さぬき和三盆の聖地「三谷製糖 羽根さぬき本舗」

さぬき和三盆の聖地「三谷製糖 羽根さぬき本舗」

2020/10/28

国産高級砂糖のひとつである讃岐和三盆の聖地「三谷製糖 羽根さぬき本舗」さんで、和三盆のあれこれを教えていただきました。

ガーカガワ

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ドライブで立ち寄りたい!まるで博物館のようなお店

東かがわ市の県境近く、ここから鳴門にかけての海沿いルートは景色も良く、わざわざドライブにやってくる人も多いはず。
一旦県境を越えて左手に海を眺めながらの爽快なドライブ。北灘の海の駅あたりでターンしてふたたび香川県に戻ってくると、左手に何やら観光地化された広い駐車場が… 「何かの博物館かな?」なんて考えるうちにいつも通り過ぎていたのですが、実はここが讃岐和三盆の聖地とも呼べる場所だと聞き、今回張り切ってお邪魔する事にしました。

三谷製糖 羽根さぬき本舗さん。

三谷製糖 羽根さぬき本舗

というか、駐車場脇に置かれた展示物や、日本庭園のような佇まいを見ると、最初の印象どおり博物館や資料館と言った方がいいかもしれない。

牛が引いていたという石臼
まるで日本庭園

辺りを散策するだけで十分お腹いっぱいなのですが、せっかくなので「売店」と案内書きのある店舗も覗いてみました。

伝統建築をそのまま残す和の空間「羽根さぬき本舗」

和三盆の干菓子

まるで豪商の母屋のような建物の暖簾をくぐると、そこは老舗ならではの伝統を残すほの暗い空間。
重文クラスと言っても過言ではない日本家屋の伝統的な佇まいを感じながら店内を歩くと、なんだか心が洗われるようです。
いやいや、これを「売店」と言ってしまったら勿体ないっしょ!

売店(?)入り口
まるで博物館のような店内

そして、所狭しと並べられている和三盆糖の商品たちも、まるで博物館の展示物のような芸術性をおびたものばかり。

ひとつひとつが芸術品のよう
もちろんその場で購入可能

そうかと思えば、現代のハロウィンにちなんだ商品が置いてあったりで、ちょっと遊び心も感じる居心地の良さ。

ハロウィンをモチーフにした干菓子

早くも「どれにしようかな…」なんて買い物脳になっている自分に苦笑していると、「ようこそ、いらっしゃいませ」と、店主の三谷さんが品の良い笑顔を向けてくれました。

江戸時代半ばより秘伝を受け継ぐ讃岐和三盆の聖地

八代目の店主となる三谷昌司さん

「せっかくなのでお茶でも飲んでいってください」とのお誘いに甘えて、少しお話をお聞きする事にしました。

三谷製糖 羽根さぬき本舗さんは、文化元年(1804年)創業の二百年以上も続く老舗。八代目の店主となる三谷昌司さんのお話によると、江戸時代の半ば、最初に五軒の家が和三盆の作り方を秘伝として伝授されたそうですが、しだいにその数も減っていき、今ではその製法を伝える唯一のお店なんだそう。

八代目の店主となる三谷昌司さん

和三盆の歴史を紐解くと、それは八代将軍吉宗の時代まで遡る事になります。
徳川吉宗の糖業を推奨する政策を受け、親藩である高松藩もその命に応えるべく藩医平賀源内を砂糖づくりに当たらせました。
ところが、良質の種きびが入手できなかったため困難を極める事になります。弟子の池田玄丈、その門下生の向山周慶に引き継がれても完成までには至りませんでした。

美味しいお茶と和三盆糖がよく合います

それを救ったのが奄美大島からお遍路に来ていた関良助です。
病で行き倒れになるところを向山周慶に助けられ、その恩に報いるため、国元から国外不出の種きびを打ち首覚悟で讃岐に持ち帰ったそうです。当時、砂糖は沖縄と奄美大島でしか作られておらず、その製法の漏洩は大罪だったのです。

三谷製糖さんの裏にあるサトウキビ畑

しかし、命がけで持ち込んだ種きびも、気候や地形の違いからか同様の黒砂糖には仕上がらず、そこで研究の末考えだされたのが、今の和三盆の特徴となる糖蜜を抜く方法なのだそう。

老舗ならではの古道具たち

12月に収穫した引田産サトウキビを絞り、アクを丹念に取り除きながら釜で煮詰め、不純物を取り除いたうわずみ液だけをさらに煮詰め冷やされたものが白下糖。
それをこの道何十年の職人さんが押し船に入れて押し、糖蜜を抜いていく「研ぎ」を行います。かつてこの「研ぎ」は三日間かけて行われ、お盆の上で三日間研ぐところから「和三盆」と呼ばれるようになったそう。
現在ではさらに砂糖の結晶を丸くするため研ぎは五日間かけて行うのだそうです。

この先人たちの命がけの苦労と、今もその当時と変わらない手間暇かけた職人さんたちの思いがあるからこそ、この和三盆糖の温かくやわらかい、そしてどことなく旨味もある何とも言えない甘さがあるんでしょうね。

そんなお話しを聞いた後で和三盆糖を試食させていただくと、口の中に広がるやさしい甘さがたまらなく愛しく感じます。

口の中に広がるやさしい甘さ

お茶の干菓子として愛好家も多い和三盆糖を固めたお菓子。
四季折々の木型で抜かれたその造形は、日本人が持つわびさびの感性とすごく合っていると思います。

そして、ひとつ口に入れるこの至福のひと時。
聞けば、抹茶の干菓子としてだけでなく、煎茶やコーヒー、紅茶ともよく合うんだそう。和三盆糖をひとつ口に入れ、それからブラックのコーヒーをすするのもおすすめ! またお酒が好きな方はブランデーのお供にもよく合うそうですよ。
お料理や洋菓子などにも普通の砂糖と同じように使っていただけるとの事でした。

中秋の名月をモチーフにした干菓子

香川県が全国に誇る名産品である和三盆糖。
郷土を見直す意味でも、ちょっとドライブがてら立ち寄られてみてはいかがでしょうか?

取材協力=有限会社三谷製糖羽根さぬき本舗、さんらいく企画
モデル=Mamily

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