豪快に口と目を大きく張って食べる和歌山の「めはり寿司」

豪快に口と目を大きく張って食べる和歌山の「めはり寿司」

2016/05/08

全国的には「めはり寿司」より、高菜寿司という呼び名の方がなじみ深い。名前の由来は、目を張るほど大きな口を開けて食べていたからとも。その昔、新宮市では山仕事の男たちを支える弁当であり、各家庭でそれぞれの味を誇っていた。その思いを「総本家 めはりや」が受け継ぎ、名物として発信する。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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味の決め手は特製タレ! 高菜の茎も余すところなくアクセントに

和歌山県の南部、三重県との県境を流れる熊野川の河口に位置する新宮市。熊野三山の一つでもある、熊野速玉大社の門前町として栄えた世界遺産である。かつては、川の舟運を利用した木材や炭の集積地として、人と物が頻繁に行き交い、熊野地方の中心を担っていた。

「めはり寿司」はその新宮市の発祥ともいわれる郷土寿司。ただ、見た目も味わいも、一般的な寿司と少し異なる。

塩漬けした高菜の葉で、ご飯を包んだにぎり飯のようなもの。そもそもは紀伊半島だけでなく、全国各地で食され、場所によっては「高菜寿司」とも呼ばれている。

山や海、畑などで働く人たちの弁当で、あまりにも大きいので、食べる時に口だけでなく、目まで張って食べたことから、その名が付けられたといわれている。

定番は「めはり定食A」(1400円)。めはり寿司4個と山イモとろろ、メザシ、豚汁のセットが、総本家創業からのスタイル。注文を受けてから手早くにぎるので、高菜のパリッと感も楽しめる

「食べ物としては全国区ですが、高菜を「めはり」と呼ぶのは新宮市の人だけ。その意味でめはり寿司は、この地の発祥となるのではないでしょうか」。そう話すのは「総本家 めはりや」の3代目・村尾太郎さん。

ほかにも由来があり、熊野の水軍の見張り役の弁当として、目を離さずに食事ができるように作られたとも。諸説あるが、とにかく古くから愛されている郷土の味ということだ。

ご飯の中の高菜の茎が、味と食感のアクセントに

「新宮名物のめはり寿司は50年、100年と郷土料理として受け継がれるもの。時代や場所に合わせて、付け合わせは変化しますが、その味は変わりません」と3代目の村尾太郎さん

めはり寿司自体は、各家庭で作られていたオフクロの味。1962(昭和37)年、新宮市の名物料理を作りたいという初代の思いから、めはりやが創業した。

「手も汚れず、形も崩れず、片手で食べられて、高菜だから漬け物いらず。しかも、高菜の水分が多いのでお茶もいらず。熊野の山仕事の男たちが、腰にぶら下げて仕事をしていたことから腰弁当とも呼ばれ、舟運中でも片手で簡単に食べられたといいます。手軽で便利な日本のファストフードです」と村尾さん。

同店のめはり寿司は、代々受け継いだ伝統の味。決め手は、ほのかに香るダシと醤油の特製タレ。塩分控えめの塩漬け高菜に、タレが程よく染み込み、ご飯の中の高菜の茎が、味と食感のアクセントになっている。

定番の「めはり定食A」は、めはり寿司が4個で1人前。女性でもペロリと完食してしまうほど、目を見張るおいしさだ。

本店は新宮市。「めはり寿司と共に新宮市の名を県内外に広めたい」と、2014(平成26)年にはJR和歌山駅東口のそばに、和歌山店をオープン。東京オリンピックまでに関東進出を目指す

※本店は、2018年8月に同市内に移転しリニューアルオープン。本記事で紹介している写真は移転前のものです。

※掲載の内容は2016年5月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

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