東西「桜餅」対決! この春食べたい桜餅は?

特集

秘密の「春スイーツ」で心躍る!

2017/03/01

東西「桜餅」対決! この春食べたい桜餅は?

春が来ると食べたくなる桜餅。甘酸っぱい香りと可憐な桃色が、春の訪れを感じさせてくれます。しかしひと言で桜餅といっても、実にいろいろな種類があるんです。そこで今回は、和菓子ブロガーとして活躍する、わがしん坊さんに、関西と関東の桜餅の違いなど、桜餅にまつわるアレコレを伺いました。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

わがしん坊・中原陽一さん

わがしん坊・中原陽一さん

コンビニ和菓子&和スイーツブロガー

あなたは長命寺派? それとも道明寺派?

クレープ風の生地であんこを巻いた桜餅は、関東ではお馴染みですが、大阪や京都の人の中にはその存在さえ知らないという人も珍しくないそう。育った地域や住む地域によってイメージがまったく異なる桜餅。それぞれの違いを教えてください。

東京向島の「長命寺桜もち」。食紅のない江戸時代と同じ製法のため白い
中原陽一さん
中原陽一さん
「塩漬けした桜の葉で餅を包んだものを桜餅といいますが、大きく分けて『長命寺』(ちょうめいじ)と『道明寺』(どうみょうじ)の2種類があります。長命寺は小麦粉を水で溶いた生地であんこを巻いたもの。元祖の店は東京向島にある『長命寺桜もち』です。享保2年(1717年)に長命寺の門番だった山本新六という人が隅田川土手の桜の葉を塩漬けにして餅を巻いて売り出したのが始まりとされています。主に食べられている地域は、関東甲信地方や東北地方の太平洋側、山陰地方で、伝播率は30%くらいです。道明寺の起源ははっきりしないのですが、長命寺の方が先に誕生していたことは間違いないようです」

一方、関西方面でよく食べられている桜餅は「道明寺」。大阪や京都では、桜餅といえば道明寺タイプが当たり前のため、「道明寺」とは呼ばないそう。長命寺タイプと道明寺タイプが共存する地域で使われている呼び名です。では、道明寺という名前はどこから来ているのでしょう?

道明寺粉を使った道明寺桜餅は粒感と弾力と粘りを併せ持つ
中原陽一さん
中原陽一さん
「関西風の桜餅は道明寺粉を蒸して作った餅であんこを包んでいるから道明寺桜餅と呼ばれます。道明寺粉はもち米を蒸して乾燥させ、粗めに挽いたもの。大阪の藤井寺市にある道明寺で誕生したことから道明寺粉といいます。粒の大きさによって2ツ割(2分の1)~5ツ割(5分の1)があります。主に食べられている地域は、近畿地方や中国・四国地方、中部地方、北陸地方、東北地方の日本海側、北海道と幅広く、伝播率は70%。シェアでは長命寺を圧倒しています。これはコンビニの影響も大きいと思います。道明寺の方が和菓子感を出しやすいので、コンビニで売られている桜餅のほとんどがこちらのタイプです」

桜餅の葉っぱ、食べる派? それとも食べない派?

桜餅といえば、葉っぱを食べるか食べないか問題も大きなテーマの1つ。「好きにさせて」という意見もあると思いますが、何かお作法のようなものはあるのでしょうか?

中原さんは粒あん好き。長命寺タイプはこしあんが多いので道明寺派と言う
中原陽一さん
中原陽一さん
「どちらでもいいように思えるかもしれませんが、桜の葉の香り成分であるクマリンは肝毒性があるので食べ過ぎは禁物です。1、2枚なら食べても問題ありませんが、葉脈や筋は食感も良くないので、外して食べることをおすすめします。それに桜の葉で餅を包もともとの目的は、香り付け乾燥防止ですから」

2017年のコンビニ桜餅をチェック!

わがしん坊さんの得意分野は、コンビニ和菓子。セブン-イレブンとローソンの桜餅の特徴も押さえておきましょう。

王者の風格を感じさせるセブン-イレブンの「桜餅」(130円・税込)
中原陽一さん
中原陽一さん
「今や専門店の味に迫る勢いのコンビニスイーツは和菓子の世界も例外ではありません。セブン-イレブンの和菓子は王者のものづくりを感じさせます。見た目は素朴なのに、食べてみるとしっかり美味しくまとまっています。桜餅も春の定番和菓子として過不足ない仕上がり。葉の代わりに、花の塩漬けがのっています」
厳選素材を使い、老舗感ただようローソンの「桜餅」(140円・税込)
中原陽一さん
中原陽一さん
「ローソンの和菓子からは、『一流の素材を使っていれば絶対に美味しくなる』という信念のようなものを感じます。北海道産の小豆を氷砂糖で炊き上げたあんこは、透き通るように上品な甘さ。桜餅には、『きたろまん』という北海道産小豆が使われています」

わがしん坊さんおすすめの変わり種桜餅

日本全国を見渡せば、「長命寺」や「道明寺」以外にも、ちょっと変わり種の桜餅があるようです。

赤坂「塩野」には道明寺と長命寺両方の桜餅があり、長命寺は袱紗(ふくさ)折り(370円・税込)

袱紗折り桜餅

中原陽一さん
中原陽一さん
「長命寺タイプの桜餅には、二つ折りや円筒形など、あんこの包み方にいくつかバリエーションがあります。皮を四角く折りたたむ袱紗折りの桜餅は赤阪の塩野で購入できます」

黒糖の桜餅

中原陽一さん
中原陽一さん
「ほかにも、黒糖を使った桜餅もありますよ。芝榮太棲の『夜桜もち』は餅に黒糖を加えた茶色い道明寺。茗荷谷の一幸庵の『薄墨さくら』は、黒糖を加えた皮に粒あんをくるんだ長命寺。黒糖の風味と粒あんが良く合います」

緑色の桜餅

中原陽一さん
中原陽一さん
「島根県雲南市の三刀屋町には御衣黄(ぎょいこう)という緑色の桜が咲くことから、緑色の桜餅を作っている和菓子屋さんがいくつかあります。1985年に天満屋が作ったのが始まりと言われています」

長八さくらもち

中原陽一さん
中原陽一さん
「桜の葉の塩漬けの約70%を生産している伊豆の松崎町には、俵型の『長八さくらもち』があります。長命寺でも道明寺でもなく、上新粉ともち粉を合わせた滑らかな餅に潰しあんが包まれています」

知るほどに奥が深い桜餅。花より団子と言うけれど、桜餅なら花も団子も同時に楽しめそう! 街が桜色に染まる春は、お出かけも楽しくなる季節。お好みの桜餅を探しに出かけてみてはいかが?

取材・文/香取ゆき 撮影/延藤学(人物・長命寺)、中川文作(道明寺)

\あわせて読みたい!/

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

SERIES