「つながり」を創出する文化の発信拠点 津市久居アルスプラザ

「つながり」を創出する文化の発信拠点 津市久居アルスプラザ

2020/11/14

津市久居東鷹跡町にある「津市久居アルスプラザ」が新型コロナウイルス感染症拡大による開館延期を経て、10月1日にオープンした。720席を有する大型ホールのほか、アートスペースやギャラリー、活動施設を持ち、多様な楽しみ方ができるユニークな施設として地域からの期待が高まる。

中広

中広

「つながり」をコンセプトに 地域景観になじむ施設

久居駅から西へ徒歩十数分のところにある「津市久居アルスプラザ」。東に面したエントランスから施設内に足を踏み入れると、天井の高さとガラス張りによる開放感に圧倒される。天井窓から差し込む光が心地よく、壁面に描かれたスタイリッシュなロゴがモダンな空間を一層引き立てる。

「地域とのつながりが施設のコンセプト」と話すのは、津市久居アルスプラザの脇岡宗一館長。ガラス張りを多用したのは、周囲とのつながりや風通しの良さを意識したからだと理由を明かす。共用スペース「ひさいアートスクエア」の床面には灰色を採用。屋外から館内を眺めると、アスファルトの道がそのまま続いているように見えるという。「目的がなくてもふらっと立ち寄りたくなる公園のような場所にしたい」と営業係長の上田順子さんはほほ笑む。

【左】営業係長 上田順子さん【中】館長 脇岡宗一さん【右】事業担当 北岡初音さん

館内には、オーケストラピットを備えた「ときの風ホール」や、小コンサートも開催できる「アートスペース」、大型展示スペース「ギャラリー」など、アートに親しむ施設が盛りだくさん。また防音壁を設置した「ピアノルーム」「ミュージックルーム」「バンドルーム」では、使用料を支払えばピアノやドラムセット、アンプなどが使用できる。電気ドリルやミシンなどを備える「アトリエ」は描画や工作におすすめ。「皆さんの活動風景をガラス越しに見た方が、『私も始めてみようかな』と興味を持ってくれたら。文化と関わりをもってもらうことが私たちの願いです」と利用を促す。

720席を備える「ときの風ホール」。オーケストラピットや反響板を備え、本格的なコンサートにも対応する
一面のガラスから差し込む光が開放的な空間を演出する。「アートスペース」では展示のほか、ダンスショーなども開催可

新型コロナで開館延期 新コンテンツで魅力発信へ

6月6日の開館を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大で開館延期を余儀なくされた。「6~10月まで土日のホール予約は全て埋まっていましたが、ほとんどがキャンセルや延期になりました」と脇岡館長は振り返る。裏方やおもてなしスタッフとしてイベント運営にかかわる市民ボランティア「ときの風サポーター」の募集を中断し、養成講座の実施も来年以降への延期が決まった。

「家にいながらアートに触れられる機会を提供したい」と、スタッフの発案でYouTubeチャンネル「アルス放送局」を開設。約1カ月の準備期間を経て6月5日に第1回の放送を開始した。番組内容は施設の魅力や活用方法などで演出にも工夫を凝らした。

「津市や三重県で活躍しているアーティストが館内施設を使って自身の活動をPRしています。私たちでは考えもしないようなユニークな使い方をしてくださる人も」と事業担当の北岡初音さん。津市を拠点に活躍するバルーンアーティスト・BalloonMoMoさんが出演した第9回の放送では、白いバルーンを手際よく設置する様子を軽快な音楽とともに紹介した。暗闇で青い光を放つバルーンが幻想的な空間をつくり出す動画は、評判を集めた。東京都交響楽団で首席オーボエ奏者として活躍した経歴を持つ脇岡館長は番組に数回登場。第3回には、ホールの音響効果を高める「反響板」の役割や、設営する様子を動画で紹介した。

自由度の高さが魅力 使い方で施設が多様に変化

視聴回数が5000回を超えた「アルス放送局」は、9月25日放送分の第17回をもって、放送を終了した。最終回には地域を拠点に活動する31人が集まり、音楽でフィナーレを飾った。最終回の演出を手がけたのは、久居げんき会のメンバーで、トスカキッチンデザインワークスを主宰するデザイナーの田中克昌さん。「施設に足を踏み入れたとき、いろんな場所から演奏が聞こえてくる様子がふと頭に浮かびました。軽い気持ちでスタッフの方に伝えたところ「ぜひやりましょう!」と話が進みました。アーティストの要望に快く応えてくれる自由度の高さが、アルスプラザの魅力ですね」とほほ笑む。

田中克昌さん

田中克昌さん

トスカキッチン デザインワークス

撮影当日は、田中さんほか、津市消防音楽隊や和太鼓奏者の服部博之さん、ジャズボーカリストの百本マイさん、ブルースハープ奏者の山田直之さんが参加。最終回にふさわしい豪華な顔ぶれとなった。

地域待望の施設が開館し、「皆さんが集まる広場として、幅広いコンテンツを提供したい」と脇岡館長。オープニングイベントとして、久居ふるさと文学館との連携事業である「アルスの森~つつみあれい&BalloonMoMo展~」を開催。津市出身の絵本作家・つつみあれいさんのガラスアートと、バルーンアートが建物南側のガラス一面を彩られた。また、津市出身の写真家・浅田政志さんを描いた映画作品を紹介する「浅田家!」展では、出演者が着用した衣装などが飾られた。

今後はマルシェなどの企画を計画中と話す上田さんは、「著名な方だけでなく、市民の方も主役として舞台に立つなど、さまざまな機会を持ってもらえたら」と先を見据える。白と黒を基調とした内観が、多様な利用により彩り豊かに変わりゆく姿が待ち遠しい。

アルス放送局最終回収録レポ!

収録には、31人が参加。地域内外で活動するミュージシャンによる音の共演が番組のフィナーレを飾った
施設のあちらこちらから流れるメロディーは必聴!撮影担当は、アルスプラザの職員

この記事を書いたライター情報

中広

中広

中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

中広 が最近書いた記事

おすすめのコンテンツ

連載