カフェから演芸場まで シチュエーション別に落語を楽しんでみた

特集

そろそろ落語に行ってみたい!

2017/04/10

カフェから演芸場まで シチュエーション別に落語を楽しんでみた

江戸時代に生まれ、時代を超えて現代も多くの方に親しまれる大衆芸能「落語」。とは言え、伝統芸能独特のルールも色々ありそうで、興味はあるけど敷居が高そう…なんて人も多いのでは? そこで今回は、気軽に楽しめるカフェから本格的な演芸場まで、段階的に紹介します!

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

取材したのはこの人

鼻毛の森(はなげのもり)

鼻毛の森(はなげのもり)

シンガーソングライター

若手の成長を実感できる「会いに行ける落語家」的なカフェ

シンガーソングライターの鼻毛の森です。サングラス姿で失礼します。

今回は、「行きやすそうな」カフェから徐々に「敷居の高そうな」演芸場を目指す、“落語の階段上る”シンデレラ企画です。まあ、男ですけど。

最初の目的地は東京随一の古書街・神保町の「神田古書センター」。その中に入居する『らくごカフェ』で毎週火曜に開催される「定例会」にお邪魔しました!

古書センタービルの真裏から入る隠れ家感にワクワク!『らくごカフェ』へGO!

『らくごカフェ』は、神保町「神田古書センター」内で2008年にオープンしたコンセプトカフェ。店内は関連のCD、DVD、本が並び、手ぬぐいなど落語グッズで装飾されています。昼はカフェ、夜は寄席と2つの顔を持ち、常設のステージで定期開催される若手主体の落語会が人気なのだとか。

寄席時に撤去するテーブル以外は、本格的な寄席仕様の店内

同店スタッフ、渡邊友惟(ゆい)さんに、この店の成り立ちについてお話を伺いました。

渡邊さん
渡邊さん
私は学生時代、こちらがオープンした頃に落語にはまりまして、足しげく通っているうちに、アルバイトさせて頂くことになり、気が付けばいつの間にか就職しておりました(笑)。
鼻毛
鼻毛
では草創期を知っていらっしゃるんですね。もともとはどういうコンセプトで始められたのでしょうか。
渡邊さん
渡邊さん
演者さんから見ると、ミュージシャンが育つライブハウス的のような、若手の落語家が経験をつめるような場所がない。お客様から見ると、寄席や演芸場だとハードルが高く思えるのか、友人を誘っても反応がイマイチなので、もっと気軽なお店があれば行きやすい。そんな意見を聴くうちに、もともと落語好きだった当店オーナーの青木が、“演芸専門のライブカフェ”という発想で作ったと聞いております。
鼻毛
鼻毛
そこに、まんまと渡邊さんが食いついたと(笑)。
渡邊さん
渡邊さん
はい。同級生も「カフェなら行ってみたい」とまんまと食いつきました(笑)。初期の頃は、とくに女性のお客様、若い年齢層のお客様が多くて、私と同じように好奇心はあってもなかなか一歩を踏み出せない方が多いんだなという印象でしたね。今では老若男女さまざまな方がいらっしゃいますが、落語会によっては9割以上が女性の場合もあるんですよ。
鼻毛
鼻毛
それはすごい! ハーレム状態の落語会ですね(笑)。
天井には手ぬぐい、フロアサイドには、落語グッズがびっしり
鼻毛
鼻毛
ステージとの距離感がやっぱり近いですね。どの席も特等席というか。
渡邊さん
渡邊さん
とにかく、生の迫力を感じますよね。若手が多いので、親近感もかなり強いですが(笑)。
鼻毛
鼻毛
迫力と親近感…そのギャップにもドキドキしますね(笑)。
渡邊さん
渡邊さん
芸は本物の演者さんばかりですし、目の前で着実に育っていきます。帰りは演者がお客様をお見送りするんですが、通路が狭いのでこちらの距離もものすごく近いですよ(笑)。
鼻毛
鼻毛
「会いに行ける落語家」的な?ファンにとっては夢を見せてくれるアイドル的存在なんですね!
会場には、ラフな服装の温かい客層がびっしり

オープンから続く、カフェ主催の定例会「らくごカフェに火曜会」は、若手がしのぎを削る鍛錬の場で、真打昇進で卒業が基本ルールという“甲子園的”存在。若手落語家の成長を「同じ場所」で見届けることができるので、とくに初心者には親近感抜群と評判。

この他にも『らくごカフェ』では、春風亭一之輔さんや古今亭文菊さん等の売れっ子若手真打から、ときにはあの林家正蔵さんや柳家喬太郎さんのような大物、さらには講談、浪曲、ピン芸人も登場するとか。多彩な角度で楽しみましょう!

らくごカフェ

住所:東京都千代田区神田神保町2-3 神田古書センター5F
電話:03-6268-9818(平日12~18時)
営業時間:喫茶店営業12:00~18:00(落語会は平日夜や土・日・祝に随時開催)
定休日:不定休

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

有名ライブハウスで落語体験&あの大物に直撃成功!

さて、カフェに続く気軽な会場として訪れたのはライブハウス『晴れたら空に豆まいて』。場所は代官山……気品あふれる街並み、ファッション誌から飛び出してきたかのような男女が闊歩する疎外感しか感じないあの街です(※記者の被害者意識です)。

こんなステキなライブハウスで落語をやってるなんて!

通も唸る本格的なライブハウスとして名高い通称・『晴れ豆』ですが、音楽イベント以外でも毎日神ブッキングを重ね、今やノンジャンルのジョイントライブやトークショーの主催でも知られるイベントの聖地となっています。

ちなみに取材日は、落語家・柳家喬太郎師匠プロデュースの“落語+α”イベント「シャクフシハナシ」が開催されるということで…。

イベント毎に様相を変えるライブハウス。既に原型は不明です

喬太郎師匠は、圧倒的すぎる話芸と「ウルトラマン落語」など新しい取り組みで(従来の)落語ファン以外の層の支持を獲得し、「いまもっともチケットの取れない落語家」と呼ばれるカリスマ的存在です。

今回はイベント担当スタッフの粋な計らいで、お店の取材に加え、喬太郎師匠にもインタビューさせてもらえることに! もう、どこまでも“神ブッキング”!

流れるような語り口は、高座さながら。喬太郎師匠、これ、特等席ですよね?
鼻毛
鼻毛
喬太郎師匠のようなベテランが、どうして代官山のライブハウスで落語を?
師匠
師匠
ここは以前もゲストで出たり、御贔屓が貸し切りで呼んでくださったり、度々縁があるなと思いました。このライブハウス自体、面白いイベントを多くやってるからでしょうね。

やがて『晴れ豆』から一緒になにかしませんか、とお話をいただき、そういうのもいいなと思ってね。で、僕が見たい演者と“遊ぶ”イベントを始めたというわけです。
鼻毛
鼻毛
なんか、若手ばりにフットワークが軽いですね(笑)。
師匠
師匠
そもそも落語なんてのは、一番身軽な芸能なんですよ。座布団があって着物持ってくればできる…まあ、なくてもできますよ。私服じゃ雰囲気でませんけどね(笑)。まぁ、せっかくそんなラフな空間だし、普段できないことをやらないと。歳を重ねれば自然と足は重くなる。だから動ける今、いろいろやってるんですよ。
劇場も埋め尽くすほどの観衆が密集した空間は、笑いのグルーヴで一体に

今回の『晴れたら空に豆まいて』でのイベントでは、冒頭に一席、ゲストの演芸を挟んだトリの一席の計二席を披露した喬太郎師匠。特にラストを飾る創作落語での動物園の描写が生々しくも馬鹿馬鹿しく(※もちろん絶賛の意味です)、圧巻の舞台でした。

鼻毛
鼻毛
今回は講談、浪花節と三味線…異種格闘技戦・ガチンコ対決の様相が。
師匠
師匠
いや、演芸場では普通にありえる組み合わせですよ。ただ、いつもと違う空間でやるからこそプラスの何かが起こるかも、なんて期待が湧きますよね。やってみないとわからないですけど。
鼻毛
鼻毛
確かに、ここまで観客が密集する光景も、椅子席据え付けの劇場では異常ですものね。
師匠
師匠
ここだから来られるお客さんもいますし、寄席の常連さんも見なれない光景を楽しんでますよ。
鼻毛
鼻毛
あ、そうなんです。その常連さんが来るような寄席って、やっぱり事前の勉強が必要なのかなって、行くのをためらってまして。
師匠
師匠
勉強なんていらないですよ(笑)。伝統だとかしきたりだとか、通ぶって教える方もいるかもしれませんけど、そんなのは聞かなくていいです。寄席にも気軽に笑いに来てくださいね。演芸ですから。

喬太郎師匠の司会による演者総出演のエンディングトークショー(アンコールの代わり?)も約30分と大サービス。会場全体が身を寄せ合い、心置きなく大爆笑を重ねる光景は、ライブハウスならではの盛り上がりなのかも! 場所が変われば見え方も変わる…演芸の新たな楽しみ方を堪能しました!

晴れたら空に豆まいて

住所:東京都渋谷区代官山町20-20 モンシェリー代官山B2
電話:03-5456-8880
営業時間・定休日:イベントによる

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

途中退席&飲食持ち込みOK 池袋演芸場の敷居が低すぎた件

喬太郎師匠のインタビューを経て、勢いでやってきましたのは池袋。目的地は、池袋駅西口交番すぐ近くの『池袋演芸場』。カフェ、そしてライブハウスとしっかり段階を踏んで、いよいよ演芸場デビューです!

池袋駅西口交番も目前の池袋演芸場は安心・安全な大衆の味方です!

それでもやっぱり初の演芸場は緊張します! 入り口前で怖気づき、モジモジウロウロしている僕にわざわざ声をかけてくれたのは、番頭の印出井(いんでい)さんでした。

「どうぞどうぞ、好きに見ていってください!」(印出井さん)

おやおや?
なんだなんだこのウェルカムすぎる空気感は。
最初から来ればよかったよ!

番頭の印出井さんが案内してくれた舞台。テレビで見たような光景です!
番頭
番頭
カフェやライブハウスとは形は違いますけど、演芸場も気軽さは一緒ですよ。今日なんかは、お昼から晩まで8時間通しの寄席なので、出入りも自由ですから。
鼻毛
鼻毛
え、そんなノリなんですか?途中退席なんて、マナー違反な感じで気が引ける…。
番頭
番頭
演芸場は、飲食も自由ですよ。持ち込みも自由。
鼻毛
鼻毛
自由すぎですよ。持ち込みオッケーとか最高すぎます。
番頭
番頭
とはいえ、お酒だけはごめんなさいですけどね。
鼻毛
鼻毛
そりゃあ、舞台を見るんだからアルコールはさすがに。
番頭
番頭
上野、浅草はたぶん大丈夫ですよ(笑)。
鼻毛
鼻毛
芸に酔えれば十分です! お酒に酔いすぎたらゲ~ですし…あ、座布団もらっていいですか!?
一番のおすすめは3~4列目の中央。良い席は朝一番に!

朝から晩まで飽きずに入り浸れる絶妙な演者幅は、歴史ある演芸場だからこその組み合わせ。3~4列目の中央がベストポジションとのことですが、常連さんは最前列かぶりつきを好むので、「初めての方でも気軽にいい席確保できますよ!」と番頭の印出井さん。演者に顔を覚えられるのも常連の特権・・・僕も3~4列目あたりから1列でも前に出られるように日々精進します!

池袋演芸場

住所:東京都豊島区西池袋1丁目23-1
電話:03-3971-4545
営業時間:12:30~20:30(21日~30日は14:030オープン)
定休日:無休

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。

結論! 落語は生活密着型エンタテイメント

気分が乗ったらいつでもGO! 振り向けば落語。東京っていいね!

落語、最高です。正直、食わず嫌いでした。今回の取材でわかったことは、落語というのはいつの時代も四の五の言わず笑いたい人のニーズを満たしてきた大衆娯楽であるということ。

だから難しく考えたり、構えたりする必要なんてなくて、カフェであろうかライブハウスであろう、演芸場であろうが、目の前で繰り広げられる話芸をただただ楽しめばいいわけです。

巧みな言葉遣いで、感動すら起こしてくれる「体一つ」のエンタテイメント。僕らも肩肘張らず「体一つ」で楽しむのが礼儀ですね。


取材・文・写真/鼻毛の森

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