江戸初期より北九州に根ざすおふくろの味「ぬか炊き」とは

江戸初期より北九州に根ざすおふくろの味「ぬか炊き」とは

2016/04/05

長年、野菜を繰り返し漬け込んできた「ぬか床」の“ぬか”で、イワシやサバなどを煮込んだ北九州名物「ぬか炊き」。魚の身はやわらかくふっくら。熟成した酸味と甘味が奥深いうまさを醸す郷土料理を堪能

Yahoo!ライフマガジン編集部

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熟成した「米ぬか」が青魚の臭みを抜き、うまみを引き立てる

米ぬかを発酵させた「ぬか床」に、キュウリ、ナス、ダイコンなどの野菜を漬け込む日本古来の保存食「ぬか漬け」。その「ぬか」を、イワシやサバなどの煮物に調味料として加えたものが北九州の郷土料理「ぬか炊き」(じんだ煮)である。

江戸時代、豊前小倉藩初代藩主の小笠原忠政(のちの忠真)公が、前に統治していた信濃国(現在の長野)からぬか床を持ち込み、小倉城下の人々にもぬか漬けを奨励。海が近く新鮮な青魚が安価で手に入りやすかったこともあり、ぬか炊きも北九州エリアの広範囲に伝わっていった。

小倉では、嫁入り道具として、母から娘へ引き継がれてきたぬか床。時代と共に家庭の味は少なくなってきてはいるものの、ぬか漬け、ぬか炊き自慢の店は今もたくさんある。乳酸菌、ビタミンB、食物繊維を豊富に含み、地元の学校給食でも出されるなど、近年、健康食としても注目されているぬか炊きを現地で味わってみよう。

ぬか炊き定食(イワシ、900円、夜は1000円)。仕入れにより魚がない場合もあるので事前の確認がオススメ

「ぬか炊き」の人気店「味処 矢野」を訪れる

「ぬか炊きを食べるならココ」と地元民がプッシュする店の一つに「味処 矢野」がある。場所はJR小倉駅裏手の国道199号沿い。いかにも年季の入ったたたずまいの食堂だ。同店のぬか床は、女将の矢野寿美子さんが祖母、母から受け継いだ約80年もの。米ぬかと塩のほか、青・赤唐辛子、昆布、柚子やダイダイなどの柑橘(かんきつ)も加えている。

「ウチのぬか床はさまざまな食材を使い、ある程度酸味が立ち、より香り高くなるよう、温度、湿度をしっかりと管理して育ててきました。味と共に豊潤な熟成香を楽しんでください」と女将(おかみ)は話す。

女将の矢野寿美子さん。「昔はどこの家庭でも大鍋でぬか炊きを作っていたもの。若い人たちにも食べてほしいですね」と話す

伝統のぬかで炊いたイワシはふっくら、骨までやわらかく、繰り返し漬け込んできた野菜のうまみも手伝い大変滋味深い。上品な甘さもあり、白飯とまさにテッパンのコンビだ。「味処 矢野」のぬか炊きに使うイワシ、サバはどれも大ぶりで食べごたえ十分。

そのほか、珍しい鶏手羽元のぬか炊きも名物で、カウンターの上に置かれた野菜のぬか漬けと共に堪能できる。気さくな名物女将との会話も楽しい。

1Fはカウンターのみで2Fが座敷席。ぬか炊きのテイクアウトも可

※掲載の内容は2016年4月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

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