開館25周年を迎えた群馬県・玉村町歴史資料館の歩み

開館25周年を迎えた群馬県・玉村町歴史資料館の歩み

2020/10/12

1995年5月5日、玉村町文化センター内に開館し、今年で25周年を迎えた玉村町歴史資料館。地元の人々に郷土の歴史と誇りを知ってほしいと、多彩な企画展や資料の作成に励む、スタッフの思いを聞いた。

中広

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まちの歴史的財産を発掘し守り続ける人々の使命

3世紀末から4世紀初め頃に水田開発の水路が造られ、まちの礎を築いた玉村町。小泉古墳群をはじめ、軍配山古墳、梨ノ木山古墳など、町内にはこれまで、約200基の古墳が確認されている。

玉村町文化センターの敷地内にある、玉村町第15号古墳の移築石室

平安時代後期の浅間山爆発により多大な被害が出たものの、人々は一致団結して荒れた田畑を開発。この災害からの復興を機に、多くの荘園が造られた。

戦乱の世を経て江戸時代になると、徳川家康をまつる日光東照宮の春の大祭に、京都の朝廷から幣帛(へいはく)を奉納するために派遣される勅使の通る道、日光例幣使道が整備される。現高崎市の倉賀野から栃木県鹿沼市の楡木(にれぎ)に至る道の13宿のうち、玉村町にも玉村宿と五料宿が置かれ、宿場町として大いににぎわった。

群馬県の重要無形民俗文化財に指定された五料の水神祭で使われる、麦わら船のレプリカ
玉村宿の造り酒屋、和泉屋と日野屋の酒道具

こうした歴史を人々に伝えるため、複合文化施設の玉村町文化センターの2期工事を機にオープンしたのが、同施設である。240平方メートル(72・6坪)の常設展示室には原始・古代、中世、近世に分けてそれぞれの時代の玉村町を紹介する通史展示コーナーをはじめ、映像展示コーナーテーマ展示コーナーなど、5つのブースを設置。この他に収蔵庫や荷解き室、準備室などが併設されている。

原始・古代、中世、近世に分かれてまちの歴史を紹介する通史展示コーナー

「室内が狭く、全ての資料を一度に展示できないため、不定期で展示物を入れ替えています」と話すのは、同施設を担当する玉村町教育委員会・生涯学習課・文化財係所属の学芸員、萩原佳子(よしこ)さんだ。施設で所蔵する文化財の管理や分別から、企画展に合わせた資料の作成など、その仕事は多岐にわたる。

玉村町歴史資料館のスタッフの皆さん。写真中央は学芸員の萩原佳子さん

同施設のスタッフが特に注意を払うのは、古文書や巻物、掛け軸、刀など、ダメージを受けやすい資料の保管である。湿度や室温が高すぎると、カビや錆の発生により、破損してしまうからだ。「取り扱いが繊細なものは、室温20度、湿度55パーセントほどに保たれた、専用の収蔵庫で保管しています」と萩原さん。定期的に燻蒸や消毒を行い、まちの文化財を後世に引き継ぐのも、同施設の大切な役目だ。

一方、新たな文化財を収集するため、学芸員たちは古い建物の調査や、土地開発などに伴う発掘調査にも立ち合う。まちの歴史を物語る貴重な品が、失われないようにするためだ。

人々の目に付かないところで汗を流し、まちの財産を守り、次世代へと残す。玉村町の歴史的財産は、スタッフたちの地道な努力によって現在、多くの人々に公開されているのである。

多彩な企画を考案し地元の歴史や文化を発信

これまで、毎年開催している企画展や特別展をはじめ、子ども向けの体験教室、歴史講座、スタンプラリーなど、多彩な催しを主催している同施設。担当の生涯学習課職員3人と非常勤職員4人のスタッフは、多くの人々がまちの歴史に興味を抱くよう、創意工夫を行っている。

開館25周年記念として今年の夏に開催された第25回企画展「玉村町の食—あの日食べたもの—」

夏の企画展では、遺跡や歴史、祭り、変わりゆく故郷の風景、文化財などといったテーマを絞り、まちの魅力を紹介。秋の特別展では江戸時代後期の文人画家、千輝玉斎(ちぎらぎょくさい)の足跡や、地元出身の刀工・藤枝太郎英義(たろうてるよし)の作品展を行い、県外からの来場者も訪れた。企画展や特別展は、普段一般公開していない資料を間近で見られる、貴重な機会だ。

玉村宿の文人画家、千輝玉斎作の「庚申侍図」(部分)

企画展や特別展で公開する文化財の選定や、借り受け、企画に合わせたパンフレットの作成も、毎回職員によって行われる。「イベントを機に、地元の皆さんに玉村町への誇りを持っていただければうれしいですね」と、皆はほほ笑む。

一方、同施設のピーアールにつなげようと、職員の発案で2011年7月に誕生したのが、マスコットキャラクター、おたまちゃんと、たつながさまだ。同施設のパンフレットや、広報たまむらにも登場し、分かりやすくまちの文化財を紹介している。

スタッフが企画、編集作業を行うパンフレット

ミュージアムキャラクターアワード2013で全国4位を受賞した同キャラクターは、2014年に作成された、文化財PR映像「たまむら歌留多でめぐるたまむら歴史さんぽ」の案内役としても活躍。まちの歴史や文化財、郷土芸能を紹介するこの映像は、群馬県広報コンクールの映像部門で第一席を受賞し、現在、玉村町のHPや同施設で視聴できる。

文化財PR映像「たまむら歌留多でめぐるたまむら歴史さんぽ」

さらに、教育委員会に所属する同施設が力を入れているのは、子ども向けの体験学習会だ。縄文時代の布を体感するアンギン編み講座や、埴輪・勾玉づくりを通して、昔の暮らしを体感できる。子どもたちが歴史に触れるきっかけを作るのも、同施設の重要な使命だ。

夏休みに行われたアンギン編みの体験教室
カラフルな飾りをつけたオリジナル作品を作れる

25年にわたり、まちの歴史と誇りを伝え続けてきた、玉村町歴史資料館。遥か昔へと思いを馳せながら、地元の文化財や歴史資料に触れてみてはいかがだろう。

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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