前後を楽しむのもイタリア流 吉祥寺| ヴィッラ・マニョーリア

前後を楽しむのもイタリア流 吉祥寺| ヴィッラ・マニョーリア

2021/01/24

日本人初のイタリア人! イタリア渡航歴25年。イタリアをライフワークに活躍するハヤシコウさん。自宅には醤油がない(つまり和食は食べない!)ほどイタリア料理好きなコウさんに、今行くべき東京のイタリアンを教えてもらいます。

FOOD PORT.

FOOD PORT.

ジャンル違いの店が入り混じる日本のレストラン事情

イタリアと違って、日本(特に東京)での食事はその前後が難しい。街にはお店がたくさんあって、ジャンルも色々あって、それこそイタリアンを出た後に鰻の香り、なんてのはよくある。そうした唐突な感じがどうにも苦手。今回紹介するのは井の頭公園の近くにある「ヴィッラ・マニョーリア」なんだけど、吉祥寺駅からではなく、井の頭公園駅から井の頭公園の池沿いを散歩しながらお店へ向かうことに。夕方の散歩が楽しい季節になったので、より良いよね。

珍しいパスタもメニューに並ぶ、吉祥寺「ヴィッラ・マニョーリア」

  

お店の内装は古木をふんだんに使っているので、席に着く前から落ち着く。こういう気取らない内装は、吉祥寺に来る若者も好きだよね、きっと。メニューは、スタンダードなものから僕でも聞いたことがない珍しいパスタがあったりして幅広い。僕はメニュー選びの難しいお店では、前菜は盛り合わせにすることにしている。

  

運ばれてきたお皿は予想どおりとでも言おうか、「茄子のグリル」や「クスクス」といったスタンダードなものだけでなく、「エイヒレのトマト煮」なんていう面白いのがのっていた。シェフの好みが伝わってくる楽しい盛り合わせだ。

とても珍しいカラブリア州のパスタ「ストゥリーデリャ」

  

パスタは、聞いたことのない「ストゥリーデリャ」というものにしてみる。何でもカラブリア州のアルバニア系移民が食べるパスタらしい。イタリア南部のつま先にあるカラブリアは、日本人にはあまり馴染みのない土地。僕もイタリア全州を周ろうって決めていなかったら、立ち寄ることはなかったと思う。カラブリア州はナポリのあるカンパーニャ州の隣りにあるのだけど、イタリアの背骨とも言えるアペニン山脈が境になっていて、とても行きにくい。昔の人も、無理して山越えをせず、ナポリのあたりから船でシチリアへ、というのが一般的だったらしい。そんな馴染みのないカラブリアの「ストゥリーデリャ(Shetridhlat)」。「締め付ける(Stringere)」という言葉が由来で、麺棒などを使わず、手に巻きつけてグイグイと伸ばして作るんだって。粉の風味と食感が楽しいので、シンプルなソースにとても良い(この日は同じくカラブリアのンドゥヤという辛いサラミを使ったトマトソース)。

魚介料理と好相性。リグーリア州の白ワイン「ヴェルメンティーノ」

  

ワインはボトルでリグーリア州のヴェルメンティーノをオーダー。リグーリア州とカラブリア州は、ちょっと距離があるけれどどちらも地中海に面していて、この珍しいパスタにも馴染む味わい。ヴェルメンティーノは、スペインからシチリア島とコルシカ島を通ってジェノヴァ(リグーリア州)とピサ(トスカーナ州)に渡ってきたそうで、魚介料理と好相性の白ワイン。このメーカーはヴェルメンティーノの造り手としてはとても有名で、軽い口当たりのものが多い中、穏やかで上品な味わいに仕上げています。

入店前から始まるイタリア流の食事の時間

  

パスタはすこし冒険をしたので、メインはスタンダードな「マグロ頬肉のグリル」にした。格子状に焼き色がついた頬肉に、レモンとパセリ、オリーブオイルのシンプルなサルモッリョソースをかけただけの一皿。ちょっと塩気の効いた頬肉に、ソースの酸味が心地良い。そういえば、イタリアのレストランで働いていた時に初めて教えてもらったのが、このソースだったな、なんて。

吉祥寺は若者の街という印象が強くてあまり足が向かないのだけど、井の頭公園駅を知ってからはちょこちょこと遊びに行っている。今回の食事の前にも、この井の頭公園駅からすぐのところにあるお店でアペリティーボをしてから向かった。イタリア人のように、食事の前後もしっかり楽しむ。ちょっとした余裕なんだけど、これがけっこう大事なんだよな。

ハヤシコウ

ハヤシコウ

この記事を書いたライター情報

FOOD PORT.

FOOD PORT.

美味しい日本が集まる港 をコンセプトとした、日本の食文化を発信するウェブマガジン「FOOD PORT.(フードポート)」。最新ニュースやレストラン情報、編集部独自のコンテンツなど、FOOD PORT.独自の視点で発信していきます。

FOOD PORT. が最近書いた記事

おすすめのコンテンツ

連載