現在、朝ごはんは手軽にパン派という人が多い中、やっぱり一日のはじまりは和食がいい! と思っている人も多いはず。今回はそんな和食派の人は必見! 早起きして食べに行きたい、ダシで「和」を感じる朝ごはんを紹介。
Yahoo!ライフマガジン編集部
専門店もじわじわ増加中! 今、ダシが騒がしい
2013年に「和食」がユネスコ無形文化財に登録されてからというもの、世界中で和食への注目が集まっている。
日本のダシには、日本人だけが感じることのできる味覚、「うま味」があると発見されたことで日本でも改めてダシへの関心が高まっているのだ。そんな中、日本の伝統、ダシを決め手に朝食界に新風を吹かせるお店が続々登場!
【ダシを存分に味わえる朝ごはん3選】
1. お椀の中で和洋が融合! 独自のダシで勝負する『おだし東京(品川)』
2. 贅沢素材、鯛を優しいかつおダシで食す『築地寿司清 東京駅グランスタ店(東京)』
3. 昆布のうま味たっぷりな白がゆが胃袋に染み渡る『カユ・デ・ロワ 亀沢店(錦糸町)』
1.おだし東京(品川)
【朝メニューデータ】
営業時間:7:00~10:00
価格帯:580円
ジャンル:味噌汁、おかゆ
だし:かつお、昆布、干し椎茸、フュメドコキーユ、オマール海老、鶏、他
和洋折衷のダシ『オマール海老の味噌汁』&『はかた一番どりの朝粥』
品川駅改札内のエキュート品川サウス内のある「おだし東京」。毎朝忙しく人々が往来する品川駅で、ひと際ゆったりと時間が流れるこのお店では、和と洋のダシを使ったお味噌汁やおかゆを楽しむことができる。
実は「おだし東京」は、スープストックトーキョーが手がける日本の食文化を楽しめるお椀の専門店。
もともと、「スープストックトーキョーでお味噌汁を出してほしい!」という要望を受け、開発に開発を重ねることで、スープストックトーキョー創業から17年越しに生まれたお店だ。日々品川駅を利用するサラリーマンやOLはもちろん、外国人旅行者などにも人気なのだそう。
スープストックトーキョーの定番である『オマール海老のビスク』をヒントに、手間暇をかけて作られた「オマール海老の味噌汁」。オマール海老の殻を砕いて炒め、じっくり煮込むなど家庭ではなかなか真似できない工程を経て取られたダシは濃厚だ。
そのほか、かつお節、いわし煮干、昆布、干し椎茸、干しアジの和のダシ、そしてフレンチで使用するフュメドコキーユというあさりのダシが使用されている。和と洋のダシが調和し、舌でうま味の元を探りたくなる面白さをもつ味噌汁だ。
お麩の代わりにパンのクルトンを使用するなど、具材も和洋折衷。パンのお麩は最初はサクサク、少し時間がたつとダシが染み込みジューシーな仕上がりだ。お椀1つでたくさんのダシのうま味や食感を楽しめる。
「おだし東京」の朝メニュー、もう一品は「はかた一番どりの朝粥」。こちらも、かつお節、昆布、干し椎茸、アジなどの和風ダシのほか、鶏と野菜をベースにしたコンソメヴォライユ、鶏白湯、チキンブイヨンなど、おかゆという名のまぁるい地球に各国のダシが凝縮されている。
トッピングに、ドライトマトの酢漬け、レモンの皮が入ったじゃこ、カリカリに揚げた春巻きの皮、漬物の4種がついてくる。お好みのトッピングでオリジナルのおかゆを作ってみるのも楽しい。
サラサラとスープのように食べられてしまうおかゆだが、「おだし東京」の朝がゆには鶏つくねが3つも入っているので食べ応えも十分だ。つくねから出る鶏のダシがより一層、おかゆの風味を濃厚にしてくれている。
お味噌汁におかゆ、一見どこの家庭でも作ることができそうなメニューだが、おだし東京では、和風ダシと洋風ダシを調和させ、ほかには真似できない風味を作り上げている。これもスープストックトーキョーで培ったダシを重ねることでうま味に奥行を与えるこだわりが生み出すものだ。
特別なダシでいつもの通勤・通学がちょっと特別な時間になる、そんな「おだし東京」、少しだけ早く家を出て立ち寄ってみてはいかがだろうか。
2.築地寿司清 東京駅グランスタ店(東京)
【朝メニューデータ】
営業時間:7:00~10:00
価格帯:670円〜1600円
ジャンル:ダシがけ、お茶漬け
だし:かつお
味や食感の変化も面白い!
かつおダシでいただく『鯛胡麻だれ』
東京駅の丸の内地下中央改札からほど近く、飲食店の並ぶエリアにある「寿司清 東京駅グランスタ店」。店頭はいつもお寿司を買い求めるお客さんでにぎわっている。
ここではお寿司屋さんならでは! かつおダシで “2度おいしい”朝メニューを食べることができる。
朝7時の開店と同時に席はお客さんでいっぱいになるのだそう。店内はコンパクトながら、駅ナカということもあり回転率は早い。
注文後、ほどなくして運ばれてくる鯛胡麻だれ。忙しいサラリーマンや、時間の限られた旅行者にとってはうれしいポイント。
まずは、白いご飯の上に胡麻だれをたっぷり絡めた鯛を乗せて、海鮮丼風にしていただく。白いご飯と、さっぱりとした味わいの鯛を濃い目の胡麻だれがしっかりとつないでくれている。
次はかつおダシを回しかけ、お茶漬け風に。胡麻だれを多めにかけると味がしっかりとしまる。アツアツのダシにより、鯛に少し熱が通ったふわふわの食感と、生の部分のプリッとした食感を一度に楽しめる。
ご飯は多めだが、かつおダシの優しい風味と食べやすさで、サラサラと完食してしまう。女性でもペロリと平らげてしまう人が多いとのこと。
お寿司屋さんではお寿司や海鮮丼しか食べられなくて朝にはちょっと重い……なんてイメージを持っていた人もいるのではないだろうか。
しかし、寿司清 東京駅グランスタ店で提供されている鯛胡麻だれは、駅ナカという特殊な場所、それを利用する人に寄り添った「和」のおもてなしのたまものだ。かつおダシで2度おいしい鯛の胡麻だれ、旅行の出発前などにぜひ味わってみて欲しい。
3.カユ・デ・ロワ 亀沢店(錦糸町)
【朝メニューデータ】
【朝メニューデータ】
営業時間:8:00~11:00
価格帯:400円
ジャンル:おかゆ
だし:昆布
昆布のダシでおいしさが引き立つ、
体に染みるシンプルな『朝粥セット』
錦糸町駅北口の大通りを左手にまっすぐ歩くと見えてくる赤い看板のお店「カユ・デ・ロワ」。
おかゆの専門店であるこちらお店では、昆布ダシの白がゆを食べることができる。シンプルゆえのダシのうま味の深さに驚かされるはずだ。
ここ、「カユ・デ・ロワ」では、中華がゆで使われる鶏のダシをはじめ豚や牛などからダシをとったおかゆが提供されている。しかし一風変わっているのが、味付けやトッピング。
グランドメニューではチーズや牛スジなどのトッピングがあしらわれ、おかゆが入った器ひとつで、食事として成り立つほど個性の際立つものばかりだ。
朝粥セットはとにかくシンプル! 昆布ダシのみを使い、じっくりと調理されている。一人前に使用されているご飯の量は通常のおにぎり1/3程度だそう。ヘルシーなため、ここのおかゆを1ヵ月間食べ続けて、健康診断の数値が下がったという人もいるのだとか。
まずはそのまま、昆布ダシのうま味を味わう。シンプルがゆえに、ダシの味わいが口いっぱいに広がる。
白がゆでダシを味わった後は、トッピングで味を変えて食べるのもおすすめ。アクセントにぴったりな濃い味の昆布佃煮はダシともぴったり。あおさは白がゆに溶け出し、また違った舌触りで楽しませてくれる。
おかゆといえば、体調の悪い時などに食べるものと思いがち。しかし、ここではしっかりとご飯の中のひとつのジャンルとして確立している。
おかゆとあなどることなかれ、とろみがありダシがしっかりと効いたおかゆは食べ応えも抜群! おなかが空いているときにこそ食べて欲しい一品だ。
取材メモ/和食の基本であるダシ。しかし、朝から本格的なダシを取って朝食を作って……という工程は、忙しい現代人にとってハードルの高いもの。今回紹介した3店舗は、家庭ではなかなか味わえない、本格的なダシを味わいたいときにぴったりなお店ばかり。
「朝は和食派!」という人も、そうでない人も、優しいダシの味わいで日本人であることの喜びを味わってみてはいかがだろうか。
取材・文=Rina Onodera 写真=高司玲、田中和弘