うまい店には裏がある!? 必食のB面メニューを持つ喫茶店3選

特集

恋するノスタルジック喫茶ー4/13は“喫茶店の日”ー

2017/04/13

うまい店には裏がある!? 必食のB面メニューを持つ喫茶店3選

名喫茶店には、手ごろな価格のおいしい看板メニューがあるもの。ところが、そんな名店にこそ、やや目立たないものの、しみじみとうまい「第2の看板メニュー」が存在するのだ。今回は影の主役とも言える「最強のB面メニュー」を提供する3つの純喫茶を紹介する。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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看板メニューの影に隠れた“いぶし銀”

名物になるほどの人気メニューがある店は、しっかりとした調理技術を持つマスターがいるもの。つまり、そういう店のうまいメニューは決して一つではないというわけだ。そこで今回は、喫茶ファンなら知らぬものがいないほどの看板メニューを持つ都内の純喫茶へ、アナログレコード盤の「B面」のように、目立たないけど味わい深い名品を探しに出かけた。


\B面メニューのうまい店はこちら!/

**1.ロン(四谷)
2.ヘッケルン(虎ノ門)
3.デン(鶯谷)**


1.ロン(四谷)

吹き抜けの2F席がトレードマークの「ロン」

大阪芸術大学を手がけた建築家・高橋靗一(ていいち)氏が設計した「ロン」は、四谷見附交差点にほど近い、外観も内観もモダンでスタイリッシュな名店だ。そんな「ロン」の人気メニューは、「タマゴサンドイッチ」(650円)。

ロンのA面は…「タマゴサンドイッチ」(650円)

「タマゴサンドイッチ」(650円)とホットコーヒー(ブレンド500円)の組み合わせは鉄板
オーナーの小倉さん。店もシブいが店主も相当なもの
ロン店主・小倉さん
ロン店主・小倉さん
ウチのタマゴサンドイッチは、いわゆる「オムレツスタイル」。もう50年近く作っていますが、作家の井上ひさし先生にも、生前よく召し上がっていただきました。おかげさまで多くの方々にご注文いただきますが、多い日はパンがなくなってしまうほど売れる日も。

ーーふわふわした半生の食感と表面の焼けた香りが融合しておいしいですね。

小倉さん
小倉さん
冷めると味が変わってしまうので、マヨネーズで和えるゆで卵のサンドイッチのように作り置きができないのと、できるだけ弱火でじっくり焼かないと焦げやすいので手間がかかります。

B面は…「ミルクセーキ」(650円)

爽やかな味わいが自慢の「ミルクセーキ」(650円)
小倉さん
小倉さん
うちのミルクセーキは、爽やかな甘さが特徴です。いわゆるアメリカのバタ臭い「ミルク“シェーキ”」とは、ずいぶん違う印象だと思いますよ。

ーーそれではいただきます! 確かにスッキリとした味わいです。それと、ほのかにいい香りがしますね。

小倉さん
小倉さん
削ったレモンの皮をほんの少しだけ加えてあるんです。

ーーミルクセーキ独特の優しい味わいに、ふわっとシャープな柑橘系の香りがプラスされると上品ですね。

小倉さん
小倉さん
最近では、海外からの旅行者がミルクセーキを頼むことが多いですよ。スマホで写真を撮っているので、SNSで広まっているのかもしれませんね。建築家の先生に作ってもらった建物も、かなり興味深そうに眺めていますね。

ロン

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


2.ヘッケルン(虎ノ門)

レストランで修行した経験を持つ森さんが腕を振るう

1971年創業の「ヘッケルン」。サイフォンで一杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーと、シンプルで大きな「ジャンボプリン」にファンが多い。

ヘッケルンのA面は…「ジャンボプリン」(単品350円、コーヒーセット600円)

「特製ジャンボプリン」(350円)。コーヒーとセットだと600円とお得
ヘッケルン店主・森さん
ヘッケルン店主・森さん
いい店には「ここにしかない」っていう看板メニューが必要なんです。だから、創業時から飾り気はないけど、どこよりもおいしくて大きいプリンを作ったんです。
名物の「ジャンボプリン」は、カラメルソースが絶品!

——カラメルソースはハチミツのような甘みと濃厚さですね。

森さん
森さん
カラメルソースにはこだわっています。砂糖水を鍋で煮詰めるだけなので、作ろうと思えば10分もあればできるんです。でもウチの場合は、狙ったとろみを出すために1時間かける。最後の1分間で焦がしてしまうと台無しなので、命がけのように集中しています。最後の仕上げ中はお客さんにオーダーを待っていただくこともありますよ(笑)。

B面は…「オムレツサンド」(550円)

ツヤツヤのオムレツが食欲を刺激する
森さん
森さん
メニューには出していませんが、限られた常連さんに愛されているのが「オムレツサンド」(550円)です。

ーーいわゆる「裏メニュー」というわけでしょうか?

表面にムラができないよう均一に火を通し、外側はややしっかりと、中はふっくらと仕上げる
森さん
森さん
そんな大層なものではないですが、オムレツってバターをたくさん使うので、店中に香りが回ってしまうんです。コーヒーを楽しむ方が大勢いる時間帯には作れませんし、カップなども戸の中に仕舞う必要がある。食べてみたい方は、夕方以降で「今オムレツサンドできる?」と、ひと声掛けてくれると嬉しいですね。
宙を舞う妙技を披露することも
森さん
森さん
一人前のオムレツサンドには、3個の卵を使います。焼く前に軽く塩コショウして、フレッシュミルクを少々。パンには薄くマヨネーズを塗るだけです。お客様の好みの焼き加減にもできますが、基本は中をトロ目に仕上げ、パンで挟んだ時にズレないよう、外側はやや固めに焼き上げます。

ーーとてもシンプルですね。

ふんわりと焼き上がった
耳を包丁で落として完成

ーー噛めば噛むほど味がじゅわーっと口の中に広がりますね。

森さん
森さん
プリンもそうですが、卵料理はそうでなくてはいけない。どの料理でもいろいろ入れずに素朴な風味を楽しんでもらうのが私の料理の流儀。でも、お店がいくら味にこだわっても、好みは人それぞれ。自分の好みの味のお店を探し当てるというのが食文化の醍醐味ですよね。

ヘッケルン

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


3.デン(鶯谷)

テイクアウトのソフトクリームも扱う

半世紀近い歴史を持つ台東区根岸の純喫茶「デン」。この店のA面メニューは、何と言っても、くり抜いた一斤の食パンにグラタンソースを満たして焼き上げた「グラパン」(単品850円、ドリンクセット980円)だ。

デンのA面は…「グラパンmix」(単品850円、ドリンクセット980円)

「グラパンmix」は、従来から提供していたエビとハムを融合させたもの
店長・根本さつきさん
店長・根本さつきさん
30年くらい前に、「今日のまかないは何にしようか」と相談した時、「どうしてもグラタンが食べたい」というスタッフがいたんです。喫茶店ですから、小麦粉やバターを始め、グラタンソースの材料はそろっている。ですが、器だけがなかったんです。

——だからパンに入れちゃったと?

根本さん
根本さん
サンドイッチ用のが売るほどありましたから(笑)。発売当初の具はエビのみだったんですが、アレルギーで苦手なお客さんがいて、これまたサンドイッチ用のハムでも作るようになった。で、そのうち「両方共食べたい」と言い出す常連さんがいたので、去年にエビとハムの両方を入れた「mix(ミックス)」も同じ値段で出すようになったんです。
くり抜いたパンをスプーンのようにして食べる

——値段が一緒というのは嬉しいですね。特に嫌いじゃなければミックスいっちゃいますよね。

根本さん
根本さん
もう、エビとハムだけじゃなくて、ベーコンまで入れちゃってますからね。もちろんソースは小麦とバターを炒める自家製なので、かなりおいしいですよ(笑)。

B面は…「ソフト巻きプリン」(500円)

プリンが埋まるほどのソフトクリームがてんこ盛り!
根本さん
根本さん
意外な人気メニューと言えば、1日限定12個のソフト巻きプリン(500円)でしょうか。うちはソフトクリームも得意で、ベースにミルクなどを混ぜて爽やかで軽い味わいに仕上げてあるんです。それを濃厚なプリンにたっぷり乗せました。

——ソフトクリームの爽やかな甘みで、プリンの素朴な味が引き立つようです。これは男性にもファンが多そうですね。

ソフトクリームが逆さに入ったクリームソーダ(550円)も人気だ
根本さん
根本さん
限定12個というのは、仕込みに使うバットにプリン型が12個しか並ばないからなんです。ソフトクリームを使ったメニューだとクリームソーダ(550円)も人気です。ただ、ウチはコーヒーにもかなりこだわっているのも忘れないでほしいですね。メニューにもちゃんと書いてありますからね(笑)。
確かに「喫茶店の店」と書いてるので次回はコーヒーを注文します

デン

口コミ・写真など

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取材メモ/どのメニューも「A面」か「B面」か悩んでしまうほどのおいしいものでした。まず初回は定番のA面を、再訪時にB面を試すのがおすすめ&王道かもしれません。

取材・撮影・文=杉山元洋

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Yahoo!ライフマガジン編集部

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