続日本100名城・大多喜城(千葉県) 歴史が繋ぐ「縁」

続日本100名城・大多喜城(千葉県) 歴史が繋ぐ「縁」

2020/10/18

日本中に知られた勇将・本多忠勝が初代藩主を務めた大多喜城。江戸時代の初め、千葉県御宿の沖で一隻の外国船が座礁し、船員たちは大多喜の人々に助けられました。ドン・ロドリゴは、大多喜城下にも滞在し『日本見聞録』に当時の様子をしたためています。外国人から見る「大多喜城」とは?

お城情報WEBメディア「城びと」

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大多喜城と初代藩主・本多忠勝

天正18年(1590)豊臣秀吉による「小田原攻め」が行われ、その結果、徳川家康は関東へと移封。現在の千葉県夷隅郡一帯は本多忠勝が10万石で拝領し、大多喜城を近世城郭へと大改修しました。城は、夷隅山系の山々や夷隅川に囲まれた平山城で、標高73mの山頂に本丸、山麓に御殿のある二ノ丸、さらにその外側に三ノ丸がある構造です。本丸にはかつて天守が築かれていたようですが、天保13年(1842)の火事で焼失。現在は、天守を模した博物館が建ち、房総の城や城下町をテーマにした展示や、刀、鎧、衣装などが鑑賞できます。

本丸に建つ天守をモチーフに建設された博物館(千葉県立中央博物館大多喜城分館)
千葉県立中央博物館大多喜城分館の丸瓦には、本多家の家紋「丸に立葵」が見られる。なかには最後の城主、大河内松平家の家紋「三ツ扇」も見つけることができる

初代藩主の本多忠勝は、徳川四天王の一人として知られる猛将です。今の愛知県岡崎市に生まれ徳川家康に仕えました。彼の勇猛っぷりは凄まじく、こんな褒め言葉も生まれています。元亀3年(1572年)、徳川氏と武田氏が戦った「一言坂の戦い」では、敵将から「家康に過ぎたるものが二つあり、唐の頭に本多平八」と賞賛されています。この本多平八とは忠勝のこと。つまり、家康にはもったいないほどの優秀な家臣だという意味です。世間からも認められる武将のなかの武将! カッコイイですね。子の忠朝、甥の政朝と藩主が移った後は、阿部氏、青山氏、稲垣氏が藩主を勤め、元禄16年(1703)には松平正久が入城。明治維新まで松平氏が9代にわたり大多喜を治めました。

城内を散策してみよう!

博物館のある本丸はぐるっと囲むように土塁が巡り、土塁の外側は切岸になっています。柵や復元された塀があって見逃しがち! 大多喜城に残る希少な遺構をお見逃しなく。土塁横の道を降りていくと、藩主の御殿があった二ノ丸、現在の千葉県立大多喜高校に到着です。

本丸を囲む土塁
移築復元された薬医門は学校の敷地にあるので、気をつけて見学しましょう!

敷地には本多忠勝が大改修を行った当初から残る、通称「底知らずの井戸」があります。当時は井戸車が16個取り付けられ、底つきることなく水が湧き出ていたことからそう呼ばれていたそうです。薬医門と井戸跡は高校の敷地にあるため、見学の際には注意が必要です。平日・休日共に見学はできるようになっていますが、史跡見学と関係ない敷地には立ち入らないなどマナーを守って見学してください。

日本トップクラスの大きさを誇る井戸。周囲17m、深さは20m

ロドリゴが残した大多喜城の記録

慶長14年(1609)、本多忠朝が藩主を勤めていた代のこと。フィリピンから現在のメキシコ(当時はスペイン領)へと向かっていた船、サン・フランシスコ号が千葉県御宿の岩和田沖で座礁。船員373名のうち、ドン・ロドリゴをはじめとする生き残った317名が本多氏や幕府によって手厚い保護を受けました。ロドリゴは、助けられた岩和田村に37日間滞在の後、大多喜、江戸、駿府、臼杵などを訪ね、その時の日本の様子を『日本見聞録』にまとめました。それによると、大多喜城には野菜畑や稲を育てる水田があり、数ヶ月は籠城できるほどだと! ほかにも、金銀が施された御殿や、武器庫に保管された大量の武器など、大多喜城の豪華な当時の様子が読み取れます。

「大多喜お城まつり」では、本多忠勝侯一行に扮した武者行列が城下へと繰り出し、列にはドン・ロドリゴ役も加わる(写真提供:一般社団法人大多喜町観光協会)

外国船が座礁した約400年前、ロドリゴたちを助けた優しい大多喜の人々。彼らをきっかけに始まった日本とメキシコの交流は国境を越え、何百年と経った今でも続いています! 彼らに思いを馳せながら大多喜城と城下を散策してみるのもまた一興です。さらに知りたい方はこちら!

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