン、玉ネギ、レタス、キュウリ、セロリなど。ゴマか青じそのドレッシングを
玉葱の天ぷら280円。ひとつひとつに楊枝をさしてあるので、食べる時に持ちやすい。ジューシーで甘味があるのが特徴。やけどに注意

そもそもの始まりは、昭和30年代から中目黒でスタート。40数年営業した店を、平成になって祐天寺に移転。人気再燃、隣の物件を新しく拡張して、現在のように2軒並びになった。人気メニューのひとつ、ぬかづけは、中目黒の頃からのぬか床で漬けている。ちょっとしたところに本物がある。これこそが食の遺産になるのだと思う。

その日のおばんざいは季節、その日によってメニューが変わる。春先は新じゃが、タケノコ、山菜などが登場
2号店はグループが利用しやすいようにテーブル席
齊藤利行さん。50ちかくある料理の仕込みは朝8時から12時30分に集中して行い、休憩をとって15時30分から再び厨房に戻る。あとは閉店まで立ちっぱなしだ

もつ焼き ばん

住所:東京都目黒区祐天寺2-8-17
電話番号:03-3792-3021
営業時間:16:00~22:15(LO)、土曜15:00〜22:15(LO)、日曜15:00~21:15(LO)
定休日:不定休
カード不可 予約は4名から可能

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

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