年間上映本数約700本! 特集がアツい名画座「新文芸坐」

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映画好きなら一度は行きたいスポット

2017/06/03

年間上映本数約700本! 特集がアツい名画座「新文芸坐」

趣味=映画鑑賞と答える方なら絶対利用している(はずの)、名画座。準新作から古典までをお得な料金で、なおかつ原則2本立てで上映してくれるありがたい存在だ。今回は、そうした名画座の中でも老舗的な存在であり、独自の番組編成が魅力的な、池袋の「新文芸坐」さんにお邪魔させていただいた。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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特集主体の上映プログラムの作り方

新文芸坐支配人・矢田庸一郎さん

池袋の名画座「新文芸坐」は名称に「新」と付いているとおり、その前に「文芸坐」があった。こちらは洋画中心の「文芸坐」に、邦画中心の「文芸坐地下劇場」(後に「文芸坐2」に改称)、演劇や自主映画の上映等も行われる「文芸坐ル・ピリエ」の3劇場が併設。1997年に惜しくも閉館するが、2000年12月に「新文芸坐」として復活し現在に至っている。

今回、旧「文芸坐」時代からのスタッフでもあり、現「新文芸坐」支配人でもある矢田庸一郎さんにお話を伺った。

ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
1週間や2週間交替の固定制で番組編成を行う名画座もある中、新文芸坐さんは2日替わり、あるいは1日替わりで数多くの作品を上映する特集が特徴的ですよね。番組編成はどのように企画されているのでしょうか。
矢田さん
矢田さん
まずは上映したい作品があり、そこからどのようにお客さんに提供するか、その見せ方を考えるという形が多いですね。現在(※取材時)実施している特集「映画に刻まれたナチスの爪痕」の場合は、『帰ってきたヒトラー』や『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』(ともに2015)といったナチスを題材とした映画が最近いくつかあったので、それらをまとめてやろうと。

特集「映画に刻まれたナチスの爪痕」で上映されたのが、上記2作に加えて『ハンナ・アーレント』『手紙は憶えている』『サウルの息子』他の計12作品。ちなみにほとんどの作品は2012〜16年と比較的最近の作品なのだが、中にはチャップリンの『独裁者』(1940)やフランソワ・トリュフォーの『終電車』(1980)といった名作もラインナップに入っており、製作された時期や作家によって、同じ題材がどのように描かれていたのかを比較できるのも特集上映の大きな魅力だ。

通常の料金表。この価格で2本鑑賞できる

スタッフは仕事もプライベートも映画漬け

ロビーに並ぶ上映予定作品のポスター群
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
1回分の入場料でその日上映されている2作品を鑑賞できるのは、映画ファンからすれば本当にありがたいことです。休憩時間のアナウンスでも2本立てであることをお伝えされていますよね。
矢田さん
矢田さん
名画座をご存知ない世代の方もどんどん生まれてきますからね。中には2本立てだからと、入場時にチケットを2枚買ってこられる方もいらっしゃったりしますので。

また、新文芸坐では毎週土曜日の夜から日曜日の朝まで、原則4本立て(!)のオールナイト上映も開催されている。もちろん入れ替えはなし。こちらで上映される作品も、昼の興行とは異なる特集が組まれる。

ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
特集上映にオールナイトと、上映本数はどれぐらいになるのでしょう。
矢田さん
矢田さん
年間で約700本といったところでしょうか。
ライフマガジン編集部
ライフマガジン編集部
すごい本数ですね……。番組編成をするためには、映画についての情報や知識も必要になりますよね。
矢田さん
矢田さん
そうですね。私を含む番組編成を担当するスタッフは、仕事が終わった後や休日は、まず第一に映画を観ることを考えていると思いますね。

そうして組まれる2本立て上映プログラムの数々。劇場に来られる方々の目的はどちらか1本という場合も多いと思われるが、よほどのことがない限りは極力もう1本も観ておこう。もしかしたら同時上映の作品こそが自分にとって生涯ベスト級の作品になることだってあるはずだ。

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特集にあわせて開催するトークショーも見逃せない

5月下旬には渡瀬恒彦さんの追悼上映も開催された

思い出に残る特集上映、手応えのあった特集上映についても矢田さんにお聞きしたところ、「一番記憶に残っている特集ということではなく、最近思うことなんですけど」と前置きして、次の話をしていただけた。

矢田さん
矢田さん
3月下旬に松方弘樹さんの追悼上映をやったんです。本来は松方さんの本(『無冠の男 松方弘樹伝』松方弘樹、伊藤彰彦共著/講談社刊)の出版記念特集として企画していたんですけど、残念ながら追悼上映にもなってしまった。

件の追悼上映では、中島貞夫監督や脚本家の高田宏治さん他、松方さんゆかりの方々が実際に来館し、トークショーをしたという。

矢田さん
矢田さん
ゲストのみなさんはトーク終了後も控室で思い出話をされていたんですが、自然とその直前の3月半ばに亡くなられた渡瀬恒彦さんの話題にもなりました。一昨年の2015年は渡瀬さんがデビュー45周年、お兄さんの渡哲也さんが50周年だったので、新文芸坐でも「渡哲也・渡瀬恒彦 兄弟映画祭」を開催しまして、お二人にもトークゲストを依頼したんですね。でも、新文芸坐はいつもバタバタしている傾向があって、向こうにしてみればオファーが直前。そしたら渡瀬さんから直接お電話をいただいて「行けないんだよ、残念だけどごめんな。次やるときはもっと早く言ってくれよな」とおっしゃられたことを思い出します。特集上映も、みなさんお元気なうちにやりたいと最近は強く思いますね。

松方さんや渡瀬さんについては非常に残念だが、日本映画の特集上映の際には関係者やご本人が来館されトークショーを行うことが多いのも新文芸坐の魅力。料金も通常一般1300円、学生1200円(この他会員割引等あり)で、トークショー観覧に別料金はかからない。スケジュールを確認の上、足を運んでみよう。もちろん上映作品も2本どちらも鑑賞すべし。売店もあるから空腹の心配も無用だ!

菓子パンやドリンク販売も。客席への持ち込みも可能だ
映画関連書籍も充実

新文芸坐

住所:東京都豊島区東池袋1-43-5 マルハン池袋ビル3F
アクセス:池袋駅東口から徒歩約3分
電話:03-3971-9422

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

取材・文・写真/田中元

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