映画とデジタルアートを融合させた森の映画館が福岡・糸島に誕生

映画とデジタルアートを融合させた森の映画館が福岡・糸島に誕生

2020/10/22

新型コロナウイルスの感染リスクを減らして映画を楽しめると、注目を集めている「ドライブインシアター」。そんなシネマカルチャーとデジタルアートを組み合わせた“映画館”「フォレストナイトドライブ」が福岡県・糸島の森に出現。withコロナ時代のエンターテインメント体験をレポートします。

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

コロナ禍でも親しい人と安心して映画が楽しめる

コロナ禍でもエンターテインメントを諦めないという観点から、各地でドライブインシアターが開催されています。そんななか、福岡県糸島市に新しいスタイルの上映空間が登場しました。

場所は文字どおり岩肌を白い糸のように流れる優しい雰囲気の滝をはじめ、ヤマメの釣り堀やそうめん流しなどが楽しめる清涼スポット「白糸の滝」近くの森の中。市街地の喧騒を離れた静かな環境で上映され、“森”という日常とは隔絶されたような空間で心ゆくまで映画に集中できる、この上ないロケーションだといえます。

福岡市から約45分、糸島の中心街から約30分とほどよい距離にある「白糸の滝」を目指して車を走らせます。山あいには立ち込めた霧がとても幻想的に思えます。

入口ゲートでスタッフから説明を受け、予約した駐車スペースに入庫する。グッズなどの注文シートもこのときに受け取る

\この人に聞きました!/

「フォレストナイトドライブ」代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
「僕自身、福岡市から糸島への移住組ですが、糸島に映画館を作るのが長年の夢でした。数年前から有志と一緒に『いとシネマ』という野外映画イベントを開催しているのですが、このコロナ禍をきっかけに家族や大切な人と、安心して映画が観られる施設を作りたいと考えるようになったんです」

「フォレストナイトドライブ」では、できるだけ人との接触など三密を避けるために最大24台と収容台数を制限しており、映画観賞の予約は事前にホームページ(HP)で受け付けています(収容台数に余裕がある日は当日現地での現金精算も可能)。料金は1台3800円で2名までで、3名以上だと大人1人あたり800円、小学生〜高校生までが1人あたり500円加算されていき、未就学児は無料となっています。

また、現在多くのドライブインシアターが数日のみの単発での開催なのに対し、「フォレストナイトドライブ」では9月下旬の開幕から2020年12月末までの毎週土日と祝日に開催。上映する映画も毎回変えているので、自分好みの映画を選びやすくなっています。

国内最大級のスクリーンで大迫力の映像を

会場に入ると目に飛び込んでくるのは森の前に立ちはだかる巨大なスクリーン。このスケール感には誰もが圧倒されると思います。

**上映ごとに幕を張る**作業を行います。人と比べるとスクリーンの巨大さが一目超然
代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
「スクリーンのサイズは約650インチと一般的な映画館のものをしのぐ大きさです。開業前に一度『いとシネマ』で使用している300インチのスクリーンを試したのですが、車内からだとやっぱり字幕が読みづらくて…。せっかくなので、現在国内で入手できるものの中で一番大きいものを購入しました
同乗者以外とはほとんど接触することなく、安心して鑑賞ができる。650インチのスクリーンのおかげでフロントガラスいっぱいに映画が映るような感覚だ

糸島の旬のおいしさを車内で満喫

映画のお供として楽しみたいのが、地元糸島のレストランや食事処とコラボした特製弁当。コラボ店は糸島野菜を中心としたブッフェが人気の「ダンザパデーラ」や、今や海外にも焼き鳥の魅力を発信する「焼きとり八兵衛 本店」など、糸島を代表する人気飲食店ばかり。

弁当を提供する店は映画の上映日ごとに違い、映画の2日前までにホームページ(HP)経由で予約することで、新鮮な海の幸・山の幸を詰め込んだ弁当が上映中に楽しめます。車の中なので周りの視線を気にせずに、ワイワイ話しながら食べられるのは大きな魅力。子連れファミリーも大助かりです。

予約しておいた弁当は、スタッフが車まで届けてくれる
10月24日に提供予定の「惣菜畑がんこ」の弁当(1300円)。おいしい時期に美味しく調理をモットーに、手の込んだ料理を作る
代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
「現在、弁当に協力していただいている飲食店は6店舗なのですが、追加で2店舗ほど増える予定です。いずれも自然豊かな糸島の食材をふんだんに使うことに定評がある店ばかりなので、味覚でも糸島を感じてもらえたらと思います」
ポップコーン(400円)やドリンク(230円〜・写真はホットブラックシナモンティー350円)は現地で注文可能

森全体がデジタルアート空間に変身

「フォレストナイトドライブ」の最大の特徴が、映画のほかにデジタルアートを駆使した映像体験が楽しめるところ。実は下田さんの本職は、福岡市と糸島市にある映像・CG会社の社長を兼ねるCGディレクター。CMやミュージックビデオなどに使われるCG制作のほかに、全国各地でさまざまなロケーションでのプロジェクションマッピングも行っています。

「フォレストナイトドライブ」では、映画の上映前にスクリーンや周辺の森へ「星空の中を旅する車たち」をテーマにした、プロジェクションマッピングを投影。森中を駆け回る動物や不思議な生き物たちに誘われるように、映画の世界に入っていくようなストーリーとなっています。

代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
「映画に自分たちが普段作っているデジタル映像を組み合わせたら、もっとワクワクする映像体験が作り出せるんじゃないかなと、以前からアイデアを温めていました。プロジェクションマッピングは一般的に建物に映すことが多いのですが、森に映すことで奥行きだったり神秘的な雰囲気だったりが生まれたんじゃないかなと。おそらく、映画とデジタルアートを組み合わせたドライブインシアターは、国内はもちろん、世界的にも珍しいと思います」
上映までの待ち時間、周囲の森を何かが飛び回っています。実はハロウィンのかぼちゃのお化けです

10月31日までは上映前に、ハロウィンのお化けを投影。11月下旬からはクリスマスバージョンに変更予定。また、会場全体を緑色のレーザー光線が包みこみ、まるで星空の中にいるような感覚になります。

代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
「会場の白糸の森は人里離れた山だけに、晴れた日は満天の星空が広がるような場所です。レーザーを森や地面に当てることで、会場全体をデジタルの星空に、そして見上げれば本物の銀河が見られるようにしました

映画の上映前には10分間の散策タイムを設け、そのあとは車に戻り、場内アナウンスに従ってFMラジオのチューニングの確認を行います。音声がラジオからきちんと聞こえた車はハザードランプを点灯させて、準備ができたことを伝えます

映画のサウンドは専用のFMラジオの電波にあわせることで、窓を閉めていてもカーステレオで楽しめる
上映前の音声確認タイム。一斉に黄色い光が点滅する様子が美しい

映画の上映直前にはプロジェクションマッピングを投影。最初はスクリーンに映っていた動物が次第に森いっぱいに駆けまわり、自分を取り囲む森全体がまるで一つの映画館のような感覚になってきます。

この日観賞した映画は、マス目の言葉と同じようなことが現実にも起こる不思議なボードゲームに翻弄(ほんろう)される人々を描いたアドベンチャー映画「ジュマンジ」だったのですが、動物たちが街やジャングルを駆け回る映画のストーリーともうまくリンクして、映画の世界に入り込んだような臨場感が味わえました。

代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
「映画の音声は屋外に設置したスピーカーからも流しているので、車内からだけでなく、キャンプチェアに座って車の前でのんびり観賞する人も多いですね。もともと車同士の間隔を広くとっているので、密にならないので安心だと思います。キャンプチェアや車内での飲食に便利なテーブルなどは無料で貸し出しているので、最初にお渡しする注文シートに記入してもらえれば車までお届けしますよ」
プロジェクションマッピングは約4分間上映する
森の中で映画をみるという体験自体が、非日常的で面白い
会場ではオリジナルTシャツ(2300円)やエコバッグ(1200円)などグッズ類も販売している
代表の下田栄一さん
代表の下田栄一さん
「肝心の映画のラインアップですが、福岡のコアな映画好きからなる有志のグループ『福岡映画部』にセレクトしてもらっています。テーマは“森でみたい映画”と“車もの”にしており、森の中のドライブインシアターにぴったりの作品ばかり。ジャンルはSFから冒険物、ファンタジーやヨーロッパの映画賞に輝いたミニシアター系まで幅広いので、デートからファミリーまでさまざまなシチュエーションで楽しんでもらえると思います」

新型コロナウイルスの感染予防のために映画館に行くのを控えている人も多い昨今。この「フォレストナイトドライブ」は、マイカーの中で映画がみられるという安心感に加え、ドライブインシアターという若い世代には新鮮な上映スタイル、そしてプロジェクションマッピングなどのデジタルアートまで楽しめる、一粒で何度も美味しいエンターテインメントです。

※記事で紹介している料金は、2020年10月20日時点での情報
※掲載されている料金は、すべて税込

取材メモ/洋画などで存在を知り、いつか体験してみたいと憧れていたドライブインシアター。森の中に突如現れる巨大なスクリーンは本当に圧巻でした。映画が始まるまでもレーザーやプロジェクションマッピングで森全体がアート空間となっていて、新鮮な映像体験でした。美味しい糸島の食を味わいながら、安心して映画が楽しめるので、またちがった映画で再訪してみたいなと思いました。

構成=シーアール 取材・文=陣内研治 撮影=福山哲

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

おすすめのコンテンツ

連載