毎日が劇的に楽しくなる! 達人直伝「自転車ライフのススメ」

特集

楽しい! 自転車ライフのススメ。

2017/04/19

毎日が劇的に楽しくなる! 達人直伝「自転車ライフのススメ」

自転車をとりまく環境は、ブームから文化へとシフトしつつある。すでに自転車のある暮らしを満喫している人も、これから始めようとしている人も注目の自転車の魅力について、“自転車ツーキニスト”の疋田智(ひきたさとし)さんが解説!

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

案内人はこの方!

疋田智さん

疋田智さん

TVプロデューサー・自転車ツーキニスト

身近だからこそ見過ごしがちな自転車の魅力

自転車はペダルを踏むだけで遠くに連れて行ってくれるシンプルな乗り物だ

通勤や通学、買い物に散歩と、自転車ほど日々の生活に密着した乗り物もないだろう。最近ではロードバイクを始めとするスポーツバイクが増え、ヘルシーでエコなガジェットとしても注目されているのはご存じのとおり。

そこで今回は、自転車の達人であるTVプロデューサーの疋田智さんに、社会インフラでもあり、遊び道具でもある自転車の現在について、自転車のある生活を提案する南青山のカフェ「OVE南青山」で、店長の北敏さんを交えて話をうかがった。

疋田智さん(左)と、OVE店長の北敏さん(右)は顔見知りの間柄

——自転車と本格的に関わるようになったきっかけは?

疋田さん
疋田さん
「小学2年の時に宮崎の日南市に引っ越したんです。出身地の東京は公共交通機関が便利でそれほど自転車には乗っていませんでしたが、日南で子どもの足と言えば、必然的に自転車しかなかった。道は広いし車は少ないので走りやすくて、自転車なら自由自在にどこへでも行けると思ったのが原体験でしたね」
北さん
北さん
「スポーツ自転車に出会ったのは、ここで働き始めた10年ほど前のこと。当時のマネージャーがマウンテンバイク(MTB)を貸してくれて、片道23kmの通勤の道のりで使うように。最初に踏み出したときにすっと滑るように走り出すスムーズさに感動したのを覚えています」

ーー最近ではロードバイクが大人気で、高級なモデルに乗っている多くのサイクリストを見かけます。なぜ大きなブームとなったのでしょうか?

「自転車なら自由自在にどこへでも行けると思った」(疋田さん)
疋田さん
疋田さん
「速く遠くへ行ける自転車の力に魅了され、その思い出を胸に秘めたかつての自転車少年が、大人買いできる年齢になったというのもあります。加えて、フレームがハイテク素材のカーボンになったり、ブレーキや変速機が進化を遂げたりすることで、自転車はこれ以上ないくらい高性能になったのも大きい。若いころに運動が苦手だった人でも、苦しいトレーニングをせずに簡単にスピードが出せるわけです。これから最初の1台を買う人が本当に羨ましいです(笑)」
「スピードを追求するロードバイクはかつてないほど進化した」(疋田さん)
北さん
北さん
「初めてのスポーツバイクはどういったモデルがおすすめですか?」
疋田さん
疋田さん
「結論から言うと、ロードとMTBの中間のような『クロスバイク』という車種。自転車にはロードを始め、MTB、シクロクロス、ミニベロなどがありますが、それぞれ適した用途があります。本当なら最初にそれなりに高級な物を買ったほうが後々お金がかかりませんが、まだ自転車で何をしたいかわかっていない初心者にはクロスバイクでママチャリとの圧倒的な性能の差を感じてほしいんです」
「クロスバイクはママチャリでは体験できない圧倒的な走行性を持っています」(疋田さん)
北さん
北さん
「そもそも、なぜ日本ではこれほどまでにママチャリが普及したのでしょうか?」
疋田さん
疋田さん
「よくぞ聞いてくれました! ちょっとカタい話になりますが、自転車は法律的には『軽車両』なので本来は歩道を走る資格がありません。それが、交通量が急増した1970年代に車との事故から守るため、『 緊急避難的対策として歩道を通っても良い』と、道路交通法が改正された。『通っても良い』という部分が大事で、歩道では『徐行(=ただちに停止できる速度)』する必要がある。それが拡大解釈されて『自転車は歩道を走るもの』という誤解が生まれ、最近までスタンダードになってしまったんです」
北さん
北さん
「軽車両と言えども歩行者と一緒に走るのは危険です」
疋田さん
疋田さん
「そういった事情で、安定してはいるけど低速でしか走れない『ママチャリ』ばかりが蔓延したのです。ですから、初心者向けの5万円程度のクロスバイクでも、ママチャリと違い、十分に速く遠くへ移動できる異次元の走行感を得られる。前カゴをつけることもできるので、街乗り自転車としての性能もばっちりです」
「きちんとした自転車は初心者向けでも十分楽しめます」(疋田さん)
北さん
北さん
スポーツバイクのポテンシャルに気づいてもらうことが大切なんですね」
疋田さん
疋田さん
「そういった通過儀礼を経て、ロードバイクでスピードを追求したり、MTBで自然に触れたり、ツーリング車で旅に出たりするといった具合です。今日乗ってきたのは電動アシスト自転車ですが、私のように子育て中なら、子どもを乗せる機能に特化したモデルでも、きちんとしたブランドを選べば、ひとこぎするだけで『良い自転車に乗っているな』と感動できる。スポーツバイクでなくても移動の質と安全性は確実に上がるんです」

日本には最高の自転車フィールドがある

疋田さん
疋田さん
「ママチャリの行動半径は2〜5km程度ですが、スポーツバイクなら、初心者でも1時間で15kmは走れ(都心の場合)、信号の少ない郊外では平均時速20kmも楽に出ます。つまり、1日で100km近い距離を移動できるわけです。そういった性能の高い自転車で走る価値のあるフィールドが増えています」
瀬戸内海と島々を結ぶ70kmにわたって自転車専用道が設置され、絶景サイクリングを楽しめる(写真提供:今治地方観光協会)
北さん
北さん
「行政の中にも自転車に理解のある方が増えたと感じます」
疋田さん
疋田さん
「お役所にも自転車乗りが増えましたね。自転車関係のインフラで最高に素晴らしいものの一つが、「しまなみ海道(西瀬戸自動車道)」です。広島の尾道と愛媛の今治を結ぶ約70kmの道路で、日本で初めて海峡を横断できるサイクリング専用のレーンを備えています。私ももう何度も走っていますが、まるで天空を自転車で駆け抜けるような浮遊感が味わえます。ミシュランの旅行ガイド『グリーンガイド・ジャポン』で世界4大サイクリングロードとして紹介されるほどです」
瀬戸内海の真上を走れる(写真提供:今治地方観光協会)
疋田さん
疋田さん
「機材としての自転車だけでなく、楽しむための環境面も出揃った感があります。アニメの舞台となった場所を訪れる『聖地巡礼』というムーブメントがありますが、レンタサイクルを用意して手軽で効率的に地域の魅力を楽しんでもらおうと、インフラ整備に力を入れ始めた地方自治体も多いですね」
北さん
北さん
「車道の左側に自転車の走行場所をペイントした『自転車ナビマーク』が増え、車道もずいぶん走りやすくなったと感じます」
青いペイントで自転車の走行スペースを表示。専用道を増設するより低コストなのでオリンピックへ向け普及が進む
疋田さん
疋田さん
「『自転車レーン』などの専用道ではないですが、堂々と車道を走れるようになったことは大きな進歩。40年以上もの間、歩道を走るものとして車体もインフラもデザインされてきたので、怖がる人を無理に車道に出すわけにはいきません。ただ、サイクリストだけでなく、ドライバーの意識をも改善してくれる影響力は計り知れません」
「自転車はヘルスケアにも活用できる」(北さん)
北さん
北さん
「自転車はヘルスケア面でも高い効果が期待されています。自分も自転車通勤をするようになって、よく眠れるようになりました(笑)」
疋田さん
疋田さん
「生活習慣病に携わる医師の話だと、要注意となった患者さんは運動不足解消のため、ジョギングを始めて膝を痛めてしまうことが少なくないそうです。水泳が一番効果が高いそうですが、用意をしたり、施設まで出かける必要があるので継続しにくい。自宅を出た瞬間からエクササイズができる自転車を勧める医師が多いですね」
パリ市にあるコミュニティサイクル「ヴェリブ」(写真提供:© Atout France/Michel Angot)
疋田さん
疋田さん
「フランスのパリ市では、『ヴェリブ』というレンタサイクルの仕組みがあって、数千箇所のスポットには2万台以上の自転車が用意されています。導入と同時に自動車の進入を制限するエリアを設けたので当初は渋滞が起こり批判されましたが、『渋滞が嫌なら自転車を使えばよろしい』というスタンスを当局が崩さなかったため、『それはもっともな話だ』と、自転車へのシフトが成功したそうです。日本でも自転車を車に置き換える仕組みが実現できない理由はないはずですから、普段から自転車をもっと活用したいですね」

ホビーとして走りを楽しむだけでなく、インフラとして生活全般をより良くしてくれる力がある自転車。まずは気軽に近所をサイクリングしたり、天気の良い日に通勤したりと、より自転車に親しむことが時代を変えるきっかけになるのかもしれない。


今回インタビューを行った「OVE南青山」とは

体にやさしい料理をはじめ、「自転車のある生活」を豊かにする各種サービスを提供

南青山の大通りから一歩路地に入った静かな場所にある「OVE南青山」。契約農家から取り寄せた新鮮な食材で作られた、カフェメニューや食事が楽しめる。

店内のオープンキッチンでは薬膳をベースにした料理が提供される

また、「自転車のある生活」を豊かにするために、サイクルライフコンシェルジュと呼ばれる自転車の専門家が、気軽に相談にのってくれるサービスも提供。散歩感覚でサイクリングを楽しむイベント「散走」も随時行っている。

OVE南青山

住所:東京都港区南青山3-4-8 KDXレジデンス南青山 1F
アクセス:表参道駅A4出口から徒歩15分、外苑前駅1a出口から徒歩8分
電話:03-5785-0403
営業時間:10:00-19:00(L.O.18:00) ランチタイムは12:00-15:00
定休日:月曜日定休/祝日の場合は火曜日振休 

口コミ・写真など

※この情報は取材時の情報です。ご利用の際は事前にご確認ください。


取材メモ/暮らしにも遊びにも活用できる自転車。いままでよりもっと好きになりました。

取材・文/杉山元洋 撮影/片山貴博

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