コース料理の始まりを飾る地場食材で季節を描いた「太巻き」

特集

全国ご当地グルメ(千葉県編)

2016/03/19

コース料理の始まりを飾る地場食材で季節を描いた「太巻き」

繁華街の喧噪の中、しっとり落ち着いた雰囲気を醸し出す「千寿惠」は、旬の味を取り入れて作られた郷土料理の店。季節の味を封じ込めた太巻き寿しに注目だ。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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1カ月に3種類の新作を味わえる今風アレンジの旬太巻き

「千寿惠」は、40年前に会津料理の店として始まった。商売が軌道に乗るまでの時期、女将(おかみ)の石橋ちず江さんは、食に関する知識を地道に積み重ねていた。その時、新鮮で滋養のある地場食材が使われた郷土料理の価値に気付いたという。さっそく郷土料理専門店としてリニューアルし、栄養学の知識を生かした低カロリーでバランスのとれた健康的な和食を始める。それから20年たった今では予約がないと入れない日も多い人気店だ。

16年3月の太巻き「太巻き寿し」は、彩り鮮やかな花とかわいいおひなさまがテーマ。食べた瞬間、海苔の香りがふわっと広がる

現在のメニューはコースのみで、5種類のヘルシーコース3024円から。全コースに出てくる「太巻き寿し」は、華やかでかわいらしい千葉の伝統的な祝い料理だ。寿司飯の白にピンクやオレンジ、グリーンなどカラフルな食材が並べられ、卵焼きで巻かれている。「千寿惠」の太巻きには、野沢菜、菜の花、海苔、チーズなどが使われているが、チーズ以外ほとんどが地元の食材だ。

飽きられないよう常に3種類の味を用意し、1カ月ごとに旬の食材を使った新作と入れ替えている。3月ならおひなさま、4月ならサクラと意匠までも変えているのだ。目も舌も楽しませて客を飽きさせない、そのためには手間とアイデアを尽くす。20年間続くロングセラーには、そんな女将の努力が隠れている。

「おいしいものを食べるのも作るのも、人と話すのも大好き」という女将の石橋さんは、まさにこの仕事が天職と言える

食の安心とおいしさの実現は、自らの手で作る無農薬野菜から

以前は単体メニューだった太巻き寿しだが、現在はコースに付いたお通しと、お弁当(1本)2160円~のみ。お弁当は事前に予約が必要だ。

郷土料理なのにチーズなどの西洋食材も使うのは、米を食べなくなった今の若い人たちにも食べてほしいから。「伝統料理は、守るだけでは廃れてしまいます。味にバラエティを持たせて、多くの人に千葉のおいしいものを知っていただきたいのです」と石橋さん。

店で使う米と野菜のほとんどは石橋さんのご主人が自家菜園で作った無農薬のもの。手間がかかるが、おいしさと安全を守るためには虫を一匹一匹取る方がいい、と石橋さんは語る。「合う土壌で育った地場野菜は、甘くておいしいんです。野菜は素直だから、心地よく育つと必ずおいしくなってくれる。だから手を抜けないんです」。伝統を守り伝えていきたいという思いが、食材作りの厳しさにも表れている。

ご主人の作る野菜はいつも、玄関に配達される。メニューに合わせて計画作付けを行っているので、いつでも新鮮な無農薬野菜が味わえる

※掲載の内容は2016年3月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

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