将棋・藤井聡太の福岡の勝負メシ!「能古うどん」の魅力に迫る

将棋・藤井聡太の福岡の勝負メシ!「能古うどん」の魅力に迫る

2020/09/29

2020年8月、福岡市の「大濠公園能楽堂」で行われた、将棋の「第61期王位戦七番勝負第4局」でのこと。この戦いに勝利した藤井聡太の第1日目の昼食である、福岡名物「能古(のこ)うどん」が地元で注目を集めています。今回は「能古うどん 天神ビル店」での取材から、その魅力に迫ります。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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艶やかなコシのある細麺を名物の「たらいうどん」で堪能

博多湾に浮かぶ島、能古島(のこのしま)で作られることからその名がついた「能古うどん」。その最大の特徴は、福岡のうどんの主流である「コシがなくやわらかな太麺」とは対照的な「艶やかでコシのある細麺」だ。今回取材した「能古うどん 天神ビル店」は、福岡の中心地・天神に位置。「街なかで『能古うどん』の魅力を堪能できる場所」として、人気を博している。

地下鉄天神駅や西鉄福岡(天神)駅からほど近い、オフィスビルの地下1階にある「能古うどん 天神ビル店」。天神地下街と直結しているため、雨にぬれずに立ち寄ることができる

感染予防対策がしっかりとなされている、明るく清潔感のある店内は、1人用のカウンター席やゆったり座れるテーブル席など44席を配置。昼夜の通し営業で、駅に近い繁華街の店という立地上、利用客も近隣のオフィスで働く人たちや買い物前後の立ち寄り客、福岡を訪れる国内外の観光客など、実に幅広い。

入口側に配置されているカウンター席とテーブル席。右側に見える間仕切りの奥の席は大人数での利用が可能で、貸し切りもできる

この店の名物は、大きな木の桶(おけ)で提供される「たらいうどん」(430円・税別)だ。「能古うどん」の美しいビジュアルとモチモチとした歯ごたえ、喉越しのよさを、シンプルな食べ方で堪能できるひと品。温冷が選べるうえ、無料で麺の増量もできる。複数人で訪れるなら、冷たい麺のみでの提供とはなるが、2~3人前をシェアできる「ジャンボたらいうどん」(1000円、麺の追加は1人+400円・各税別)もオススメしたい。

写真は、「たらいうどん」の単品・冷。氷水でキンキンに冷やされた麺を、カツオの風味がきいた甘めのツユでいただく。別添えの青ネギ、ゴマ、ショウガといった薬味は、好みに合わせて加えよう

手間をかけて作る「能古うどん」のおいしさの秘密を徹底解剖

ここで、「能古うどん 天神ビル店」で店長を務める俵積田 俊さんが、さわやかな笑顔で登場。能古うどんが広まったきっかけやこだわりの製法、おいしい食べ方などについて、いろいろと教えてくれた。

\この人に聞きました!/

「能古うどん 天神ビル店」店長の俵積田 俊さん
店長の俵積田 俊さん
店長の俵積田 俊さん
「『能古うどん』が広く知られるようになったのは、平成の初期、『博多の人すべてが、やわらかいうどんばかり食べたいわけではないのでは?』という社長の考えからでした。それまでデパートなどの一部にしか置いていなかった商品の販路を広げて、1999年には福岡市城南区長尾に直営店(現在の長尾本店)をオープン。その結果、『麺そのものに味を感じる、細くてコシのある福岡のおいしいうどん』として、より多くのお客様に支持をいただけるようになったんです」
「能古うどん 天神ビル店」の店頭に飾られていたタペストリー。福岡の名物として、現在では年間で74万4000食の「能古うどん」が提供されているという
店長の俵積田 俊さん
店長の俵積田 俊さん
「現在当社では、天神ビル店を含めて福岡と佐賀に8店舗の『能古うどん』を運営しています。提供している麺はすべて、能古島の自社製造所で作られたもの。厳選した小麦粉と軟水、赤穂の塩のみを使い、『古式切り麦製法』という独自の製法で、経験豊富な職人が天候や塩加減、水加減を見極めながら、時間をかけておいしいうどんへと昇華させています」
「能古うどん」の製造所がある「能古島」は、博多湾に浮かぶ周囲約12kmの小さな島。「姪浜渡船場」から船に乗って10分ほどの場所にあり、市民の身近な行楽地として親しまれている(写真提供:福岡市)
店長の俵積田 俊さん
店長の俵積田 俊さん
生地を2度熟成させる工程も、『能古うどん』のおいしさに欠かせない重要な要素です。生地を鍛えて、寝かし、見守るという作業を2度行うことで、細麺でありながら力強いコシを実現。これにより、モチモチとした食感とツルツルとした喉越しという、『能古うどん』ならではの魅力が生まれます」
能古島にある製造所での1コマ。手間を惜しまず、時間をかけて作ることで、小麦本来の風味が楽しめる、艶やかでコシのある細麺が誕生する(写真提供:能古うどん)
店長の俵積田 俊さん
店長の俵積田 俊さん
「調理法にもこだわりがあります。麺は基本的に事前の下ゆでやゆで置きを行わず、ご注文を受けてからゆで始めます。また、冷・温のメニューに関わらず、麺をゆでた後は流水で洗い、氷水で締めるところもポイント。こうした工程を経て、お客様においしい『能古うどん』をできたてでご提供しております」
注文を受けてからゆで始める麺。見込みゆでをする繁忙時間を除き、ゆでて5分以上経過した麺は破棄するなど、おいしさには徹底的にこだわっている
流水でキレイにした麺を氷水に投入し、手もみでしっかりと締める。こうすることで、見た目の細さからは想像できない、喉越しの良い、強いコシのある麺へと仕上げていく
店長の俵積田 俊さん
店長の俵積田 俊さん
「『能古うどん』の麺のおいしさを最大限に味わいたいという方には、温かい汁物のうどんよりも、『たらいうどん』や『ぶっかけうどん』といった冷たいうどんをオススメしています。味わい豊かに仕上げたオリジナルのツユで、当店自慢の麺を心ゆくまでご堪能ください」
モチモチとした弾力と白磁のような美しさを持つ麺は、冷たいツユやアツアツのダシ汁とよく絡み、食べ応え十分。多彩なうどんメニューから、好みのひと品を選んで堪能しよう
「能古うどん」の麺のおいしさが引き立つように作られた、オリジナルの麺ツユ。カツオ節の風味豊かなダシに、芳醇(ほうじゅん)な香りが特徴の濃い口しょうゆを合わせ、味わい豊かに仕上げている

昼夜で楽しめる!バラエティーに富んだメニューにも注目

うどんメニューは先述の「たらいうどん」のほかに、温冷が選べる「ぶっかけうどん」や、自家製の天然ダシがきいた温かい「だし汁うどん」など、常時10種類前後を用意。並サイズは大盛りサイズへ、ミニサイズは小サイズへと、うどんの増量が無料でできるところもうれしい。トッピングやご飯メニューも豊富で、揚げ物や天ぷらも付いた豪華な御膳もラインアップ。バラエティーに富んだメニューから、その日の気分や懐具合に応じて注文しよう。

「だし汁うどん」の中で人気が高い「肉玉ごぼう天」(740円・税別)。トッピングには、うすくスライスをしてパリパリに揚げたゴボウ天と、甘辛く味付けした牛肉、半熟卵をのせる

16:00以降は、酒類やつまみ、締めのうどんが食べ放題(※)となる「もつ鍋」を用意する。国産の牛モツのみを使用する「もつ鍋」は、1人前から注文が可能。「みそ味」と「しょうゆ味」(各1人前1280円~・税別)、同じ運営会社が製造する「博多せきわ」の辛子めんたいこで味の変化が楽しめる「明太みそ味」(1人前1430円~・税別)の3種類から、味を選ぶことができる。

※うどんの食べ放題は、同伴する人数分を注文した場合に適用。小学生未満の児童は対象外

「みそ味」も「しょうゆ味」も楽しめる、「能古うどん 天神ビル店」の限定メニュー「食べ比べコース」(2人前2560円~・税別)。+150円(税別)で、「みそ味」を「明太みそ味」(写真)に変更も可能だ

「能古うどん 天神ビル店」では店頭で、持ち帰り用の「能古うどん」も販売。家庭での食用はもちろん、福岡みやげとしてもオススメだ。ちなみに、天神ビル店以外の7店舗では、営業時間や提供形式、一部メニューが異なる場合あり。持ち帰り用商品の販売を行っていない店舗もあるので、詳しくは各店舗へ問い合わせよう。

「能古うどん 天神ビル店」のレジ横で販売されている、持ち帰り用商品。上段が約2人前の箱タイプ(600円・税別)で、中段が約2~3人前の袋タイプ(1000円・税別)。それぞれに麺ツユが付く

店内は感染予防対策をしっかりと行いながら営業中

2020年9月1日現在、「能古うどん 天神ビル店」は11:00~20:00(LO19:30)の営業で、休みは年末年始。ほかの7店舗と同様、強酸性次亜塩素酸水生成器の導入、来店時の手指消毒や食事中以外のマスク着用のお願い、飛まつ防止のための間仕切りの設置、ソーシャルディスタンスの距離を確保した座席の案内、定期的な換気など、「新しい生活様式」のガイドラインに沿った感染予防対策を行っている。

\感染予防対策の一例!/

入口での感染予防対策。手指消毒用のアルコール液や3密防止のためのフロアサインのほか、来店客に協力を依頼する感染予防策についての説明書きが設置されていた
カウンター席に設けられた、飛まつ防止用の間仕切り。テーブルには「スキップ席」と書いた紙を置き、隣席との間隔が保たれるように工夫している

今回、将棋界の若きスターである藤井聡太が勝負メシに選んだことで、全国に改めてその存在を知らしめることになった福岡のご当地うどん。皆さんも福岡を訪れた際はぜひ一度、この手間と時間をかけて作られるこだわりが詰まった「能古うどん」のおいしさを堪能してほしい。

「能古うどん」ののれん(写真右)と、将棋の駒の形をした「勝負メシ」ステッカー(写真左)。ステッカーは、王位戦後に制作されたという。来店の際は、これらも目印にしよう

※うどんともつ鍋を一緒に提供している店舗は、天神ビル店のほかに、長尾本店、キャナルシティ博多店、イオン大野城店、イオンモール福岡店、レイリア大橋駅店となります
※記事で紹介している料金や内容は、2020年9月29日時点での情報になります

取材メモ/勝敗はもちろん、何を食べるかというマスコミの予想合戦でも沸いた今回の将棋の王位戦。藤井聡太が「能古うどん」を勝負メシに選んだことで、福岡うどんのルーツの多彩さを改めて知ることができた気がします。そんなさまざまな種類のうどんが楽しめる「うどん先進都市・福岡」で、皆さんもお気に入りの1杯を見つけてみてはいかが。

取材・文=西田武史(シーアール) 撮影=髙尾正秀(一部を除く)

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