日本一海女が多い町へ!海と共に生きる文化と歴史に触れる旅

日本一海女が多い町へ!海と共に生きる文化と歴史に触れる旅

2020/09/21

現役の海女(あま)が日本で最も多いという三重県鳥羽市相差(おうさつ)町。彼女たちとお話しできる「海女小屋」があると知り、立ち寄ってみました。周辺には資料館や海女の信仰を集めるパワースポットの神社、ショップ、カフェなど、ゆかりのスポットが満載。海女文化に触れる旅をしてみませんか?

TABIZINE(タビジン)

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海女とは?

国内で一番多くの海女が暮らしている相差町

海女とは、海に潜って貝類や海藻を採集する漁を職業とする女性のことです。アワビとサザエを中心に、イワガキなどの貝類、ワカメやアラメなどの海藻類、イセエビ、ナマコ、ウニなどもとります。テレビドラマ「あまちゃん」や三島由紀夫の小説『潮騒』などの作品で記憶に残っている人も多いかもしれませんね。

古くは『魏志倭人伝』や『古事記』にもその存在を確認できるという、歴史ある生業です。志摩半島の縄文・弥生時代の遺跡から、アワビオコシという道具が出土されているので、3,000年以上に渡り海女文化が継承されていることがわかります。

現在、日本で海女が最も多い三重県において、鳥羽志摩地域では約600名、中でも相差町では約100名と町としては国内で一番多くの海女が暮らしています(2018年海の博物館調査より)。

海女小屋「相差かまど」で海女さんとおしゃべり

相差かまど

海女さんとお話ししながら、囲炉裏で焼く新鮮な海の幸を味わえる「海女小屋」があると知り、早速予約しました(要予約)。相差漁港からすぐの海女小屋「相差かまど」。「海女小屋」(かつては「かまど」)とは、海女が漁の後に体を休める場所です。

2人の海女さんが出迎えてくれました

現地に着くと、白木綿の衣装を着た2人の海女さんが出迎えてくれました。この道45年というベテランの海女さんが魚介類を焼き始めます。「何がとれるの?」「どんな時期に潜るの?」などとたずねてみると、気さくに答えてくれます。以下は、海女さんから直接聞いたお話です。

魚介類を焼いてくれます

冬以外は漁を行い、9月中旬まではアワビが中心、10~12月末まではナマコやサザエと、漁協によって漁の時期を厳しく決められているそうです。午前中の2時間弱、地元の海女約100名で一斉に4~5mの深さまで潜ります。

「夏は暑いから海の中におるのが気持ちいい。病気もないし」と今だからこそのお答え。定年はなく、できる限りは仕事を続けられるので、86歳で現役の方もいるそうです。一生を海と共に生きる潔い人生!なんだか憧れてしまいます。

海女さんとの会話も楽しめます

「溺れかけたり、命綱が切れそうになって、やっとのことで陸に上がったり、潮の流れが急に変わったりと怖い目にもあったけどね」と淡々と語ってくれましたが、その恐怖たるや相当なものだったと想像します。危険と隣り合わせでいくつもの困難を乗り越えるからこそ、自然とたくましくパワフルになっていくのでしょう。

「仕事で一番うれしいことは?」とたずねると、「大漁だったとき」と本当にうれしそうに明快なご返答。何を聞いても率直に、時にはあっけらかんと明るく答えてくれます。そんな大らかな海女さんのおかげで、こちらも気分がほぐれて心和むひとときを過ごせました。

新鮮な魚介類

海での話を聞きながら、炭火で焼いたサザエ、ひおうぎ貝、大あさり、イカ、お餅をいただきました。とれたての新鮮な魚介類からは磯の香りがたっぷりと漂い、野性味あふれる風味が海辺にいることを実感させてくれます。

旅のいい思い出になります

滅多に会うことのできない海女さんと、囲炉裏を囲みながら過ごすひとときは旅のいい思い出になります。今回は午後の一時間を過ごす「ティータイム」を選びました。「ランチ」もできます。


【ランチタイム】:3,500円(1人分・税込) 1時間
サザエ・大アサリ・バタ貝・干物・うに飯・お餅など相差で採れた旬の物
【ティータイム】:2,000円(1人分・税込) 1時間(10時・15時)
貝、お餅、お茶など
※4名以上~(3名以下は要相談)、2日前までの要予約
※伊勢エビ、アワビなどは別途料金で追加可能

海女文化と歴史にふれる「相差海女文化資料館」

相差海女文化資料館

この資料館には、かつて海女が使っていた道具や磯着などが展示されています。海女の歴史と文化をより深く学ぶことができます。

等身大ジオラマもあります

逆さ姿にオッと驚きますが、昔の海女の作業風景を再現した等身大ジオラマもあります。こちらは白木綿の衣装ですが、近年はウェットスーツを着て、視界の広い水中メガネをつけるのが一般的だそうです。

海女の歴史と文化をより深く学ぶことができます

車で行く場合は、こちらの駐車場(無料)を利用すれば、ほかのスポットを回りやすくて便利です。

女性にうれしいパワースポット!「神明神社・石神さん」

神明神社

海女の信仰を集めているのが「神明神社」の境内にある「石神社」、通称「石神さん」。相差の海女が安全大漁を祈願してきました。

最近ではパワースポットとして人気

石神さんは「女性の願いをひとつだけ叶えてくれる」と伝えられています。それには2つの理由があります。ひとつは、ご祭神が玉依姫命(たまよりひめ)という女神であること。もうひとつは、昔、別の場所に祀られていた頃、女性の願いをひとつだけ叶える島田髷(しまだまげ)に結った女神が現れたという言い伝えがあること。最近ではパワースポットとして人気で、全国から多くの女性が参拝に訪れるそうです。

海女さん手作りのお守りは強力なパワーを持つとの評判

また海女の魔除け「ドーマン・セーマン」(下記「海女の家 五左屋」をご参照下さい)が刺繍されたお守りは海女さんの手作りで、強力なパワーを持つとの評判。心身共にたくましい海女さんの手作りとあっては、なんとなくパワーをたくさんもらえそうですね。

相差オリジナルグッズの店「古民家・海女の家 五左屋(ござや)」

古民家・海女の家 五左屋(ござや)

石神さんの参道にあるセレクトショップです。1階には魔除けのシンボル「ドーマン・セーマン」をあしらったグッズなどが並び、2階にはカフェと「海の図書館」があります。

魔除けのシンボル「ドーマン・セーマン」をあしらったグッズがズラリ

「ドーマン・セーマン」とは魔除けのおまじない。ドーマン(格子)とは多くの目で魔物を見張ることを表し、セーマン(星型)は一筆書きで元の位置に戻ってくる、すなわち陸から出て陸に戻り、魔物が入る余地がないことだといわれています。ひとつ間違えると死に至る危険から身を守るために、磯着や手ぬぐい、磯ノミなどに付けられています。

「ドーマン・セーマン」グッズには、手ぬぐいやペンダント、トートバッグなどいろいろあります。京都の香老舗「松栄堂」とコラボした鳥羽オリジナルのお香などの希少なアイテム、限定品にも惹かれます。

2階では店内や隣の「オウサツ キッチン0032」で購入したスイーツやドリンクをイートインできます。「海の図書館」も併設され、海女さんや海をテーマにした本や写真集を読みながら憩えるスペースです。

カフェでひとやすみ「オウサツ キッチン0032」

オウサツ キッチン0032

相差散策を終え、ちょっと休憩したいな、というタイミングで現れるのがこちらのカフェ。これまでの古い小屋や神社、古民家を改装した空間とはうって変わってモダンな空間です。

店内の様子

店内やテラスでは、サイダーやビール、ソフトクリームなどを楽しめます。ところてんや雑魚を使ったザコフライのサンドなど、地元の素材を生かしたフードやドリンクがそろい、軽く休むのにぴったり。テイクアウトもできます。

ユネスコ世界文化遺産に登録する活動も

「海女小屋」でのティータイムから、最後のカフェまでほぼ2時間。行く前と比べると、海女をグッと身近に感じるようになりました。直接話すという体験は、やはり強く印象に残ります。

海女たちは海と共に生き、昔ながらの漁法を守りながら魚介や海藻をとり尽くさないよう環境に配慮し、畏敬の念を持って海に接してきました。危険と隣り合わせの生業だからこそ生まれた独自の信仰や祈り。相差町はそんな奥深い海女文化の片鱗に触れられる貴重な場所です。

海女をグッと身近に感じるようになりました

しかし現在は、高齢化や後継者不足で海女が減り、年々減少の一途をたどっているそうです。海藻の群落のある藻場が荒れ、アワビやサザエなどが減少しているのも大きな要因です。

女性の素潜り漁が存在するのは日本と済州島を中心とした韓国のみ。ユネスコ世界文化遺産に登録する活動も始まっているようです。

そんな世界に誇れる貴重な日本の海女文化。まずは海女さんに会いに足を運んでみてはいかがですか。


[All photos by ロザンベール葉]

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