新宿で90年のロングセラー 本場「インドカレー」の先駆け

新宿で90年のロングセラー 本場「インドカレー」の先駆け

2016/05/08

1901(明治34)年創業の老舗「新宿中村屋」。半世紀にわたり、新宿の変遷を見守ってきた本店ビルが、老朽化のため建て替えられ、14年に新装。新宿中村屋の名物「中村屋純印度式カリー」を看板に据えた、かつてのカジュアルレストランは姿を変え、新宿中村屋ビルB2にオープンした。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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インド人との出会いから本場のカレーが誕生

パン屋として創業した「新宿中村屋」が、1927(昭和2)年に発売し、ロングセラーとなった純印度式カリー。小麦粉を使った欧風カレーが主流の昭和初期に、独創的な本場のインドカレーを生み出せた理由、それは、人道支援にあつかった創業者夫妻が、国外退去を迫られたインド独立運動の志士、ラス・ビハリ・ボースをかくまったことから始まる。

ボースは後に創業者夫妻の娘と結婚し、その後、新宿中村屋の取締役に就任。やがて、中村屋がレストランの開設を検討し始めると、純印度式カリーをメニューにと提案した。祖国インドの味を日本に伝えるため、現地からスパイスを取り寄せるなど、素材にもこだわった純印度式カリーを発売したのだ。

「中村屋純印度式カリー」(1728円)。味にアクセントを加えるチャツネやアグレッツィ(キュウリの酢漬け)なども付く。+735円でサラダとドリンクをセットに。ほかに「シーフードカリー」(1944円)も

こうして誕生した「レストラン&カフェ Manna 新宿中村屋」の名物「中村屋純印度式カリー」。現在使用するスパイスは20数種類。その中でも独自に配合したカリー粉2種類を、調理工程で2段階に分けて投入することで、余韻の残る香り高いスパイシーな味に仕上げている。

「創業者には「素材を追求する」という考えがあり、カリーに使われる鶏肉は、昔、自社飼育場で育てていました。現在は、契約農家にお願いし、飼育日数、飼料などを独自の飼育方法で、煮崩れせず独特の弾力を残し、旨味の優れた鶏を育ててもらっています」と、料理長の石崎厳さん。

料理長の石崎厳さん。スパイスの香りを大切にしている中村屋のカリーは、できたてを提供。最もおいしく味わえる温度にもこだわっている

バターであめ色になるまで炒めるタマネギは肉厚な淡路島・丹後産、ヨーグルトは、マイルドな酸味を引き出す自家製だ。厳選した素材、ひいてはそれを作る生産者への敬意のもと、辛味、酸味、甘味のバランスが絶妙な老舗中村屋のカリーの味を守り続けている。

東京・新宿の地で百余年国際色豊かな食と文化を発信

創業者夫妻はロシア人と出会ったことをきっかけに、インドカリー発売と同じ1927(昭和2)年に「ボルシチ」(1944円)を販売した。戦後になると中華料理の「伊府麺(イーフーめん)」(1188円)を発売するなど、ロングセラーとなる各国の料理もメニューに並ぶ。

一方、「中村屋サロン」と称されたことでも知られるとおり、明治の終わりから昭和初期の新宿中村屋には、多くの芸術家や文化人が集い、文化・芸術談義を楽しんだ。

新宿中村屋ビル3階にできた「中村屋サロン美術館」では、彫刻家の荻原守衛(碌山・ろくざん)や、高村光太郎、画家の中村彝(つね)など、ゆかりの芸術家による作品を展示。歴史を築いた新宿の地から食のみならず文化をも発信し続けている。

※掲載の内容は2016年5月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

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