東京喰種の原画や新ゲームの詳細も。「石田スイ展」が池袋で開催
2021/02/20
ダークファンタジーコミック「東京喰種」の作者・石田スイの展覧会「石田スイ展[東京喰種▶JACKJEANNE]」が、2021年2月6日(土)〜3月7日(日)まで池袋にて開催。作品の原画や新プロジェクト「ジャックジャンヌ」の制作過程など、見所満載の展覧会だ。
Yahoo!ライフマガジン編集部
「東京喰種トーキョーグール」から新プロジェクト「ジャックジャンヌ」までの軌跡を辿る「石田スイ展[東京喰種▶JACKJEANNE]」
「東京喰種トーキョーグール」は集英社が発行する「週刊ヤングジャンプ」にて、2011年から2018年まで連載していたコミック。人間の姿をした、ヒトを喰らいながら生活する種族「喰種(グール)」が織りなすダークファンタジー。コミックは全世界で累計発行部数が4700万部を超えるなど、世界でも脚光を浴びている。またコミックだけでなくアニメ化や実写映画化もされ、世代を問わず愛され続けている作品だ。
平凡な大学生・金木研が半喰種(人間と喰種の間の存在)となってしまったことから展開される「東京喰種トーキョーグール」。金木は大学に通いながら、喰種が集う喫茶店「あんていく」でアルバイトをすることになり、そこで多くの出会いを経て成長していく。
心はヒトでありながらヒトの命を奪うことに葛藤や疑念を覚えつつ「ヒトと喰種どちらの世界にも居場所を持てる唯一の存在」として、ヒトと喰種が混在する東京のあり方を提案しながら、金木の運命を描いたストーリーだ。
喰種の見た目は人間と同じため、彼らは人間社会に溶け込む。そんな中で人間と喰種が戦わざるを得ない使命感や絶望など、キャラクターの心情を丁寧にすくいながら物語が繰り広げられてゆく。
そんな大ヒットコミック「東京喰種トーキョーグール」の連載を終えた石田スイが次に手がけたのは、劇団役者の育成をしながら公演を行う「ユニヴェール歌劇学校」を舞台にしたゲームソフト「JACKJEANNE(ジャックジャンヌ)」。とある出来事がきっかけで、女性であるにも関わらずユニヴェール歌劇学校に入学することになった主人公・立花希佐(たちばな・きさ)が、学校の仲間とともに「最優の称号」を目指すストーリーだ。繊細ながら力強い筆のタッチはそのままに、石田スイの世界観を堪能できる少年歌劇シミュレーションゲームとなっている。
「石田スイ展[東京喰種▶JACKJEANNE]」では、“石田スイの世界を追体験、〜ゼロから作品が生まれるまで〜。”をテーマにし、「東京喰種トーキョーグール」や「ジャックジャンヌ」の制作過程、貴重なアナログ原画など、石田スイによるイラストと資料を多数展示。それだけでなく、アニメ「東京喰種トーキョーグール」のオープニングをリミックスさせた、音楽と映像が融合した空間も鳥肌ものだ。
なお、今回紹介する東京・池袋での開催のほか、2021年4月10日(土)~5月16日(日)に福岡でも開催を予定している。
コミック初期のカラーイラストの展示や「あんていく」の空間を再現した「東京喰種トーキョーグールエリア」
「あんていく」の制服姿で眼帯をつけた金木、そこで出会った喰種・霧嶋董香(きりしま・とうか)、大学で唯一の親友である永近英良(ながちか・ひでよし)、そして謎の女性・リゼのカラーイラストが。鮮やかながらどこか儚げなタッチで、各々の心情を汲んでいるかのようなイラストがこれほどまでに多く見られるのは、今回の展覧会のみ。
「東京喰種トーキョーグールエリア」では、イラストの展示のほかに『東京喰種 ZAKKI:re』の「石田スイへの質問」募集企画「石田スイ直筆の手紙」を初公開。返答は100以上あり、今まで謎に包まれていた石田スイの日常が垣間見える貴重な展示だ。テーマになっている「石田スイの世界を追体験」できるのはもちろん、石田スイの人物像を思い浮かべながら展示を見ると、より一層作品への理解が深まるはず。
喰種が唯一人間と同様に飲むことができるコーヒー。なかでも「あんていく」で提供しているコーヒーは格別なものだそう。ここで喫茶店の役割のほか、「あんていく」の店長・芳村(よしむら)を中心とした互助組織で「仲間を助け合う」という方針を掲げ、貧しい喰種のために人肉を加工し、提供する役割も担っている。
そんな「あんていく」の空間を見事に再現したエリアが、今回の展覧会に登場。木製のカフェテーブルが並び温かみが感じられ、作品の登場人物になった気分を味わえる空間だ。
「東京喰種トーキョーグール:re」では、喰種だった記憶を失くした金木が、新たに喰種捜査官・佐々木琲世(ささき・はいせ)として登場。こちらのエリアでは金木の脳内で繰り返し発される、喰種捜査官や敵たちの言葉の数々が並ぶ。
中性的な見た目で一見穏やかそうに見えるが、残虐な攻撃を次々に仕掛ける喰種捜査官・旧多二福(ふるた・にむら)や、若い頃から喰種捜査官として活躍する有馬貴将(ありま・きしょう)、ナイフのみで喰種を捕食する鈴屋什造(すずや・じゅうぞう)の、印象的なシーンを描いたフルカラーのイラスト。ハイセへ向けた言葉の羅列が、どこか悲しげで、必死で訴えかけているようだ。
「ヒトが喰われる」「喰種と人間が争う」といったシーンが多々登場し、残虐で過酷な思いをする登場人物が描かれていることが多い「東京喰種トーキョーグール」。しかしそこには、人間への憧れを持った善良な喰種や、孤独ながら生きるために必死にもがき、大切なものを守ろうとする姿など、各キャラクターの繊細な心情が石田スイの独特なタッチで描かれている。今回の展覧会は、そんなキャラクターたちのより奥深い心情が汲み取れる、充実度の高い展示が数多く並んでいるのが特徴だ。
ゲームの制作過程や企画資料の一部を展示「ジャックジャンヌ」エリア
「東京喰種トーキョーグールエリア」を抜けると、白を基調としたリッチな雰囲気漂う「ジャックジャンヌエリア」が登場。ゲーム内で流れる音楽をイヤフォンで聴くことができるコーナーや、キャラクターのラフ、石田スイをはじめとしたクリエイターらの作品への思いを綴った対談など、ゲームの制作の裏側を覗ける貴重な展示が並ぶ。
個性あふれる、主人公含め6人のキャラクターの詳細を紹介したこちらのエリア。生徒らの性格や舞台に対する思い、役柄の詳細は展覧会に訪れてみてからのお楽しみ。
展覧会限定オリジナルグッズ紹介
「東京喰種トーキョーグール」シリーズのグッズは、展覧会のために描き下ろしされたメインビジュアルのキーホルダーやクリアファイル、外出時に着用したい、デザイン性の高いコットンシャツやマスクなどの多種類の商品を展開。A4サイズのポスターやアクリルアートは自宅に飾って、部屋にも物語の世界観を彩ってみてもいいかも。
「ジャックジャンヌ」シリーズで展開するグッズには、各キャラクターが描かれたクリアファイルや食器類、ポストカードなどを展開。メインの6人のキャラクターが揃うジークレーは、カラフルで目を引き、お家時間を豊かにしてくれそうなデザイン。ワンコイン以下で手に入る缶バッジは、制服を着た姿・舞台用の衣装を着た姿の2種類があるので、好きな装いのキャラクターを見つけてみてはいかが?
また、今回の展覧会のほぼ全てのイラストや資料が掲載されている公式図録も販売。図録を含めグッズはすべて会場限定での販売なので、ぜひ手に入れてみてほしい。
<開催概要>
「 石田スイ展[東京喰種 ▶ JACKJEANNE]」
【東京】
開催期間:2021年2月6日(土)~3月7日(日)
会場:池袋・サンシャインシティ 展示ホールA
時間:平日:13:00~20:00/土日祝:10:00~20:00
【福岡】
開催期間:2021年4月10日(土)~5月16日(日)
会場:福岡アジア美術館
<チケット>
全日日時指定制
入場料:2000円、特典付入場券:3500円
特典付入場券には「石田スイ展開催記念チケット&クリアしおりセット」付き
ⒸSui Ishida/SHUEISHA ⒸSui Ishida/BROCCOLI
※Nintendo Switchは任天堂の商標です。
池袋で、石田スイの世界観を体験してみよう
石田スイの作品への思いを、イラストだけでなく文章や映像を通して垣間見ることができる「石田スイ展」。コミックやアニメなどでは得ることのできない、よりキャラクターの奥に潜んだ心情を感じられた展覧会でした。ぜひ一度訪れて、石田スイの世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。
取材・文=赤羽咲希(シーアール) 撮影=小林岳夫