未知の映画と出会える! 新宿の輸入ソフト専門店に行ってみた

特集

映画好きなら一度は行きたいスポット

2017/06/03

未知の映画と出会える! 新宿の輸入ソフト専門店に行ってみた

2016年の日本公開映画は1100本以上。だがデータベースサイト「IMDb」によれば、同年に全世界で製作された映画は1万1千本以上! 自分が観るべき真の名作は、約10倍も存在する未公開作品群にこそあるかもしれない。でも、どうしたら探せる? 観られる? そのヒントは新宿西口にある!

Yahoo!ライフマガジン編集部

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商品選定はリサーチ、ジャケ、そして作品への愛情

店内はレア商品がぎっしり

新宿の雑居ビル4階にある輸入ソフト専門店「ビデオマーケット」は、エレベーターを降りるといきなり等身大のエイリアンが出迎えてくれる、一発で「そういうジャンルの趣味の人向け」とわかる作り。

エレベーターを降りると立っているエイリアン。約2メートルの実物大

といっても、店内の品揃えからすれば『エイリアン』(1979)なんてまったくのメジャー作品だ。

店長の涌井次郎さんにお話を伺った。

現在の売れ筋商品の前でほくそ笑む店長の涌井次郎さん

ーー海外でリリースされるブルーレイやDVDソフトはそれこそ無数にあるわけですが、仕入れられるものはどのように選定されているのでしょう。

涌井店長
涌井店長
まずは日本にもファンがいるのに未公開、未リリースの作品や、本国と日本での公開時期にタイムラグがある新作は外せません。お客さんとしてもタイトル程度はご存知だけど、日本では他に観る方法がないから買っていただけるというケースは多いですね。未知の作品については、向こうの映画雑誌や、インターネットを活用して情報をかきあつめ、評判の良さそうな作品、面白そうな作品を優先的に選んでいます。

ーー音楽マニアのようにジャケ買いということもありますか?

涌井店長
涌井店長
そうですね。今は映画館やレンタルに加えてネット配信もあり、わざわざ高いお金を払って物理的なメディアを買う必要がないと感じている方も多いと思うんですが、手元に置いておきたくなるようなジャケットも重要なポイントになります。

ーー仕入れたものは基本的にご覧になられるのでしょうか。

涌井店長
涌井店長
全ては無理ですが、勝負タイトルになりそうと思ったものは優先的に観ます。その中でも「これは!」と思うものは積極的にプッシュしていきますね。ただ、勝負タイトルと思って入れたけど正直きつかった作品というのもあり、どうにかいいところを見つけてコメントポップをつけたら、お客さんに「熱量が違う」とばれてしまったこともあります(笑)。私自身が商売人と同時に映画ファンでもあるので、どうしてもにじみ出ちゃうんですよね。

コレクター魂を刺激するジャンル映画ソフト

古典も充実。バーヴァ、フルチなどイタリアンホラー界の巨匠の名も

冒頭に書いたエイリアン同様、店内にはホラー、スプラッター、次いでSF、アクションといったジャンル作品が目立つ。涌井さん自身がホラー映画ファンでもあるが、これについては現在の世界的なソフト事情も関係しているという。

涌井店長
涌井店長
先ほども話に出たネット配信等もあり、今は物理的メディアのソフトが売れないと言われている時代なんですが、そうした中で頑張っているのがホラーを中心としたジャンル映画なんですね。おそらく世界中にこうしたジャンルの忠実なマニアがいる。

彼らの多くはコレクターでもあるので、自然とホラー系のソフトが多くなるわけです。また、普通の映画ソフトだと本編以外に予告編程度しか入っていない味気ないものが多いんですが、ホラー映画などのマニア向け作品は特典がめちゃくちゃ豪華だったりと、マニアが物理的メディアで持っていたいと思わせるものをメーカー側も頑張って送り出してくれているんです。

ーー輸入盤は基本的に日本語字幕はありませんが、なぜか時々入っているものもありますよね。

涌井店長
涌井店長
メジャー系の映画ですと、ジャケットだけ変えて中身は同じものを世界中で販売する場合があるためですね。だけど日本語字幕が入れられながらも、何らかの事情で日本ではリリースされなかったというケースもあります。例えば『エクソシスト』のボックスセットがそうでした。あれはよく売れましたね。

『エクソシスト』(1973)は言わずと知れたホラー映画、というよりオカルト映画の金字塔で、続編も複数制作されている。が、シリーズ各作品ごとにディレクターズ・カット版やお蔵入りした別バージョン等があり、上記ボックスセットはそれらも含む全作品が日本語字幕入りで収録されつつ、日本未発売。私(担当ライター)は買いそびれて現在廃盤。

ホラーファンなら必見の『悪魔のいけにえ2』(1986)レザーフェイスのレプリカ。海外の映画人が来店されることも
涌井店長
涌井店長
また、メジャー系でなくても頑張って日本語字幕をつけているレーベルがあります。自動翻訳機にかけたような変な日本語のこともあるんですけど、向こうから見ても日本の市場は魅力的らしいんですね。特にアメリカではDVDの専門店がもうほとんどないらしく、旅行で日本に来られた方が当店を覗いてびっくりされることもあります。アメリカからの輸入品なのに当店ではじめて現物を見つけて買っていかれたり(笑)。

ーーやはり実店舗は強いですよね。

涌井店長
涌井店長
そうですね。私も国内海外問わず通販を利用しますけど、お店の意義は実物がずらっと並んでいることだと思っています。もちろん大手通販サイトはリコメンド機能などがよくできていますけど、お店ではリコメンドとも無関係に全然知らないものがたくさん並んでいる。知らないものに触れられるチャンスを提供していけるのは嬉しいですね。

未知の映画は寄り道しながら探りましょう

本国でも忘れ去られているようなお色気映画も。仕入れる涌井さんも凄いが、権利関係をクリアしてリリースしているメーカーも凄い

とはいうものの、常連さんはともかく、未公開映画や輸入盤ソフトは初心者にはやや敷居が高そうな世界であることも事実だ。ビデオマーケットはそういう世界への入口だが、お店自体に入ることにすら最初はドキドキしてしまうかもしれない。が、涌井さんは次のように話す。

涌井店長
涌井店長
買おうと思わなくていいので、まずは店内を見て回ってください。こういう世界があることをまずは見ていただければ。輸入盤だけに少々高いので、いきなり買ってくれというのも無茶な話ですしね。

その上で何か購入されたいというのであれば、最初は予告編集がオススメです。予告編というもの自体が面白く作られていますし、そこで目星をつけた作品があったら、タイトルをお伝えいただければその作品をご案内できますし。

といっても、予告編しかない幻の作品なんてものもありますが(笑)。

ーー未公開映画は正体のわからなさも含めたところが魅力だったりしますもんね。

涌井店長
涌井店長
今はインターネットで目的の作品まであっという間にたどり着けてしまうことが多いですが、それでも知られざる作品というのはまだまだたくさんありますし、それを探る楽しみや、探る過程で関係ない作品にも触れていただけるとなお面白いと思います。

また、当店で仕入れていない作品でも、リリースされている作品であれば取り寄せることも可能です。探すのにハードルが高いものもありますけど、それもまた楽しいですしね。
日本映画の海外版ソフトも。画質クオリティが日本版より高い、オリジナル特典入り等、日本版とは異なる仕様のものばかり

涌井さんの調査能力のとんでもない高さを味わいたい方は、そのものズバリなタイトルのムック『謎の映画』(別冊映画秘宝/洋泉社)に寄稿されている「新宿ビデオマーケット、謎の映画チョイス」と題した記事も参照のこと。巨大うさぎが襲撃してくるほのぼのパニック映画やユーゴスラビア産SF映画等を製作背景込みできっちり紹介していて恐れ入る。何はともあれ、まずは一度ビデオマーケットを覗いてみよう。「映画」というものに対する認識が一気に広がるはずだ。

涌井さんご自身のベスト3(※順不同)

最後に涌井さんご自身のベスト3を挙げていただいた。といっても3本に絞りきるのは難しいとのことなので、ご自身が好きな映画、商品として待望の作品、そしてビデオマーケットならではの未公開物件、以上から1点ずつ選んでいただいた。

『ヴィデオドローム』(1983)

『ヴィデオドローム』パッケージ。涌井さんの本作への想いはこのポップには全く収まりきらない。

こちらは涌井さんご自身のオールタイムベスト映画。ビデオ映像によって人間が心身ともに変容していく様を観念的に描いた、と書いて正解なのかどうかもあやふやな難解カルト映画。変な映画だらけのビデオマーケットさんを象徴するような作品ともいえる気がしないでもない。

『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984)

『ストリート・オブ・ファイヤー』パッケージ。特典内容が「And More」と書ききれないボリューム

本国アメリカよりも日本で人気の超カッコいいロックンロールアクション。しばしばテレビ放送もされるので作品自体はレアではないが、これまでのソフト化史上最高の画質に特典てんこ盛りという仕様でファン必携の一本。

『TUTTI I COLORI DEL BUIO』(1972)

『TUTTI I COLORI DEL BUIO』パッケージ。「ジャーロ」棚はお店に入ってすぐの場所で、涌井さんがいかにこのジャンルに力を入れているかがわかる

これぞビデオマーケットさんならではの、完全に日本未公開からのオススメ作品。60〜70年代にイタリアで隆盛を誇った、やけにショッキングな演出や展開が独特の魅力を放つ「ジャーロ」(または「ジャッロ」)ジャンルの一本。日本で紹介されているジャーロは極めて数が少なく、涌井さんもビデオマーケットの仕事をすることで発見、ハマったジャンルだという。

輸入盤購入時の注意事項!

ソフトには各国各地域でしか再生できないリージョンコードというものがある。日本で再生できるDVDは右の「ALL」と「2」と記されたモノ。左の「1」は北米版なので対応プレイヤーが必要だ

ビデオマーケット

住所:東京都新宿区西新宿7-9-13 DKY15ビル 4F
アクセス:JR新宿駅西口から徒歩約5分
電話:03-3369-6613
定休日:火曜日
営業時間:12〜14/16〜20時

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

取材・文・写真/田中元

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