紅葉を眺めながらカフェを楽しむ!「無鄰菴」で至福のひととき

紅葉を眺めながらカフェを楽しむ!「無鄰菴」で至福のひととき

2020/11/30

京都・東山の麓、南禅寺のほど近くに、明治・大正時代の政治家・山縣有朋の別荘「無鄰菴」があります。その庭園は、昭和26年に国の名勝に指定されました。東山を借景にした名勝庭園の紅葉は実に見事です。また、景色を眺めながらカフェを楽しめるのが、こちらならではの魅力です。

TABIZINE(タビジン)

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「無鄰菴」とは

無鄰菴 ©植彌加藤造園

東山を望む風光明媚な別荘群と文化的な景観を持つ京都岡崎・南禅寺界隈は、風致保存地域に指定されています。その別荘群の先駆けが、明治27~29年(1894〜1896年)にかけて建てられた明治・大正期の政治家・山縣有朋の別荘「無鄰菴(むりんあん)」です。庭園と母屋、洋館、茶室の3つの建物によって構成されています。

有朋の指示により、七代目・小川治兵衛が作庭した庭園は近代日本庭園の傑作と呼ばれ、昭和26年(1951年)には国の名勝に指定されています。現在の所有者は京都市、お庭の管理と施設のマネジメントは指定管理業者のもと、京都で170余年の歴史を持つ庭師の会社「植彌加藤造園」が行っています。

東山を借景に作られた庭園

琵琶湖疏水から少し入った所に門が

琵琶湖疏水から少し入った所に門があります。向かいは高級老舗料亭「瓢亭」です。
※現在は事前予約制で、1時間ごとに20名までの限定。

まずは10分間のガイドを聞くことに ©植彌加藤造園

まずは10分間のガイド(無料。希望者のみ。毎時05分、30分に実施)を聞くことにしました。入ってすぐの八畳間で、「無鄰菴」の名前のヒミツや庭園についての概要、観る時のポイントなどを教えてくれます。紅葉を眺めながら、少しずつ非日常へと誘われていきます。

母屋を背にして見えるのがこの風景

では、いよいよお庭を散策します。母屋を背にして見えるのがこの風景です。中央にそびえる東山を中心に、ほのぼのとした里山のような景色が広がります。

琵琶湖疏水を生かし躍動感を与える

琵琶湖疏水から引かれた小川が流れています

琵琶湖疏水から引かれた小川が流れています。琵琶湖疏水開通は、首都が東京に遷り、経済の衰退をたどる京都を活性化するために行われた明治時代の大きな公共事業です。有朋はその事業に政治家として携わり、この地で初めて別荘を建てて琵琶湖疏水の水を取り入れ、躍動的な流れを庭園内に作り出したそうです。作庭当初にデザインとして置かれた、ゴロゴロとした石が野趣を与えています。

どこにいても川のせせらぎが聞こえます

山の中を流れる小川のよう。どこにいても川のせせらぎが聞こえるのが心地よいです。

一番奥の滝

一番奥の滝です。京都の醍醐寺の三宝院の三段の滝を模したものといわれ、ゴツゴツとした岩がダイナミック。沢を渡る時は、水の存在を身近に感じられるように沢飛び石が水面ギリギリに据えられているので、濡れないように気を付けてくださいね。

背にしていた母屋が先に見えます ©植彌加藤造園

振り返ると、背にしていた母屋が先に見えます。約1,000坪の土地に、東山から滝、庭園へと流れるようで重層的な、奥行きのあるデザインが感じられます。

池の水面もまるで鏡のよう

紅葉しかけた姿が池に映り、まるで鏡のようです。

季節の移り変わりを感じます

日増しに紅葉していき、季節の移り変わりを感じます。

日本庭園らしい景色

紅葉と松との競演。日本庭園らしい景色です。植栽に関して斬新なセンスの持ち主であった有朋は、通常は庭木として扱わないモミの木を取り入れるようオーダーしました。七代目小川治兵衛は驚きつつも、その願いを受け止めモミの木50本を庭に植えたそうです。今でもその一部が残されています。

自然が織りなす50種以上の苔の美しさ

50種以上の苔が広がっています

有朋は「苔によっては面白くないから、私は断じて芝を栽る」と言っていたそうです。日本庭園ではおなじみの苔ですが、芝がお好みだったよう。芝生は明るさを添え、日本の里山の風景に似たところがあります。しかし、京都は湿度が高いので自然と苔が生えてこの状態になったとか。

「苔の青みたる中に名もしらぬ草の花の咲出たるもめつらし」と、有朋は時を経るごとに自然が織りなす美を受け入れ、今では50種以上の苔が広がっています。また、庭師が有朋がしたように野花を愛でられるよう、庭園内に生育する野花を調査し、季節や場所に応じた手入れをされているそうです。

茶室と母屋は文化活動のための貸し出しも

茶室 ©植彌加藤造園

茶室は藪内流の燕庵を模して造られています。明治28年(1895年)頃、無鄰菴に移築されました。茶会などに貸し出しも行っているそうです。

木造の母屋

木造の母屋は、明治28年(1895年)に建築されました。有朋は別荘の主体は庭園にし、座敷から観賞することを目的としていたため、あえて簡素な造りになっています。こちらの2階も、無鄰菴が企画したイベントが行われるほか、茶会、華道、歌会、講演会など、さまざまな文化活動の会場としての貸切が可能です。

「無鄰菴会議」の舞台になった洋館

「無鄰菴会議」舞台になった洋館

煉瓦造りの二階建ての洋館は、学習院などを手掛けた建築家・新家孝正によるものです。明治36年(1903年)4月21日には、この洋館の2階の間でロシアとの外交方針を語り合った、いわゆる「無鄰菴会議」が開かれました。出席したのは伊藤博文、小村壽太郎、桂太郎、そして山縣有朋と錚々たる顔ぶれ。歴史上非常に重要な会議として位置付けられています。

1階では、写真展が開催されていました

1階では、文化財を所有者の視点から見ることをテーマとした写真展が開催されていました。

母屋でカフェを楽しめる!

無鄰菴カフェ

庭を眺めながらお抹茶をいただける寺社は結構ありますが、こちらは「無鄰菴カフェ」という名の正真正銘のカフェです。180度に広がる美しい庭園を眺めながら、母屋でドリンクとスイーツを楽しめるのです。京都最古の洋菓子店「村上開新堂」のロシアケーキをいただけるとは、なんて素敵なセレクト!

【喫茶付き入場券 1,600円(税込)】
好きなお飲み物とスイーツのセット
以下から好きな組み合わせを選べます。
*飲み物(いずれか1種類)
・抹茶
・コーヒー
・クラフトビール
・ほうじ茶

*スイーツ(いずれか1種類)
・無鄰菴オリジナルどら焼き(数量限定)
・村上開新堂のロシアケーキ(数量限定)
・ピスタチオ
・お干菓子2種

「無鄰菴オリジナルどら焼き」と「お抹茶」

“数量限定”に惹かれ、「無鄰菴オリジナルどら焼き」とお抹茶を選びました。どら焼きは江戸時代創業「京阿月」の特製で、“Murin-an”の焼印がレア感を添えています。中は粒あんで素朴な味わい、食べ応えがありました。お庭を眺めながらいただくお抹茶は格別です!

寒くなるとホットカーペットが敷かれます ©植彌加藤造園

造営されたのが120年前。有朋が庭を眺めた当初のままの母屋で、往時に思いを馳せながら庭をゆっくりと眺めることができます。寒くなるとホットカーペットが敷かれるのもうれしい配慮です。

さまざまなイベントも開催

お茶会、季節の限定茶菓子席、ライトアップ夜間公開、着物教室、庭園講座など、さまざまなイベントも開催しています。

往時に思いを馳せながら、秋の景色を堪能しに訪れてみませんか?

内閣総理大臣を歴任した山縣有朋の別荘「無鄰菴」。その贅沢にして大らかな庭園で紅葉を愛でながら、カフェを楽しみに訪ねてみませんか?

[Photos by Yo Rosinberg]

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