スタバのドライブスルーに迷い込んだ精神科医が語るストレス対策

特集

4月の連載記事まとめ

2017/04/25

スタバのドライブスルーに迷い込んだ精神科医が語るストレス対策

精神科医として総合病院に勤務する傍ら、文筆、音楽、ラジオなどマルチに働く星野概念が「食べに行く」という行為を通して、「こころ」に関する気づきをひも解く。

Yahoo!ライフマガジン編集部

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ドライブスルーには、上手なストレス対策のコツがあるかもしれません!

こんにちは、精神科医の星野概念です。

この連載は、日常の食生活の中から僕が感じたり考えたりしたカウンセリング的要素をみなさんにご紹介するものです。

もうすぐゴールデンウィーク! おでかけの季節になりました。たまたま見つけ、迷い込んだ「スタバのドライブスルー」に、ストレス対策のコツが隠れているような気がしたので、今回はそれをお話します。

  

【目次】

1. 思わずドライブスルー
2. アメリカ心理学会で推奨される5  つのストレス対策方法
3. ドライブスルーとストレス対策


1. 思わずドライブスルー

・赤いママチャリ

僕の勤務する病院は関東の郊外にあります。そこは車社会。病院は駅から離れているし、色々なお店も点在しています。

僕も去年異動した時に、病院から最寄りの自転車屋で、最も安く、最も盗難に遭わなさそうな赤いママチャリを購入し、それに乗って通勤しています。

  

日常生活レベルであれば、ママチャリも車の代わりになるものです。しかも病院まで20分ほど漕ぐだけで汗がにじむくらい。なかなか良い運動にもなります。

  

・発表準備に行き詰まる

病院では時々、症例の発表をしなければならない時があります。発表の規模は、院内の小カンファレンスから学会発表まで様々ですが、先日、中くらいの規模の発表の準備に追われていました。

こんな時は、資料も病院にしかないので、泣く泣く休日出勤をします。もちろん赤いママチャリに乗って。

  

そして、カルテとにらめっこ。

  

せっかく発表するのだから出来る限り興味をひく発表にしたいわけです。そのためにはどんな切り口で発表をすれば良いのか、毎回色々考えますが、なかなか切り口が定まらない時があります。

そうなると大変。まるで迷子です。

  

何が正解なのか分からなくなり、そのままどうにかこうにか形にしたとしても、それを後から読み直すと、まるで要領を得ない、怪文書のようになっていたりして、とても落ち込みます。

  

そんな経験を何度かしたことがあったので、この時はそのまま追い込むことをせず、思い切って中断して出かけてみることにしました。

  

こういう「行き詰まり」の経験は、比較的皆さんにも共感してもらえるような気がするのですが、行き詰まれば行き詰まる程、気分転換をするのに勇気と決意が必要になると思いませんか。

  

・赤いママチャリで旅に

頭の中は発表のことでいっぱいだったので、特に行きたい場所は思いつきません。とりあえず、国道あたりをドライブしてみることにしました。ドライブと言っても、ママチャリではありますが。

  

もちろん、国道までのナビは
Yahoo!MAP!!

  

さすがのスムーズなナビ!で国道までたどり着き、少し走ると、なんとなく見慣れた配色の緑の看板に「IN」と書いてありました。

  

・スタバのドライブスルー

近くまで行ってみると、なんとそこは

スタバのドライブスルー!!

  

それにしても、これまでスタバにどれだけお世話になったことか。

「純喫茶な気分」ではない時、気分をポップに満たしてくれる、あの多彩なメニュー。

とてもフレンドリーなサービス。

カップに描かれる手描きメッセージ。

そして、魅惑のWi-Fi……。

随分と多くの原稿もスタバで書かせて頂きました。

ありがとう、スターバックス!!

  

そんな事を考えているうちに、気づくと僕は、ママチャリに乗ったまま、ドライブスルーの注文用マイクの前にいました。

  

マイクからは声が。

「……い、いらっしゃいませ」

  

あのスタバの店員さんが口ごもっています。そんなことはなかなかないはずですが、その時はそれに気づきませんでした。
そして、何の違和感も感じずに、

「スターバックスラテのアイスをトールで。あ、氷はいらな……」

  

と注文しかけたところ

「お客さま、大変申し訳ありません。非常に危険ですので店頭でご注文願えますでしょうか」

  

の声。

そりゃそうです。

このまま進めば、前後は自動車。

もしも前の車が間違ってバックしてきたら……

きゃぁ!

  

そしてもしも後ろの車がブレーキと間違えてアクセルを踏んだら……

き、きゃぁ!!

  

お兄さんの仰る通り! 
非常に危険です!!

普段から「足」にしているとはいえ、まるで違和感なくママチャリでドライブスルーをしようとするなんて……。

この考えなし!!

  

自分をなじりながら店頭に行き、そのことを謝ってから改めて注文。すると、

  

「自転車でドライブスルーに並ばれるなんてびっくりしましたが、新鮮で、正直面白かったです。ありがとうございます!」

  

まさかの、お礼&スマイル。
そして、その店員さんが渡してくれたスターバックスラテにも手描きのスマイルマーク「お気をつけて!!」の文字。

  

今考えると、単純に店員さんが良い方だったのだと思いますが、お礼も言われたし、勝手にほっこりしながら病院に戻りました。

  

そしてその頃には、行き詰まった発表準備のストレスは緩和され、

  

その日のうちに発表の方向性は定められました。

  

2.アメリカ心理学会で推奨される5つのストレス対策方法

・ストレス対処法

以前、ストレス対処法、ストレスコーピングについて書きました。

ストレスの対処法は人それぞれなので、自分に合った対処法をより多くみつけていくことが最良のストレス対処法につながります。つまり、ストレス対策にマニュアルはありません。

ただ、それを探す軸となるかもしれない研究報告をアメリカ心理学会がしています。

・アメリカ心理学会によると

アメリカ心理学会が推奨する5つのストレス対策は

① Take a break from the storessor
 (ストレスの原因から距離をとること)


まぁ、当然の話とも言えます。でもたったの20分でも、ストレスの原因から離れて自分のために時間を使うと、ストレス緩和に効果的であると言われています。

  

やはり、キツい時、その時の自分にとっては無理矢理でも、気分転換することは大切な事なのだと思います。

  

② Exercise
 (運動)


規則正しい運動習慣があるとより良いとは思うのですが、ストレス強いな、という時に20分くらいのウォーキングやランニング、水泳、ダンスなどをするだけでも数時間の効果があるそうです。

  

運動習慣、なかなかハードル高いですが、ストレスでキツい時だけでも、と考えると気分的に少し取り組みやすくなるような気もします。

  

③ Smile and laugh
 (笑顔、笑い)


脳的に感情と表情は結びつきがあるので、ストレスが強い時は表情が固くなります。
逆から考えると、笑顔をつくったり、笑ったりすることは、感情が柔らかくなることにつながるとも言えそうです。

  

前回も書きましたが、僕はコミックバンド「ポカスカジャン」のタマ伸也さんとラジオ番組を2年半やらせて頂きました。笑うことによるストレス緩和の効能は身を以て感じていて、かなり効果的だと思います。

  

④ Get social support
 (ソーシャルサポート、社会的支援)


辛い時に友人に電話をしたりメールをしたり。自分が抱えていることや考えていることを分かってもらうことはストレス緩和につながります。この時大事なのは、自分が信じる、理解し合えると思う相手にすることです。

やはり、持つべきものは友!

  

そして、時には専門機関がこの役割を果たすことも少なくありません。

⑤ Meditate
 (瞑想)


「イマココ」で生じていることに集中する「マインドフルネス」に基づく瞑想が効果的であると言われています。短い瞑想でも効果があるそうです。

そう。「迷走」ではなく、「瞑想」。

  

なかなか会得したり、習慣化させるのは難しいと僕自信は感じていますが、確かな効果があるようなので、引き続き挑戦していきたいです。

  

・当然といえば当然ですが

以上が、アメリカ心理学会が推奨する5つのストレス対策です。

こう書いてみて思った事は

こんなの当然じゃん!

   

でも、当然のことさえなかなか難しくさせるのが「ストレス」なのです。

  

この5つ、あくまでも参考で良いと思いますが、自分自身のストレス対処法を見つけるヒントになれば良いのではないでしょうか。

  

3. ドライブスルーとストレス対策

・星野のケース

今回、意を決して、プロジェクトの途中で気分転換のドライブ(自転車ですが……)を入れたところ、

  

スタバのドライブスルーでの珍事件を経て、

  

気づくとストレスが緩和されていました。

  

この過程を先ほどの5つの対策に照らし合わせてみると、

・思い切ってドライブ(自転車ですが……)に出かけてみたことは、結果、一時的に「発表の準備」というストレスの原因から距離をとることだった。

  

・ママチャリで国道を走るという、ちょうど良い強度、時間の運動をしていた。

  

・大きな間違いを冒したにも関わらず、笑顔でお礼を言われ、なんだか理解してもらえたような気分で送り出してもらえた。これは社会的なサポートとも考えられるのでは。

  

・また、その時には笑顔にもなっていたような気がする。

   

など、思い当たる点が多くありました。

・ドライブスルーの場合

運転、特に自動車運転は、色々な注意を駆使します。気づかないうちにとても大きなストレスがかかる行為といえます。

  

だからこそ、こまめに休憩する必要がありますが、様々なプロジェクトと同じで、なかなか休憩のタイミングが分からないものです。

  

そこでドライブスルー!!

  

「IN」と書かれた看板を見たら、素直に「IN」してみましょう。

  

車から降りずにスタバの色々なメニューが注文できます。同乗者がいれば、一緒に注文を考えるのも楽しそうです。

  

表情も緩むでしょうし、

今回の僕のケースを考えると、スタバの店員さんはきっと驚くほど優しい方に違いありません。

  

社会的サポートも得られる可能性が大きいです。

  

もうすぐゴールデンウィーク!!

連休! 連休! 連休! 連休!

  

何かに行き詰まったら、いや、行き詰まってなくても、ドライブスルーには色々な可能性を感じました。

  

僕もたまには車に乗って、今度こそはしっかりとドライブスルーしたいと思います。

  

星野概念(ほしのがいねん)

星野概念(ほしのがいねん)

精神科医

権田直博(ごんだなおひろ)

権田直博(ごんだなおひろ)

画家

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

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