埼玉・久喜市 シニアソムリエが厳選したワインのそろう店

埼玉・久喜市 シニアソムリエが厳選したワインのそろう店

2021/01/16

気温や湿度、冷やし方、合わせる料理などで、1本のワインは、さまざまに味を変える。シニアソムリエの資格をもち、最適な1本を提供する、ワイン中田屋の小久保昌典さんにワインの魅力やエピソードを聞いた。

中広

中広

ワイン専門店として30数年間経営

栗橋駅から少し離れた住宅街にたたずむ、瀟洒(しょうしゃ)な建物。南フランスのプロバンス地方をイメージし、ロゼワイン色の壁と大きなアーチ型の木製ドアで来訪者を待つのは、ワイン中田屋だ。

ワイン中田屋外観
ワイン瓶とグラスを象ったかわいい看板が目印

創業は1894年。現在のオーナーである小久保昌典さんで5代目を数える。30数年前に小久保さんが店を継いだ頃から、徐々にオールドヴィンテージを柱の一つにすえた、ワイン中心の品揃えにシフトしていった。いまでは、常時、100年前から現在のものまで切れ目なく在庫を所持するワイン専門店だ。

小久保さんのワイン好きがきっかけとなり、店の業態が変わっていった。中でもワインのオールドヴィンテージがもたらす味わいに、深く感動した。「時を経た古酒は、飲むと心が震える時があります」と、笑顔を見せる。

【オーナー・小久保昌典 さん】 1989年日本ソムリエ協会認定 ワインアドバイザー取得 No360、 1995年日本ソムリエ協会認定 シニアワインアドバイザー取得 No72、 日本ソムリエ協会認定 シニアソムリエ

ワインは年数を経るにつれ味が変わっていく。赤ワインなら、皮に含まれる渋みのタンニンが、重合(じゅうごう)という変化を起こし、滑らかな舌触りに。ブドウの果実の香りを指すアロマも時間の経過とともに変化し熟成した香り、ブーケを醸成していく。この移ろいを味わうのもワインの醍醐味の一つであり、小久保さんが古酒に惹かれた理由でもある。そのため、「10年、15年目のワインは、まだ古酒とは考えていません」と、小久保さん。

ワインを愛する人が増えるようにと店では、「マニア垂(すい)ぜんのオールドヴィンテージもありますが、お求めやすいデイリーワインもあり、幅広い価格帯と年号のものをまんべんなくそろえています」と、語る。

マニア垂ぜんの空きボトルが並ぶパティオの様子

品ぞろえはワインだけで約3000種、約1万本。ほかにもハードリカーは約300種を数え、自動車を買える価格のワインを求める人も。その人にとっては、何物にも代えがたい1本だったのだろう。

現在、最も古い商品は1870年のもの。いずれの品もゆっくり熟成させながら保管され、探し求める人の来訪を待っている。

ウイスキーのオールドボトルが飾られた、アンティークキャビネットはそれだけで風格がある

知識と長年の経験から幻のシャンパーニュを発見

同店を訪れる人からの依頼で多いのが、ワインをギフトに使いたいというケース。贈られる側がどんな人で、どんな時に飲むのかなどを丁寧に聞き出し、数本を提案する。ワインをあまり知らない人にはわかりやすい説明を心がけ、造詣の深い人には専門用語を使って適格なものを選んでいく。

ワインを購入する人に、どんなシチュエーションで飲むのかを聞き、アドバイスする

小久保さんは、店を継ぐ頃にソムリエ(旧ワインアドバイザー)の資格を取得したが、「資格があっても、知識はブラッシュアップしていかなければなりません」と、勉強を欠かさない。知識が高じて思わぬ発見をした経験もある。

シャンパーニュには、ブドウの出来が良いと判断した年にのみ、生産する銘柄がある。あるとき小久保さんは送られてきたリストに、その銘柄が造られていないはずの年号のものを見つけた。記載ミスの可能性もあるが、画像を取り寄せてみると本当にあった。「生産者が上得意からの依頼で、プライベートにごく少量仕込んだものだったのでしょう」と、小久保さん。そのシャンパーニュはその後、愛好家のもとに届けられとても喜ばれたとか。

また、貴重なワインが揃うとなれば、来店者は日本人に限らない。外国人で、フランスのブルゴーニュ産の赤ワインを探している人がいた。年号、畑、生産者すべて指定で、生産本数の少ないブルゴーニュのこと、世界中をネット検索してもオランダの4本、日本の同店の21本しかヒットしなかった。売買のやり取りをする間に1本が売れたが、残りの20本はすべてその人が買い求め、丁寧に持ち帰ったそうだ。

ワインは単体でなく料理との相性で選ぶ

ワインは開栓するタイミングはもちろん、天候や気温、グラスの形状などで、味が変わる。小久保さんが何よりも大切にしているのが、ワインと料理とのマリアージュ。フランス語で結婚を意味し、ワインと料理が互いに引き立て合う、相性の良さを表現するのに使われる言葉だ。

「マリアージュとは料理とワインの片方だけが目立つのではなく、互いに引き立て合うものです。日本ではまだマリアージュの大切さが広く認知されていません。気軽に飲むときでも、料理との相性でワインを楽しむ文化が広まってほしいと願っています」

一方で、難しく考えずに気軽に飲んでほしいと小久保さん。ワイン選びに迷ったときはソムリエに相談しながら、リラックスするひと時に華を添えてもらおう。

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中広

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中広は岐阜に本社を置く広告会社です。 地元の情報を各戸配布のハッピーメディア(R)『地域みっちゃく生活情報誌(R)』のブランドで発信しています。

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