公園は子どもだけの場所? いいえ、大人ならではのオツな公園の楽しみ方もあるんです。『東京空気公園』(主婦の友社)著者でフォトグラファーのtsukaoさんと、人気公園紹介サイト「1000円もって公園へ行こう!」を運営する奈良紀子さんがとっておきの公園の過ごし方を教えてくれました。
Yahoo!ライフマガジン編集部
公園に「助けられた」経験をもつ二人のとっておきの過ごし方とは?
4月某日、昼下がりの「中目黒公園」に集まっていただいたのは、公園に縁もゆかりもお持ちのこちらの女性お二人!
【お話を伺うのは……】
tsukaoさん
フォトグラファー
奈良紀子さん
スマイルデザイン代表
——tsukaoさんは2011年に東京の公園について綴った『東京空気公園』(主婦の友社)というご本を出されて、奈良さんは公園紹介サイト「1000円もって公園へ行こう!」を運営されていますが、公園のどこに魅力を感じているのでしょうか?
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「その辺にある名もない公園だけど、例えば仕事帰りにちょっと一息ついてコーヒーを飲むとか、毎日犬の散歩に行くのを日課にしているとか。空気のようにそこにあって、でも大切な公園。そういう場所が好きですね」
\こちらが著書の『東京空気公園』/
『東京空気公園』
主婦の友社
東京にある空気のような存在の公園を紹介したtsukaoさんの著書『東京空気公園』(主婦の友社)※現在品切れ中
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「以前から、tsukaoさんのご著書を存じ上げておりました! サイトを作るために公園情報を求めて本を探していると、必ず『東京空気公園』にたどりつきます。今日はお会いできてうれしい!」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「ありがとうございます! それぞれの人にとってホッと一息つける『空気公園』を心の中に持っていると、毎日がちょっとずつ楽しいんじゃないかな、という問いかけの想いを込めて本にしたのです」
tsukaoさんが公園を写した作品は……
地図を片手にまだ見ぬ緑地帯を探す喜び!
——公園が好きになったきっかけを教えてください!
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「子育てでずっと家にこもっていると、ストレスがたまってしょうがなかったんです。そんなとき公園に行けば、子供たちは思いっきり駆け回れるし、私もストレス発散できて気持ちが楽になって。子供を遊ばせるという名目で、本当は私が外に出たかったんですよ」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「公園って開放感があって気持ちいいですもんね!」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「もう雨の日でも傘をさして公園へ行っていました(笑)。本当にそのくらい公園に助けられたので、私のように家事や子育てに悩んでいるお母さんが肩の力を抜いて『ちょっと公園に行ってみようかな』と思えるように、公園サイトを作ったんです」
——誰もが現実から少しエスケープできるサンクチュアリとしての役目も公園にはあるのですね。お二人はどんな風にお気に入りの公園を探されているんでしょうか?
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「私の子育て時代はインターネットでの情報が少ない時代でしたので、地図を片手に『ここは公園だろうな』という緑の部分を探しに行ったりしていましたね」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「分かる! 私も携帯でマップを見ながら『ここ、緑色だからちょっと寄ってみよう』みたいなノリです」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「実際行ってみたらゴルフ場だったり、ただの緑地とかね(笑)。思いのほか道のりが遠かったり、でもそんなちょっとしたアクシデントも楽しいんですよ」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「ふらっと通りすがりに出会う公園もありますね。銀座にある『数寄屋橋公園』はまさしくそういう場所」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「え、銀座にも公園があるんですか!?」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「そう! しかも銀座駅の目の前に。オフィスから抜け出してきたと思われるサラリーマンがいっぱいいたりね(笑)。きっと都会のオアシスなんだろうな〜って」
「何もしない」が究極の楽しみ方!?
——では、いよいよ本題です。公園にひとかたならぬ思いをお持ちのお二人が、公園をどんな風に楽しまれているのか、教えてください!
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「私は、『何もしない』ですね! 仕事や家事とか、普段は何かの目的に向かって頑張んなくちゃいけないけれど、公園には、そういう目的が何もない時間を過ごしに行きます」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「同感です。私は一人ベンチに座って、楽しそうに遊ぶ子供たちを眺めながら、ただぼーっとする時間も好きです。小さいお子さんがコロコロ笑う声とか、聴いているだけで癒やされます〜」
——「何もしないをしに行く」ってなかなかオツな楽しみ方ですね!
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「何も考えずに、とりあえずワイン1本とおつまみを買いこんで。気の向くまま音楽を聴いたり、読書したり……で、飽きたら寝る!(笑)」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「私はレジャーシートさえあれば、楽しめます! 子供と行くときはおにぎりとバナナを持って、かわいいお弁当じゃなくても外で食べれば、それはごちそう」
公園のプロが選ぶ、おすすめの公園はココ!
——ではここで、お二人の心の琴線に触れるとっておきの公園を教えてください。ちなみにカメラマンであるtsukaoさんは、思わずシャッターを押したくなる公園の風景や瞬間って、ありますか?
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「そうですね、雨上がりの『代々木公園』かな。雨が降ると公園に結構な大きさの水たまりができるんですけど、その水たまりに映った緑がすごくキレイで」
雨上がりに出かけたい
「代々木公園」@渋谷区・代々木
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「すごくキレイ!! 鏡のように映るんですね!」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「『代々木公園』は水はけがいいので、1日で消えちゃう光景なんですけど、その儚さも写し込んでいる気がして。雨上がりにパッと晴れると『よし、代々木公園、行こう』って出かけます」
スコーンと抜けた空が心地よい
「中目黒公園」@目黒区・中目黒
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「次に、今日の対談の場所、『中目黒公園』ですね。実はこの公園の向かい側が修行時代の師匠の事務所だったんですよ。めちゃめちゃに怒られすっごいヘコむ毎日で、よく大泣きしながらここに来ていました!」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「奥にあるベンチから上を見上げると、都心なのに空がスコーンと抜けてるので、この場所のことを『宇宙船』って勝手に呼んでいたんですよ。たまに『このままウィ〜ンって飛んで行かないかなぁ』なんて現実逃避したり(笑)。つらいとき、この公園には何度も助けてもらいましたね」
中目黒公園
住所:東京都目黒区中目黒2-3-14
営業時間:24時間開園
※健康とスポーツの広場は次の時間帯を閉鎖。 冬季期間以外(4月から10月)19:00から6:00まで閉鎖、冬季期間(11月から3月)17:00から6:00まで閉鎖。
定休日:なし
- 口コミ・写真など
※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。
蒲田にタイヤのゴジラが来襲!
「西六郷公園」@大田区・蒲田
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「通称・タイヤ公園と呼ばれる『西六郷公園』もおすすめです。こんなにタイヤがある公園は他にないんじゃないかなってくらい至る所にタイヤが転がっていて、特に子供たちは大喜びだと思います! それを転がしたり積み上げたり想像力豊かに遊べるのも魅力ですね」
西六郷公園(タイヤ公園)
住所:東京都大田区西六郷1-6-1
電話:03-5713-1118
- 口コミ・写真など
※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。
——お子さんが大興奮すること間違いなしですね! 奈良さん、ほかにもファミリーにおすすめの公園があれば、ぜひ教えてください!
木製遊具がどこか懐かしい
「みさと公園」@埼玉県・三郷市
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「ここはアスレチック風の木製遊具がドーンとある公園。最近は木製の遊具がどんどん減りつつあるんですけど、やっぱり木の温もりを感じられる遊具ってすてきだなと思います」
みさと公園
住所:埼玉県三郷市高州3丁目362
電話:048-955-2067
- 口コミ・写真など
※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。
豊かな自然に癒やされる
「水元公園」@葛飾区
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「『みさと公園』のすぐ近くには、四季折々の自然が魅力の『水元公園』もあります。桜や菖蒲、ポプラ並木がキレイなのでお散歩はもちろん写生なんかしても楽しそう」
水元公園
住所:東京都葛飾区水元公園3‐2
電話:03-3607-8321
営業時間:常時開園
定休日:無休
- 口コミ・写真など
※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。
ピクニックにぴったりの河原沿い公園
「兵庫島公園」@世田谷区・二子玉川
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「二子玉川沿いの『兵庫島公園』はもう本当に河原ですね。調べたら“公園”って名前がついてたので、『あ、公園なんだ』って(笑)。河原と公園を一度に楽しめて一石二鳥!」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「ピクニックしたら気持ちよさそうですね〜」
日本と海外のパークライフはここが違う!
——tsukaoさんは雑誌『TRANSIT』の撮影などで海外にも行かれていると思いますが、日本と海外で公園での過ごし方って違いますか?
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「そうですね、ヨーロッパだと、みんな太陽を浴びて焼きたがる(笑)。日焼けしていないと、バカンスに行く時間とお金がない=かっこわるいみたいな感じになっちゃうから、小麦色の肌への憧れがあるみたい。日照時間の短いので、日光をすごく欲してて太陽が出たら『外に行かなくちゃ!』って」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「違いといえば、公園の規則も日本ほど厳しくないかな。これはリオ・デ・ジャネイロの公園なんですけど、こんな風にやんちゃな子供たちが木登りしていても誰も気にしない」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「日本は禁止事項が多いですよね。木登りもしちゃダメって場所がほとんどな気が……」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「海外は公園でも基本的に自己責任!(笑)」
今日から気軽に実践できる“公園の楽しみ方”
——これから5月にかけて新緑も芽吹いて、公園シーズン本番ですね。パークライフ初心者は、まず何から始めるのがいいでしょう?
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「まずは公園ランチから始めてみては! お弁当も最近はすごく充実していて、デパ地下で買ったオシャレなお弁当を持って行ってもステキ」
- tsukaoさん
- tsukaoさん
- 「そうそう! 新宿の伊勢丹とか恵比寿のアトレなど、最近デパートの屋上が庭園になってきているんですよ。まさに空中の公園と言えるのでは? それこそデパ地下でお弁当を買ってそのまま屋上で食べられるので、お手軽でおすすめです!」
- 奈良紀子さん
- 奈良紀子さん
- 「公園って、一人でも大人数でも楽しくて、自然と笑顔になれるのが魅力。心が豊かになれる場所ですよね。ぜひこの春はたくさん公園へ出かけてみてください!」
取材・文=秋山ももこ(mogShore)、撮影=masacova!(対談中のカットのみ)