福岡・警固に人気焼き鳥店が手がけるひな鶏の素揚げ専門店が登場
2021/02/21
焼き鳥や水炊きなど鶏料理をこよなく愛す人が多い福岡に2020年11月、新たな鶏料理専門店がお目見え。こだわりの焼き鳥で知られる「鳥いち」が手掛けるのは、福岡では珍しい鶏の素揚げをメインとした酒場「小烏(こがらす)」だ。食通の間で話題の店の、人気の秘密を紹介しよう。
Yahoo!ライフマガジン編集部
鶏を知り尽くす職人が柔らかな雛鳥の魅力を提案する
「小烏」は2020年11月9日に福岡市警固にオープン。人気焼き鳥店「鳥いち」のオーナーが店主を兼ねる姉妹店で、福岡では珍しい鶏の素揚げ専門店となっている。
料理は基本的にはひな鶏のむね肉&もも肉の素揚げをメインとしたコースが中心。それに加え鶏の部位ごとの素揚げや揚げ野菜、一品料理などがつまみとして楽しめるようになっている。
\この人に聞きました!/
- 店主の松永さん
- 店主の松永さん
- 「福岡では鶏の素揚げ専門店はほとんど見かけませんが、全国には個性豊かな専門店があり各地で親しまれています。僕自身も東京の名店でそのおいしさに衝撃を受けたので、福岡の人にも鶏の素揚げの魅力を知ってほしいと思い新店舗をオープンさせました」
- 店主の松永さん
- 店主の松永さん
- 「僕自身が食鳥処理衛生管理者という資格を持っており、『鳥いち』は丸鶏を一から自分でさばいて串を打つ福岡でも数少ない焼き鳥店となっています。そこで、素揚げとは違う新鮮な肉質を味わってもらえるように、鳥刺しだけは若鶏を使うようにしています」
- 店主の松永さん
- 店主の松永さん
- 「55日程度育てる若鶏に比べ、生後37〜40日で出荷されるひな鶏は、身のやわらかさが特徴。うちは鹿児島産のひな鶏を鮮度のいい状態で送ってもらっています」
- 店主の松永さん
- 店主の松永さん
- 「味付けは塩のみとシンプルなのですが、実は揚げる前に塩を振ったあと2〜3日間、冷蔵庫の中で風干ししています。そうすることで、鶏肉が熟成されて濃厚なうまみが引き出されるんです」
衣を付けないため、鶏本来の風味や食感がダイレクトに味わえるのが素揚げのウリ。さっぱりとしたむね肉と、適度な脂がありパンチのきいたうまみのもも肉を同時に提供することで、部位ごとの特徴を食べ比べできるのも嬉しい。
鶏の素揚げは単品でも注文が可能。「むね肉」、「もも肉」はそれぞれ880円で追加できるほか、「ヤゲン軟骨」「くび」「あばら肉」(各440円)など珍しい部位もそろうので試してみたい。
「鶏スープ」は本店の「鳥いち」でもファンの多いメニュー。親鳥など出汁がしっかりと出る鶏ガラを大量に使ってじっくり煮詰めたスープは、まろやかな口当たりで鶏のうまみがしみじみと感じられる逸品。「鶏雑炊」はそのスープを使い、鶏ひき肉やネギを加えてさらりと食べられる雑炊に仕上げている。
- 店主の松永さん
- 店主の松永さん
- 「店内にはワインセラーを備えていて、国産の珍しいワインのほか、フランスやイタリアの自然派ワインも手頃な価格で提供しています。日本酒は4〜5種ほどあり、季節ごとに変えています」
厨房と客席が一体となったライブ感のある空間
「小烏」があるのは国体道路と大正通りが交わる、警固四角のすぐ近くに建つレトロなビルの1階。本店の「鳥いち」とは目と鼻の先で、両店ともに通う常連も多いという。
- 店主の松永さん
- 店主の松永さん
- 「板場を囲むように席を配置したり、あえて客席の隣に冷蔵庫やワインセラーを置くなど厨房の中でご飯を食べているような、ライブ感のある空間にしています。調理する際の音や香り、スタッフの動きなども楽しんでほしいですね」
\3密対策、やってます/
「鶏料理店ではあるけれど、酒場のように自由に使ってもらえたら」と話す松永さん。実際に「鳥いち」よりもワインや日本酒、そして希少なクラフトジンなどお酒を楽しむ人の割合が高いそうで、鶏の素揚げとつまみをアテに酒を飲む、角打ち的な使い方もありだという。人気メニューがひととおり楽しめるコースもよし、気になるメニューをアラカルトで頼むもよし。その日の気分によって、鶏と酒を楽しめる気軽さが「小烏」の一番の魅力だろう。
※記事で紹介している料金は、2021年2月8日時点での情報
※掲載されている料金は、すべて税込
※緊急事態宣言の影響によって、営業時間やサービス内容が変わる場合があります。お店のホームページ(HP)やSNSなどでご確認の上、お出かけください。
取材メモ/福岡ではあまりなじみのない鶏の素揚げ。揚げる前に風干しすることで、柔らかいながらも凝縮された鶏のうまみはくせになる味わいで、「小烏」をきっかけに鶏の素揚げ専門店がこれから福岡でも増えていきそうな予感。個人的には看板の素揚げはもちろん、締めの鶏雑炊まで注文して鶏の奥深さを堪能して欲しい。
構成=シーアール 取材・文=陣内研治 撮影=福山哲